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花神・草神・砂の王のトリビア[原神]

こんにちは、Hanaです。

こちらは以前からTwitterで考察していた、スメールの物語のモチーフは旧約聖書と新約聖書だという話に、ローマ帝国と対立していた国々の歴史も付け加えた記事です。

①神話の時代

元々スメールは赤い枠内の地域の神話をモチーフとしており、
モンドやカーンルイアなどは緑の枠内の地域をモチーフにしています。

時の神・イスタロトは赤枠地域のメソポタミア神話で登場する代表的女神イシュタルをモチーフにした神です。

②任務「黄金の眠り」はエジプトの歴史モチーフ

黄金の眠りにはトトメス3世をモチーフとした話が練り込まれていました。

また、遺跡にはアメンホテプ4世が遷都した都を匂わせる文字が刻まれていました。

更にユフィのノートに「苦い塩水を飲む」という記述がありました。
これは旧約聖書「出エジプト記」(ユダヤ人がエジプトから逃れる話)をアレンジした表現だと思います。

恐らく、葦の海のすぐ隣のマラという場所で、ユダヤ人が塩水を飲まなければいけない状況に陥った話がモチーフです。

エジプトを出たあと、ユダヤ人は約束の地に辿り着きます。約束の地にはソロモンの王国が出来るのですが、シバの女王「ビルキース」がソロモンに会いに行ったという話が旧約聖書にあります。

原神にもおそらく、
ソロモンやビルキースモチーフのキャラがいたと考えられます。
※世界任務に「ビルキースの哀歌」というものがあります。


また、原神のディシアモチーフ(?)の両手剣に「葦の海」と書かれているので、出エジプト記関連なのはほぼ確定しました。
(葦の海は旧約聖書でこの地域を表現するときに使われる言葉)

出エジプト記は古代エジプトのファラオ(王)、ラメセス2世の時代だと言われています。

トトメス3世、アメンホテプ4世、ラメセス2世いずれも古代エジプト「新王国」の時代のファラオなので、時期的にも一致します。

③おそらくデシェレト=イスラム教

現在イスラム教はエジプトでも信仰されています。
デシェレトは古代エジプト+イスラム教を混ぜた存在としてキャラ設定がされていると推測できます。

ちなみに旧約聖書(ユダヤ教)では、
おそらく新王国の時代に、ユダヤ人がエジプトで虐げられていて、エジプトを脱出したという風に言われています。

④おそらく花神or草神=ユダヤ教?

デシェレトは花神ナブ・マリカッタにかなり執着していました。そうした経緯を考えると、花神がユダヤ教モチーフの可能性があります。

モーセたちがエジプトを脱出し、最終的には約束の地に辿り着きました。
この地域(特にエルサレム)は現在、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地になっています。

三神の聖地、永遠のオアシス

ただし、花神=ユダヤ教と言いきれない部分があります。

原神内では未だに花神に関する記述が揺れており、複数だったり1人だったり、場合によっては草神と混同されていたりします。

椅子が3つあるから別々の個体として認識されているとは思うのですが、それでも書き方が不安定で、まだなぜそこまで混同して描かれているのか確定できていません。(伏線回収されていない)

特に花神誕祭は草神と花神が混同された最も有名な事例です。

他にも、草神と花神共に女性的な表現を使われており、どちらも月に強い関係性を持っていて、知恵があり、花や植物を咲かせるという似た記述があります。(特にムーンピアサーのストーリーが意味深です)

花神は月夜の女主人と言われていますが、草神ナヒーダも自らを月と名乗っています。

そこでもう1つ、インド神話を紐解くと、
花神は草神の幻(力の1部)ではないか?という疑惑が出てきます。
(詳しくは下の記事に書いてあります)


⑤花神と草神は共に世界樹から生まれた存在?

白夜国(淵下宮)の禁書には、神(おそらく天理)が世界樹を切り倒すように言い、それをイスタロトが助けたような記述があります。

これは私たちが生きる現実世界でも同じで、元々世界の神話は多神教で、特にヨーロッパは世界樹信仰が沢山存在していました。(ケルト神話や北欧神話はその代表的な例です)

しかし、一神教のキリスト教が広まるにつれて、邪神の考えだということで世界樹信仰関係は消されていき、世界樹を伐採するような表現が伝説に残っていたりします。

草神は世界樹と結びつき、ある意味世界樹から生まれた存在です。
と、同時に、花神と草神がこれだけ強く結びつき、共に植物を司ることから世界樹から誕生した存在なのではないかと予想しています。(これはちょっと妄想度合い強めです)

※ちょっと脱線。反転した世界?

原神世界は北半球モチーフなのに南半球のような伏線があったり、世界樹を反転させたデザインがスメールキャラクターに盛り込まれていたり、
なにかと「反転」を匂わせていることが多いです。


キリスト教はユダヤ教の教えを土台としてできた宗教です。
ユダヤ教の聖書はキリスト教にとっての「旧約」聖書であり、キリスト教は旧約聖書だけではなく新約聖書も聖典としているという違いがあります。

花神、草神のどちらかがユダヤ教モチーフで、
もう一方がキリスト教モチーフなのかもしれません。

そして再度になりますが、
モーセが出エジプト後に約束の地に辿り着いたように、
イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地エルサレムを暗示して原神の永遠の楽園を作ったように見えます。

エジプト→マラ→約束の地
マラの左は葦の海


⑥花神が「アイハヌム」を建てた。

原神内ではアイハヌムという、円形劇場都市の廃墟がかつて存在していました。

円形劇場都市=剣闘士が戦う円形闘技場を備えています。

円形闘技場は古代ローマの文化ですが、ローマが征服した土地にも建てられました。

原神ではなぜか円形闘技場を「神殿」としています。

例えば、モンドの円形闘技場の遺跡は、なぜか千風の「神殿」です。

前後関係はいまいち不明ですが、アイハヌムを建てたのは、花神なので、
もしかしたらスメールのアイハヌムも神殿だったのかもしれません。

ちなみにモンドの円形闘技場(千風の神殿)はばっちり檻を備え付けているので、間違いなく奴隷を戦わせていたようです。

これらのことから、原神内にはカーンルイア(神聖ローマ帝国)になる前に、共和政のレマという国があったので、このレマ共和国がスメールにも影響を及ぼしていたと推測できます。

原神とローマの関係性について

私たちの世界に実在したアイハヌムからもう少し考察してみましょう。

アイハヌムはグレコ・バクトリア王国(ギリシャ人の国家)の都市で、セレウコス朝の勢力圏でした。

アイハヌムAi Khanoumは、
現在のアフガニスタンに存在し、
Ai Khanoum=月の婦人という意味です。

日本だと月には兎の模様が見えると言われますが、別の国では月は女性の横顔だと言われているので、そこから名前がつけられたみたいです。

原神内でのアイハヌムは月娘の城と言うふうに訳されています。

アイハヌムはヘレニズム時代の都市です。
ヘレニズムとは
ギリシャ風の文化に馴染み、
ギリシャ風の都市を建てていた時代で、
後に、ローマによってヘレニズム文化が塗りつぶされ征服されたという歴史があります。
(セレウコス朝は共和政ローマと対立していました)

だからおそらく原神世界のアイハヌムはギリシャ・ローマの両方の文化を持ち合わせた都市だったと推測できます。

⑦アイハヌムの謎

花神は仙霊の種族の生存者であり、原初と第二降臨者の戦争の後、テイワット(7国)に追放されました

アイハヌムはその後、花神と砂の王によって建てられます。

淵下宮がギリシャ系の文化なので、原初と第2降臨者の時代、天界とその関係者の地域はギリシャ系の文化で統一されていたのでしょう。

花神がスメール地域にもギリシャ文化を持ち込み、ヘレニズム文化のようなものを持った都市、アイハヌムを建てたと考えられます。

ちなみに、原神の書籍「羊飼いと魔法の瓶」の方では、アフマル(デシェレト)がこの都市を建てたと書かれており、花神は関わっていないような書き方がされていますが、
わざわざアイハヌムというヘレニズム系の古代都市を名前に着けているので、ギリシャ系文化を身につけた花神が建てたと見ていいと思います。

ちなみにアイハヌム関連の記述には、なぜか草神が登場しません。
そこらへんも少し違和感があります。

アイハヌムはのちに、現実世界の歴史のように、レマ共和国(ローマ)によって侵略されたと予想できます。
つまり元々神殿的な存在だったものを、レマ共和国によって奴隷を戦わせる円形闘技場に変えられてしまったのではないでしょうか。

⑧ ジュラバドから予想できること

ジュラバドGurabadは、砂の王が関与していた原神に存在した古代都市です。

サーサーン朝ペルシャの都市フィールーザーバード Firuzabad(アケメネス朝の都市Gorを合わせた造語?)をモチーフにしていると考えられます。
この時代にもローマとは対立しています。
この時のローマは共和政ではなく帝政でした。

しかもゴリゴリにローマvsペルシャの戦いを行なっていた時期です。

スメールにあれだけ沢山のカーンルイアの遺物が残っているのは、この頃の名残りかもしれません。

ちなみにサーサーン朝の有名な王としてホスロー2世がおり、ホスロー2世は息子のカワード2世に殺されています。

この歴史は原神内でもホスローが息子シェロイに殺されるという結末で描かれています。

余談・ユフィのノートのモチーフ

「星々が荒野から昇り、 夜鶯も果てのない日々を厭う…」
ユフィのノートは恐らくモチーフがあります。

ユフィのノートは、イギリスの子守唄に原神のさまざまな宗教・歴史的伏線を足したものです。

ユフィのノートには「子羊」「薔薇の王冠」「ぶどう酒」と書かれていますが、これはいずれもキリスト教を意味しています。

「薔薇の王冠を外す時が訪れ」
薔薇の王冠(ロザリオ)は、ローマ兵がキリストに被せた罪の印・痛みの象徴です。
キリストが辱めをうけている状態ではなくすという意味です。

原神には天理に滅ぼされたレマ共和国(ローマモチーフ)がかつて存在しており、キリスト教が天理のモチーフです。

「ぶどう酒で俗世の埃を洗い流そう。」
ぶどうもキリスト教の象徴であり、キリストの血を意味します。

薔薇の王冠を脱ぎ、ぶどう酒で俗世の埃を洗い流す=キリスト(天理)の復活を意味すると考えられます。

「黄金の眠りが彷徨う砂を呼んでいる」
黄金の眠り(Golden slumbers)という言葉は、イギリスのトーマス・デッカーの子守唄(マザーグース)に入っている言葉です。

イギリスの母が子に歌うものですが、
原神ではユフィが幼いジェイドにむけて歌う子守唄へと変化しています。

「あの苦い塩水を、ここで飲む必要はない。」
これはおそらく旧約聖書「出エジプト記」のマラの苦い水を意味していると考えられます。
荒野を彷徨ったあと、マラで塩気混じりの苦い水を飲むかどうか迫られた時の話がモチーフです。

原神では天理に滅ぼされた統一文明・レマ共和国(ローマ)もしくはレムリアの後継者がおそらくカーンルイアであるというような伏線があります。

また、原神のスメール編は、
エジプト(砂の王国)を脱出して、楽園を探し求める旧約聖書を下敷きとして、ストーリーを作っていることがわかります。

原神は旧約聖書(ユダヤ教・キリスト教の聖典)、新約聖書(キリスト教)の話がどの国でも結構出てきます。

旧約聖書といいましたが、ユダヤ教の方々にとっては「旧」ではなく、唯一の聖書であるということも補足しておきます。

たとえばユフィのノートには「私の子羊ちゃん」という言葉があり、これは英語では「my baby gazelle」と書かれています。

ユフィの名前もそもそも、イスラム教由来でありgazelleをさすというふうに言われています。
さすがにイスラム教は専門ではないので軽く触れる程度にさせてください。

つまり、スメールの砂漠の物語は旧約聖書「出エジプト記」が下敷きで、
エジプトを脱出して約束の地に辿り着くまでの話がモチーフだったということです。

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