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2018年12月の記事一覧
「今シュールレアリスムなんて言ってる奴はセンスがない」
青年は白髪にして青梅ひろふ
永遠は首都のトマトを買ひ帰る
庭園は澄む点滴に棲みにけり
平面は汽笛のうららかにながく
霊園は人日の雨 ながければ
信仰のやうな洗濯竿灼かれ
沈降の野を僕いるだけの長閑
淫行の報道いまは沼さやか
「貧幸」の意味知るもよし端居の背
燐光の服交ふ其処を初烏
骨董屋主人入水の月を買ふ
雪を待つみづしづみゆくそのながさ
みづうみのめまい竿のみすゞしかれ
クラムチャウダーは一品目がいい
鐘楼のときは山羊座の尾骨あり
遠山に火葬場うごく寒さかな
鮟鱇を買ふひと定規を飼ふひと
凸柑はワルツのなかに落ちにけり
硝子屋を過ぎて煙草のかをる雪
不沈艦めく寒卵 どうと言ふぞ
聖夜いまB棟五階東側
*
橈骨の痛む聖夜を俯きぬ
薬瓶の底も聖夜や川底も
にんにくの「にん」の音のみひゞく 村
漂つて駅舎の雪を買い漁る
爛々と逆立つ枕らくだ鳴く