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理学療法に活かす橈骨神経の解釈

はじめに
11月末の記事ですが、データ移行不良で投稿できず申し訳ありませんでした
今後ともよろしくお願いいたします

橈骨神経は腕神経叢の後神経束から分岐し、上腕三頭筋に枝を伸ばしたのちに上腕骨後方で橈骨神経溝(図1)を通ります


図1 プロメテウス参照



図2 プロメテウス参照
図3 プロメテウス参照 橈骨神経の分布

図2.3のように後上腕皮神経や下外側上腕皮神経、後前腕皮神経に分岐します
その後長・短橈側手根伸筋や腕橈骨筋に枝を伸ばし、肘の周辺で橈骨神経深枝と浅枝に分かれます
深枝は後骨間神経(運動枝)、浅枝は浅橈骨神経(感覚枝)として走行していきます
分岐後は回外筋に深枝、腕橈骨筋の深層に浅枝が走ります
主な絞扼部位は上腕骨後方の橈骨神経溝と回外筋で構成されるフローゼアーケード(回外筋管)です
橈骨神経溝の絞扼は骨折に伴うことが多く、上腕三頭筋に枝を伸ばした後での絞扼になる為ドロップハンド(下垂手)になります
フローゼアーケードの絞扼は変な姿勢でいたと問診で訴えることが多く、橈骨神経溝の絞扼でも言えますが腕枕を多くしていると圧迫されることもあります

深枝は以下の筋肉を支配します
尺骨手根伸筋
総指伸筋
小指伸筋
長母指外転筋
長・短母指伸筋
示指伸筋

長母趾外転筋や短母指伸筋に深枝が伸びるため、フローゼアーケードでの絞扼でもドゥケルバン様の症状が出ることもあります
そのため、フィンケルシュタインテストも偽陽性になることもあります
しかし運動神経であるため筋萎縮は認めますが知覚障害は出ません
上記筋が障害されるため手指を伸展することができずドロップフィンガーになります(橈側手根屈筋は障害されていない為、手関節の背屈は可能です)
上腕三頭筋にも影響がある場合や、後上腕皮神経や後前腕皮神経領域に障害がある場合はさらに近位の問題を疑いましょう

橈骨神経伸張テスト
セラバンドで体験することができます
肢位
頚部:側屈
肩:外転+内旋
肘:伸展+回内
手:掌屈


橈骨神経の走行



橈骨神経伸張テスト

写真より肩関節外転角度を増やすと腋窩部がさらに伸張されます
その為、テスト陽性だけで終わらせずにどこのストレスを増やした時に症状が強くなるかで絞扼部位を推測できるとなお良いかと思います


以上のことをふまえて例えば・・・
母指側手背に感覚障害あり
筋萎縮なし
橈骨神経伸張テスト+ (掌屈強制で症状悪化)

このような場合は橈骨神経浅枝の問題を疑います
その為、腕橈骨筋深層をリリースするなどの治療アプローチも良いかと思います
もちろんティネル兆候やその他の評価を織り交ぜると更に信憑性が増した評価、治療になると思います


〜以上、月末理学療法士/そう でした〜
こちらのコンテンツは「巨人の肩の上」という言葉があるように、文献などを参考に臨床経験(失敗体験も含む)も交えて発信しています
またメディカルに完璧な正解がないことをひしひしと感じます
そのため、あくまでも自身の治療の〝引き出しの一つ〟にして頂けると幸いです

参考文献、書籍
Donald A.Neumann(原著者)PaulD.Andrew 有馬慶美 日高正巳(監訳者)筋骨格系のキネシオロジー2018
Ricard L.Drake etc(編集)グレイ解剖学2007
医学書院出版 プロメテウス解剖学コアアトラス 第3版 2018

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