生活インフラ業種・病院への緊急支援実績 ~市立芦別病院~
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、現場の医療従事者には負担が強いられています。自身も感染するかもしれないという不安、拡大防止のために除菌の徹底・接触の抑止などです。
ソフトバンクロボティクスは、そういった最前線で戦ってくださっている方々のため、ロボット掃除機「Whiz」を生活インフラ業種へ無償提供する施策を行っています。
今回、北海道の市立芦別病院の清掃を担当している嶋産業㈱からお申込みをいただきWhiz導入へと至りました。どのような経緯があったのか、これからの展望はどのように考えられているのか、リモート取材でお話を伺いました!
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施設概要
市立芦別病院
北海道芦別市に所在する公立病院。内科、循環器科、泌尿器科など、幅広い診療に対応する。
お話を伺った方
・市立芦別病院 事務部 事務課 課長
黒田 達也 氏
・嶋産業株式会社 専務取締役 兼 ビル管理部長
嶋 尚人 氏
嶋産業株式会社Webサイト:http://www.shima-sangyo.co.jp/
緊急支援をメルマガで知って、その日に社長に話しました
――コロナ禍の前後で清掃体制に変化はありましたか?
嶋氏:
感染者が出ていないので、大きく変化はありません。ただ、受付の机やドアノブといった接触部の拭き上げには気を付けています。病院という性質上、普段から入念に清掃しているので作業量もこれまで通りです。
――Whizはどのように知ったのでしょうか?
嶋氏:
2019年11月のビルメンエキスポで実物を見たのが最初でした。その場で1日無料体験の案内をいただいたのですが、当時はそこまで考えていなかったのでお断りしました。
1日ですと動いているところを見る程度で、使い方を検証できるところまでいけないと思ったので。ある程度まとまった期間で使えれば良かったのですが…。
――その後、なぜ導入の話が浮上したのでしょうか?
嶋氏:
ソフトバンクロボティクスからのメールマガジンで、緊急支援を開始したというお知らせを見ました。今回は1日ではなく6月末(※5月までに申し込んだ場合)まで無償期間があり、長く試せそうだったので社長や病院側に相談し、申込をしました。
――メルマガを読まれてから申込まではどれくらいだったのでしょうか。
嶋氏:
社長には、メルマガが到着した当日話しました(笑)。病院側は安全面を気にするだろうと思い、その点も踏まえて病院へご相談しました。申込をしたのは、メルマガ到着から2日後でしたね。
――病院側としては、どのような判断だったのでしょうか。
黒田氏:
病院から嶋産業には長期契約をしていますので、Whizを導入したからといって委託料に変更はありません。安全対策が施されているのであれば、試用してみてはどうでしょうかという判断でした。
――コスト以外ではいかがでしょうか?
黒田氏:
現場で働いている方々を拝見していて、ロボットの導入で業務が少しでも楽になるのであればと思っていました。
一方で、患者との接触のリスクが心配でした。本市は人口が少なく、さらに高齢化率が47%、つまりほぼ2人に1人が65歳以上です。働いている方も高齢で、来院されるのはさらに高齢の方々です。
製品紹介を伺っている限りでは問題なさそうだったので、まずは人が少ない時間で稼働させてはどうかと思いました。
今までのロボット掃除機よりも、Whizは小型&サブスクで魅力的
――Whizを導入するにあたって、何が魅力だったのでしょうか?
嶋氏:
小型なところが魅力ですね。実は以前にもロボット掃除機の導入を検討していたのですが、当時のものはとても大きく…。Whizの2.5倍ほどの大きさでした。Whizの幅が45.5㎝なので、約114㎝。廊下が広い病院でも、大きすぎて扱いが難しかったですね。
――料金の面ではどのようなところが魅力だったのでしょうか?
嶋氏:
サブスクで使える点です。最新の業務用掃除機がサブスクで使えるというのは大きな魅力です。
安全性への信頼を高めていきたい
――実際に導入されてみて、一番に心配だった安全性についてはいかがでしょうか?
黒田氏:
清掃員がWhizの近くでも見てくれていますし、センサーでちゃんと止まってくれています。今のところは大きな接触などはなく、安全に運用していただいています。
――どのように運用されていますか?
嶋氏:
1階用2ルート、2階用2ルート、3階用1ルートと計5つのルートを覚えこませています。日によって、今日は1階のルートを清掃する日、今日は2階のルートを清掃する日、と1日1フロアをWhizに清掃してもらっています。主に稼働させているのは70歳の主任なのですが、操作が簡単なので問題なく使えています。
――何か運用面で工夫はされているのでしょうか?
嶋氏:
午後に動かしていることですね。午後になると診察で来られる患者さんも減りますので、安全面からも特に1階のロビーでは午後に動かすようにしています。また、待合スペースに人がどの程度いるかは日によって変わりますので、最初から省いたルートを設定しています。これも安全面への配慮です。
――今後はいかがでしょうか。
嶋氏:
1人分の仕事が完全に任せることができるようになるといいですね。午前中に人は多いのですが、場所によっては少ないところもあるので、午前・午後両方稼働できるようになると、コスト面でも楽になるかと思っています。
黒田氏:
Whizはセンサーで止まってくれるので問題ないのですが、高齢者のほうから接触するケースも起こるのではないかと思っています。嶋産業として導入を決めるのに当たり、そのあたりの運用面とコスト面の検証を進めていただければと思います。
暗い話ばかりの中、明るい話題となって多くの病院で活躍してほしい
――スタッフの方からの反応はいかがでしょうか?
嶋氏:
看護師の皆さんから、「かわいい」といった声をよく聞きます。デザインがシンプルだからこそ、でしょうか。顔がついていたら愛着が湧いて、もっとかわいいとも言っていました(笑)
――来院される方からの反応はありますか?
黒田氏:
人が少ない時間で稼働してもらっているので、あまり周知されていません。まだまだ清掃ロボットが動いている姿は珍しいので、今後安全性への信頼が高まればロビーでも積極的に動かしていただいても良いと思います。
ここのところ暗い話題が多いので、病院の中でもこういった取り組みを行っているということは良い話題になると思っています。
見に来てくださいと大々的に言ってしまうと人が集まってしまうので、そこが難しいですね…(笑)。
ですが、多くの病院で活躍してほしいです!
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新型コロナウイルスの感染拡大で世の中は一変しました。緊急事態宣言が解除されても病院では気の抜けない日々が続いています。
新しい生活に一刻も早く対応するためにも、清掃ロボットのような新しい取り組みが始まっています。未来を見つめた前向きな動きが、よくわかる取材でした!
著者プロフィール
張替 賢一
ソフトバンクロボティクス プロジェクト推進本部
AI清掃ロボット「Whiz」デプロイ(導入支援)チーム責任者。2016年にソフトバンクロボティクスに参画し、Pepper、NAO、RS26のアフターサービス企画、Pepperの医療業界展開の営業企画を経て、Whizチームへ異動。全国各地50以上の施設への導入支援対応を経験し、2020年度よりデプロイチームの責任者として従事。
常に前のめりに新しいことにチャレンジする姿勢で、前職では専門コンサルティング会社の起業を経験。