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七草にちかが望む空

アイドルマスターシャイニーカラーズが3周年を迎え、新アイドルユニット「SHHis」が結成されました。メンバーは283プロの事務員である七草はづきの妹、七草にちか(16)と、アイドル経験者の緋田美琴(24)です。

今回は七草にちかについて、WINGを通して自分なりの考察を書いていこうと思います。まだ、にちかのWINGをプレイしてない人は是非自分の手で彼女をプロデュースしてください。

にちかとの出会い、第一印象

にちかとプロデューサーの出会いは、今までのプロデューサー→アイドルのようなスカウトやオーディションの図ではなく、にちか→プロデューサーへの逆アプローチから始まるものでした。アイドルに対して並々ならない情熱がある彼女の性格は、強かで、でもどこか愛嬌がある、可愛がられる妹キャラといった印象でした。
研修生として283プロに所属することになったにちかに、姉のはづきさんは「WINGに優勝出来たら、アイドルを続けてもいい」という条件を出してきます。ここからにちかと、僕達Pの負けられないWINGが始まります。

七草にちかと、
八雲なみ

アイドルに対し並々ならない情熱を持つ彼女、その原点は「八雲なみ」というアイドルでした。
「なみちゃんみたいなアイドルになりたい」そう思って始まったにちかの夢は、次第に「なみちゃんみたいなアイドルにならなきゃ」「そうでなくちゃ誰も私を見てくれない」という呪縛に。「八雲なみ」はにちかにとって、翼であり足枷でした。
八雲なみのインタビュー記事にある「足に合わせるんじゃなく、靴に合わせる」という言葉を己が信条とし、「八雲なみ」という靴を履くにちかに、プロデューサーは疑問を感じます。
プロデューサーの信条は「アイドルが望む空に羽ばたけるように」、「八雲なみ」という足枷をつけたままの彼女では、例えWINGに優勝したとしても「アイドルでいること」は叶わない。羽ばたけない。迷いながらも彼女が幸せになる道を模索します。

閑話:七草家と天井努

にちかの憧れとして出てきた「八雲なみ」とそのインタビュー記事の言葉、実は以前に出てきます。越境イベント『プレゼン・フォー・ユー』。
このコミュでは、283プロのアイドル達がプレゼン資料をバトンとしプロデューサーまで届けるというあらすじの裏で、天井社長が過去、プロデューサーとしてアイドルを受け持っていたことが明らかになります。そこで天井社長がアイドルに言った言葉が「足に合わせるんじゃない、靴に合わせるんだ」というセリフなのです。
また、越境イベント『明るい部屋』では、天井社長が「七草」という人物に思いを馳せるシーンが描写されました。
「天井努」と潰れてしまったアイドル「八雲なみ」、それに憧れた少女「七草にちか」と「プロデューサー」、世代は代わっても、思いは受け継がれていきます。因縁と悔恨を手にしたプロデューサーはどのような選択をするのでしょうか。

アイドルでいられる時間

「憧れは理解から最も遠い感情」とはよく言ったもので、にちかは天井努の作った「八雲なみ」という虚像に縋り、その奥にいる本当の八雲なみには気づけないでいました。
そしてはづきさんから言い渡された条件、にちかの中にあるのは、ただ「WINGに優勝すること」。今、アイドルでいる時間、アイドルの自分、そしてその先の未来。その全ては『WING優勝』のために。手段と目的は入れ替わり、その「先」が見えない彼女の「アイドルでいられる時間」は、勝っても負けてもWINGまでだったのでしょう。プロデューサーはそのことに気づいていたから、合否連絡の時その「結果」よりも、彼女が幸せか、悲しい顔をしないかということを考えていたのだと思います。

WING敗退

シーズン3クリアコミュでのにちかのセリフ
「素敵な靴、いっぱい履けて……いいな
私、トレーニングシューズで終わっちゃったら………」
この言葉がすごく心に重く突き刺さっています。僕は、このトレーニングシューズこそが、にちかをシンデレラにしてくれる、にちかだけのガラスの靴なんじゃないかと思っていました。だから、敗退コミュ「who」の最後で
「シューズも、捨てちゃおっかなー……!」
って言葉を聞いた時は涙が止まりませんでした。結果を追い求めて、それが叶わなくて、にちかには何も残らなかったのかなって思ったら悲しくて、それ以上ににちかは悲しんでるんだろうなと思うと辛かった。ただ、笑顔でいてほしかった。プロデューサーがそう思っていたように。

WING優勝とその後

WING優勝を果たし、今まで彼女を支えていた気持ちの糸と、縛っていたものが消えて倒れ込むにちか、苦しそうに笑うそれが、彼女の本当の笑顔でした。

今までにちかの背中を押してきた「八雲なみ」、白盤の『そうなの?』という手書き文字が彼女の裾を引きます。WINGという目的も無くなり、アイドルの指針を見失うにちか。プロデューサーとイヤホンを分け合い、『八雲なみ/そうだよ』を流します。完璧で永遠で、でも幸せにはなれなかった曲。売れることが幸せになると信じていた天井努の「答え」。

それに対するプロデューサーの「答え」は、「にちかが幸せになる。その為のアイドル活動、プロデュースにすること」でした。
本当に本当に、プロデューサーがお前でよかったと、心の底からそう言いました。
にちかが八雲なみを「悲しいから好き」だったように、僕達Pもプロデューサーも、にちかにそういう部分があるから好きになっていったんだと思います。でも今は、ただ彼女の幸せを願っている。完璧も永遠も、有終の美も何もいらない。彼女が幸せであればそれでいい。そう思っています。

大好きな曲を口ずさみながら涙ぐむにちかは、儚くて美しかった。でもそんな姿が霞むくらい、これからの彼女が眩しく幸せでありますように。

彼女が望む空を見つけられますように。

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