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官足法原論 連載1 官足法大概

官足法というのは、官有謀先生(以下先生は省略します)が考案された足裏を中心とした足揉み健康法です。主な特徴は、①リフレクソロジーに基づいた反射区の概念と②代謝の最終産物である老廃物の除去③血液の循環を良くして、栄養と酸素を体中に送り、また老廃物を排泄することにあります。
このあと、結果としてのリンパの流れも活性化し免疫機能も高める、等が考えられています。

ここでは、実践のスキルというよりは、原論ですので、もう一歩進んで、なぜそうなのかということについて議論してみたいとおもいます。スキルは別途多数ある官有謀先生の本・ビデオ等を、また類書お読みください。こまかく、丁寧に書かれています。

①  反射区が存在するということ
官足法では、反射区と呼びますが、要はリフレクソロジーのことです。REFLEXOLOGYですが、REFLEXには反射の意味もあるので、おなじことを言っているのだと解釈してもいいかと思います。
リフレクソロジーというのは体全体の臓器や部位が一部(手、足、耳など)に縮小されて映し出されているということで、その映し出されている部位と当の臓器や部位がつながっているとする理論です。
近代において言い出したのは、アメリカの耳鼻科医師であったウイリアム・フィッツジェラルドで1917年に「ゾーンセラピー」を提唱したのが始まりとされています。それは爪先を圧すると歯の痛みが治まるという事実から、麻酔効果を発表したことから始まるとされています。体の先端に圧をかけることで、体の臓器・部位に局所麻酔効果をかけるものだったのですが、この発見がゾーンセラピーへと発展しました。
発表当時は相手にされなかったのですが、これに関心を示したジョセフ・ライリーという医師が継承発展させ1919年に「簡単なゾーンセラピー」を出版します。この二人は良き友人で、ライリー博士のもとで助手を務めていたのが理学療法士のユーナス・インガム女史で、彼女が足裏に各臓器・部位を割り当てたマップを完成させます。それが有名な「インガムメソッド」です。すでにメソッドというように療法へと確立していきます。足裏を揉むことによって効果をあげる療法になっていたのです。
このインガハム女史は1938年には「足が語る物語」1945年には「足が語った物語」をあいつで出版して大いに反射療法を普及させていきました。
彼女のもとには多くの人が訪れ学んでいきました。そしてドイツ、イギリス、カナダへと持ち帰り広めていくことになります。そんな中の一人であったマルカート女史は1975年に「足の反射療法」を発表しますが、その中で、縦型のゾーン分けに加えて横のゾーン分けを考案しています。そのことによって、インガム女史の直観からの療法から、もっと正確に臓器と部位をプロットしていきました。
 

この反射区の地図は、リフレクソロジーを主張する方々は似たようなものですが、少しずつ違っています。
我が官足法の反射図表でも少し違っています。
日本にやってくるのは、スイス人神父であったジョセフ・オイグスター(呉若石―台湾名)が台湾で足裏マッサージを始めたのが始まりとされています。独学ではじめて、自分のリュウマチを治したとネットのプロフィールに書かれてあります。その後、スイスに帰って修行したとありますので、インガム女史流のリフレクソロジーを学んだのでしょう。その後台湾にもどり施術を始めたのが若石(じゃくせき)法の始まりとされています。

官有謀は、自分の虚弱体質を治そうと健康法を探していた時に、河原で遊ぶ子供たちが、小石がゴロゴロしている河原を裸足で走り回っているのをみて、そうだ足裏を子供たちのように柔らかくすればいいんだと気付いたと言われています。大人たちは子供のように裸足では河原を走り回れません。痛くて。それは、老廃物が足裏にこびりついているからだと発見したのです。
官有謀も反射区を認めている点で若石法とは近い関係にありますますが、決定的に違っているのは、人体には反射区があるとするだけでなく、老廃物が足裏に残留しているとする見解にあります。ここは重要です。話に聞くとその違いが若石から分かれていった原因にあるように思われます。
老廃物の問題は次の節でお話ししましょう。

それより、なぜ反射区なるものが人体にはあるのかということです。官有謀の本には出てきませんが、「全息胚学説」なるものを教わりました。おそろく、若石から来ているとおもうのですが、部分が全体と対応しているとすることだそうです。それを、コメの胚が米粒全体の一部であるが、これがすべてであるという説明を受けました。しかし、これはおかしな話で、我々の食べている白米はこれは稲の全体ではなく、稲が発芽して成長するための栄養分だったのですから、胚が部分で玄米が全体とはいえません。この比喩はおかしいのです。

ともかく、反射区なるものがあるとひとまず了解してください。詳しくは後の章で議論します。

②  老廃物を押し流す
老廃物、即ち代謝の最終産物が残留しているので、それを押してつぶして流す、ということです。
ブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸、などが代謝されて生体のエネルギーであるATPを産生します。その時に完全に代謝されて、水と二酸化炭素になり切れなかったリンの化合物や炭酸の化合物、が残留しています。またプリン体から尿酸が産生されますが、排泄しきれなかった尿酸が結晶となって体内に残ります。これらが、心臓から一番遠い足裏に残留しているのです。それも、硬い骨とか腱とか関節に付着しているのです。それを押してつぶして流すことになります。
この結晶(塩)を押すと神経を圧迫するから痛いのです。
リフレクソロジーよりこちらの方が重要だと考えていることは、主著『官足法 足の汚れ〈沈殿物〉が万病の原因だった』(文化創作出版)のタイトルに現れています。足の汚れなのです。
これを、揉み解していくことが大切になるわけですが、若石のように手の指だけではおこないません。むしろ、棒を使います。またいろいろな道具をつかいますが、これは確かに痛いです。若石がいう「痛気持ちいい」ぐらいというわけにはいきません。初めての方なら悶絶するぐらい痛いです。
人が食事をする限り、老廃物はたまっていきますので、それがうまく排泄されなければ、人体にとって負担になることは間違いがありません。これを血液に流せば早いですが、リンパの流れだと遅くなります。

③  血液循環理論
官有謀の第三の著作『大自然と人間の健康』(文化創作出版)において、その副題に「その摂理と血液循環理論」とあります。血液循環理論というのは、人体の足の脈が打っているかどうかをめどにして、血液が100%くまなくまわっていれば、老廃物は排泄されどの臓器にも負担がなく、自然治癒力が発揮され病気の心配がなくなるというものでした。単に血液循環のことだけなら、有酸素運動でもいいわけで、足を揉む必要はないわけですが、すべてがすべて排泄されずに残ってしまうというのが、先の②でお話ししたようなわけで、血液の循環は足揉みの結果なので、これが原理というわけではないと考えます。
しかし、実際に酸素と栄養が十分末端まで運ばれ、そして老廃物を回収して排泄しておればなんの問題もないわけですが、そうはいかずに加齢とともに沈殿物はため込まれます。
また、血管に流すだけでなく、リンパにも流れていくので、リンパのながれもよくすることは必要となってきます。

④  陰陽五行説を採用しての説明
官足法では、陰陽五行説を取っています。これは中国の医学が採用した理論ですが、陰陽説と五行説というもともと違うものをくっつけて理論化したものです。宇宙を説明する、木火土金水とういう五つの要素にそれぞれ陰陽をつくり、それを臓器に割り当てたのもです。
それは連想ゲームのようにくるくると回るし互いに相互関係を有しています。「相生」といって相性のいいもの、「相克」といって相性の悪いものがあります。
これらは、中国における一種の形而上学なのですが、これは「氣の流れ」という経絡によって説明しているようです。なぜなら、万物は変化していくもので、それは大宇宙から人体という小宇宙まで同じ原理で動いていると考えるからです。
振り分けた臓器は、木が肝臓・胆のう、火が心蔵・小腸、土が脾臓・胃、金が肺・大腸、水が腎蔵・膀胱です。また、陰が「臓」で陽が「腑」に配置されています。「臓」は臓器で、「腑」は中腔のある臓器とされていますが、中医による独特の概念なので、解剖学でいう臓器とは概念がことなります。陰陽は対立する概念というよりは、対称な概念ないし、男女のように補完する概念に近いと考えられます。
ともかく、その理論を使って、対応しようとしています。
たとえば、頻尿で過活動膀胱の状態の時、腎臓・膀胱の相克の関係にある脾臓・胃を強く揉めばよいというようにです。実際に効果があって、夜間の排尿が抑制されるという結果が出ます。しかし、排尿が抑制されるからと言って、排尿困難になるというわけではありません。あくまで、氣の流れの滞りを元に戻すものですから、行き過ぎる反応はないわけです。

⑤  宇宙論からの身体という小宇宙
この理論は『大自然と人間の健康』で展開されています。いまは絶版になっていますが、それは天体の原理から人間の健康に向けて展開されています。それは、第1章「なぜ、人間は地球上で生きていけるのか」で詳述されています。その概要は、要約するだけでも多くの紙数をようしますので、後の章でご紹介します。

⑥  補論
以上がおおよその原理論ですが、重要なことは、これまでの医学が対症療法だということです。それは近代医学にかぎらず、中医でもおなじであって、本当の意味での健康という予防医学にはなっていないことです。
官有謀は先の『大自然と人間の健康』の「まえがき」でこう述べています。

漢方医である叔父を頼って漢方の勉強をしたり、鍼灸、指圧、温灸等を研究してきたのである。しかし、人の体で研究しても、対症療法のみで、病気の治療には役に立つが本当の意味での健康、つまり、予防医学には程遠いことを痛感した

官足法は予防医学であって、対症療法ではないのです。そこを勘違いされて、腰が痛いのシリアスな疾患をかかえているなど、それを治してほしいとくる人たちがいます。あなたまかせなのです。官有謀は自分の健康は自分で作ると言いました。自分でしなきゃ意味がないのです。
そこで、私はいわゆる施術はよほどのことがないとしません。揉みかたは教えますが、自分で揉めといいます。
サミュエル・スマイルではありませんが。「天は自ら助けるものを助ける」ということで、自分から健康になりたい、治りたいという意志がなければ、治らないのです。
官足法は医療ではありません。健康法なのです。
つまりは、長くやり続けないと効果も出ないし、意味がないのです。官足法なんて痛いばかりで効かないという方は、揉んでいると自分ではおっしゃるのですが、揉んでないのです。揉めば、必ず結果はでます。


 
 

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