革の手入れ方法は、ざっくり言うと2種類
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革の手入れ方法は、ざっくり言うと2種類

ソファ屋社長 心石のnote

ソファ販売時の接客やメンテナンス教室で聞いていると、革について間違った情報に触れている人が多いので、正しい革のお手入れ方法について説明します。

革は手入れが面倒、メンテナンスが難しそうで怖い、こういった印象を持たれている方もおられます。また、間違った手入れをして、革をダメにしてしまった方もいらっしゃいます。正しい知識を持つことで、革という素晴らしい天然の素材を存分に楽しんでもらいたいです。

「なぜメンテナンスが必要なのか?」

革の手入れ方法は、ざっくり言うと2種類。耐久性を維持するためと、できるだけカッコよく経年変化させるためです。
メンテナンスをしないまま使っていると、早く傷んでしまったり、汚くなってかっこ悪くなったりします。それを防ぐメンテナンス方法が、革を「仕上げる」方法によって違うのです。

「革もいろいろ」

カーフ、キップ、タンニンなめし、クロームなめし、アニリン仕上げ、顔料仕上げ、、、聞き慣れない言葉を聞いていると混乱しますよね。まずは、簡単に説明します。
ソファに使用するのはほとんどが「牛皮」です。それを「なめし」て「仕上げる」のです。「なめす」とは革の下地を作ること、「仕上げる」とは表面の化粧をすることです。「牛皮」の種類と「なめし」については、長くなるので別の記事にします。ここでは「仕上げる」ついて説明しますね。

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「仕上げ方の違い」

革に「仕上げる」とは染色したり塗装したりする、化粧のことと理解してください。メンテナンス方法が分かれるのはその化粧方法の違いです。仕上げ方は、大きく分けると「染色」と「塗装」の2種類です。その違いは、表面に塗装膜があるか無いかです。
塗装膜の無い「染色」仕上げは、アニリン仕上げとか素上げなどと呼ばれていて、色褪せたり染みが付いたりして、本革らしい経年変化をしていくのが特徴です。「塗装」している革は、家具では型押しとかスムースと呼ばれ、塗装膜が革を守っているので、飲み物をこぼしてもシミにならず、経年変化も少ないです。セミアニリン仕上げと呼ばれる革も、薄いですが塗装膜があるので「塗装」仕上げです。

「仕上げの見分け方」

塗装膜の有無の見分け方は、水が染み込むかどうかです。塗装していない「染色」仕上げの革は、水をつけると染み込んで色が変わります。「塗装」仕上げの革は表面がコーティングされているので、水は染み込みません。
(塗装膜がなくても、撥水加工している革には水が染み込まないです。そのお手入れ方法は、販売店やメーカーにご確認ください)
(KOKOROISHIの革一覧)

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「染色仕上げ革のメンテナンス」

塗装膜が無い「染色」仕上げの革は、脂分(オイル)が革の強度を維持しています。また、塗装膜がないので、人の汗や皮脂を吸ってくれて快適に使えますし、快適な触感があります。
革の油分がなぜ分解されるのかは、私の勉強不足でまだよくわかっていませんが、革の強度を維持するために、オイルをを補給するため、塗り込む必要があります。
オイルを塗る時に、表面に付いている汚れも一緒に染み込んでしまうので、オイルを塗る前に表面についている汚れを取り除きます。先ずは乾拭きして落としやすい汚れを除去します。その後、少し熱いお湯で濡らし、硬く絞ったタオルで表面を軽く拭きます。そうすると、衣服や手からソファに付着した汚れがある程度取り除けます。革は水を使ってはいけないと思い込んでいる方がいらっしゃいますが、基本を理解して、いくつか気をつければ水を使っても大丈夫です。私たちは、マルセイユ石鹸で革を洗うこともあります。気をつけなければいけない点とは、水分が残っているとカビやすくなる。油分が抜けて耐久性が落ちる。革が乾いた時に硬くなる。革にシミができる。こういった点です。これも長くなるので、別の記事で詳しく書きます。
表面の汚れを取り除いたら、表面が乾くまで待ってください。革は濡れている状態だと、伸びて変形しやすいためです。革が乾いたら、タオルのような柔らかい布にオイルを染み込ませて、革の表面に薄く塗り伸ばしていきます。オイルを塗ったら、濡れた色になりますので、しばらくは座らないでください。数時間すると油分が革の中に染み込んでいって元の色に戻ります。耐久性を維持するために必要なメンテナンスはこれだけです。
(メンテナンス説明動画)

「塗装仕上げ革のメンテナンス」

国内で販売しているほとんどのソファには、「塗装」してある革が張ってあります。塗装膜があると油分は染み込まないため、上記のようなメンテナンスは不要です。私は乾拭きや、湿ったタオルで拭いて汚れを落とすことだけをお勧めしています。その理由は、革の塗料はメーカーによって様々で、しかも塗装膜の表面には、ハンドクリームや整髪剤といった、様々な成分が付着しているため、クリームやクリーナーに入っている成分と、それらと塗料の組み合わせによっては、塗装膜がひび割れて耐久性を落としてしまったり、変色させてしまうことがあるためです。塗料・付着成分・クリームやクリーナー全種類の組み合わせを試すことは現実的でないため、使いたい場合は、目立ちにくい場所でしばらく試してから使用してください。

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メンテナンスオイル蜜蝋ワックス

「保革と防汚とは違う」

ここまでは、耐久性を維持するための方法が、塗装膜の有無で違うのだと言うことを説明してきました。しかし、できるだけかっこよく使うためのメンテナンスが必要だと考えている人もたくさんいらっしゃいます。ここでも、塗装膜の有無で方法が違います。
塗装膜があるタイプは、上記のメンテナンスに加えて、塗装膜をできるだけ傷めないように使うことが大切です。デニムのように硬い生地で座っていると、塗装膜が傷みやすいと思います。また、紫外線は塗料を劣化させてしまうので、窓際や朝日や西日が直接当たる場所にソファを置くことを避けてください。
塗装膜のない染色仕上げのタイプでは、革に汚れが染み込まないようにすることが大切です。こまめに表面についた汚れを取り除く、ソファを濡らさない、筆記具を使わない、こうした対策が有効です。しかし、ソファでワインを飲みたいし、在宅ワークでは筆記具使いたいですよね。その場合は、表面に蜜蝋ワックスで膜を作ったり、撥水スプレーを定期的に吹いたりすることで、汚れが染み込みにくくなったり、表面についた汚れが落としやすくなったりしますので、試してみてください。それに蜜蝋ワックスは、革が摩擦で痛むのを防いでくれる効果もあるので、大切に長く使いたい人には有効です。

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「たくさんのタンナー(革メーカー)さんと話してみてわかったこと」

革と言う素材は人類の歴史の中で最も長く使われている素材のうちの1つです。それだけに種類も多く、メンテナンス方法も多様です。そのせいか、販売や作り手にも誤解が多く、ネットにも間違った情報がたくさんあります。だからこそ、その革に合ったメンテナンスをするために、基本を正しく理解することが大切です。KOKOROISHIでは、ソファ購入者向けにメンテナンス教室を開催しています。実験しながら革の基本を理解し、安心してメンテナンスしてください。
「なめし」と「仕上げ」これを混同せず、迷路に迷い込まないようにして、良質な革を堪能してもらえたら嬉しいです。

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(メンテナンス教室の様子)

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ソファ屋社長 心石のnote
ひとつひとつオーダーメイドでソファを製造しています。本革や無垢材などの経年変化していく素材が好きです。ソファにまつわるデザインや素材を中心に、おすすめな選び方などを発信し、みなさんが愛着の湧くソファを見つけるお手伝いをしていきます。