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シンプルによいものをつくる。坂本恭子が描くSODAのデザイン組織の未来とは?

ソフトバンク・ビジョン・ファンドをはじめ国内外から資金調達を実施し、競合のスタートアップ企業を買収、アジアや北米といった海外への進出など、挑戦を続ける株式会社SODA。SODAで働く人を紹介する”Why I'm Here”シリーズ第3弾。複数のスタートアップにてデザインをリードした経験を持ち、現在ではSODAのデザイン組織を牽引する坂本恭子氏に、自身の過去・現在・未来について聞いた。

美大への行き方さえ知らなかった自分がデザイナーの道へ

— まずは学生時代のことを教えてください

坂本: 関東の田舎出身なんですけど、小・中学校はひたすら本を読んでいました。小学校のときは斎藤惇夫さんという児童文学作家の「ガンバの冒険」シリーズを読んでいましたね。どの本もやたら分厚かったのを覚えてます。中学校のときは司馬遼太郎さんや五木寛之さんをはじめ、いろんな本を読み漁っていて、小・中学校で一生分活字を読んだんじゃないかというレベルで。高校は、バイトに明け暮れていて、色々やった中でも結婚式場でひたすら式場のドアを開けて閉める仕事が印象に残ってますね。高校は理数科で進学校だったので、周りは医学部や看護学部とか薬学部とかを目指す中で、私はただなんとなく美大に行きたくて。高校3年生のときに先生に言ったら、美大を目指す人は、デッサンの学校に行って、もう何年も何年も勉強していくんだよって言われて、え、そうなんですか、知らなかった、となって。でも、筆記だけで行ける美大あるだろうと思って探したら1校だけあって、短大だったんですよ。その短大に進学して、短大卒業後は岐阜のIAMAS(イアマス)に行きました。

— 短大&専門学校時代について教えてください

坂本: このときはデザインとメディアアートに熱中していました。IAMASが、大学院と専門学校が併設されている学校で、大学院の人と一緒に授業を受けたりしていましたね。同級生も最年長だと40歳ぐらいの人がいたり、多くの人が大卒で平均年齢が20代後半と割と変わった学校で。メディアアートを日本で一番初めに教育機関として設立した学校だったんです。いわゆるデバイスでピコピコ系の授業があったり、デザインやプログラミングの授業があったり、ユニークな授業が多くて楽しかったですね。

— デザイナーを目指したキッカケは?

坂本: 小さい頃から絵を描いたりイラストを描いたりはしていて、自分で言うのもあれなんですけど、割と手先が器用だった方で、田舎だったこともあって賞とかは何個か取っていましたね。ただ、本格的にデザインを勉強し始めたのは短大からです。短大のときからデザイン系の仕事はしたいと思っていたけど、どういう仕事があるかよく分かっていなかったし、短大卒業してグラフィックデザイナーにすぐなれるみたいなことはないんだなと知って。一方で、情報デザインやメディアアートの学校に別で行って、デジタル系の勉強をして、そっちだったらデザインの仕事は結構あることを知って、短大からIAMASに行くことにしました。

デザイン事務所、Web制作会社、フリーランスを経てSODAへ

— 卒業後、ゼミの教授のデザイン事務所に入社されています

坂本: 卒業後はゼミの教授のデザイン事務所へ行きました。美大の先生って建築学科とかもそうだと思うんですけど、自分で事務所をやりながら、大学でも教えているんですよね。自分の事務所で人が足りなくなったらゼミで頑張っている学生に声をかけることも多くて。デザイン事務所ってしょっちゅう募集を出すわけでもなくて、ゼミ生はデザイン事務所で修行したいんですけど、空き枠がないとそもそも行けなくて。事務所で働いている先輩が独立するから一枠空くけどどう?ってタイミングよく誘ってもらいました。選んだ理由は2つあって、デザインの基礎をとりあえず学べるというのと、厳しい環境に身を置きたかったですよね。苦労は先にしたかったので。雑誌や本のエディトリアルデザインやWebデザイン(マークアップも)をやっていました。基本深夜まで働くようなハードワークで、3年とちょっといたんですけど、ここでデザインの基礎を叩きこまれましたね。

— その後、制作会社を経てスタートアップの世界へ

坂本: デザイン事務所でクライアントワークをやっていたので、総合広告代理店に行ったほうが仕事の幅が広がってもっと面白いことできるかなと思って、ファッション系に強いWeb制作会社や博報堂グループのWeb制作会社に転職しました。体力的にはこのときが1番キツくて、朝まで作業して、ネカフェで仮眠して、クライアントに提案してみたいな。で、コンペで負けるときももちろんあって、シンプルにそういうときは辛かったですね。朝までの作業中もアートディレクターが私の席の後ろに立って、作業している間ずっと見ていて、逐一フィードバックをしてくれるんですけど、毎回緊張感がとんでもなかったですね。クライアントワークを長年やる中で、より事業を自分ごと化したいという気持ちが強くなってきていて、そこから初の事業会社、しかもスタートアップに転職することになりました。

事業会社の中でもやっぱり自分が強く興味あるファッションに関連しているサービスをつくっているところがいいなと思って転職したんですけど、デザインマネージャーをはじめ、デザインチームのマネジメント、UIデザインのディレクション、グラフィック系のアートディレクション、採用、PdM(プロダクトマネージャー)まで幅広く経験させてもらいました。C向けのアプリだったんですけど、アプリのデザイン業務は初めてで、UIの経験もなかったですし、最初はプッシュ通知って何?って感じでしたね。酸いも甘いもじゃないですけど、良いところも悪いところも、意思決定して自分でやることの重要さだったり、スタートアップのいろはを学べて、自社事業のデザイナー、マネージャーとしてあるべき姿だったり、とにかくスタートアップに必要なことを一気に学べたことは自分にとってかけがえのない時間でした。人生で1番、学ぶことが多かった時代ですね。

— その後、フリーランスを経てSODAに入社されています

坂本: その後いくつかのスタートアップを経て、フリーランスとして働いていたんですけど、次転職するなら、今までファッション系でやってたから、できればストーリー的に同じ領域で活かせるところがいいなと思っていて。ただ、ファッション領域で新しいことってなかなかないなと思っていたタイミングで、以前一緒にサービスをつくったことがある想くん(松浦想)がSODAにいて、ほんとにたまたま声をかけてくれたんですよね。SODAでは、今までやってきたことを活かせつつ、領域を増やせそうだし、海外にも注力し始めていて面白いタイミングかなと思って、入社を決めました。

デザイナーがスクラムに入ってサービス開発する難しさ

— SODAでデザイナーとして、やってきたことを教えてください

坂本: SODAには2023年の4月に入社したのでちょうど半年経ちましたね。この半年間でいうと、入社してすぐに大きめの新機能を担当することになりました。今もユーザー体験がガラッと変わるような大きめの施策が3つほど進んでる感じですね。入社してすぐに大きめの施策というかユーザー体験が大きく改善するような施策に携われているのはやっぱり面白いというかシンプルに良かったですね。

— デザイナーとして、現状感じている課題は?

坂本: 今はデザイナーがスクラム(アジャイルプロジェクトマネジメントのフレームワークの1つ)に入って、PdMやエンジニアとサービス開発をする感じに移行している真っ只中ではあるんですけど、なかなか大変というか絶賛試行錯誤している感じではありますね。コミュニケーション面でもまだまだ課題はありますし、デザイナーがスクラムに入って一緒にサービス開発をしていく感じがデザイナーだけでなく、PdMもエンジニアも経験をしたことのある人が多くないのも要因としてはありますけど、ここは日々改善していくのと同時に時間の問題かなとも思っています。

— デザイナーとして、これからチャレンジしたいことは?

坂本: 現状だと、デザイナーがPdMやエンジニアと相談する感じではあるんですけど、デザイナー同士でディスカッションできるような感じにしたいなと思っています。いわゆるペアデザインという手法ですね。それができるような体制にしたいなと思っていて、ディスカッションができることによって初期からクオリティのアウトプットができたり、ぬけもれを防げたりできるので。ベアデザインができるようになるためには、スニダンのサービス規模を考えると1年後にリードデザイナーが3人くらいはいないといけないなと思っています。

デザイン目線でやるべきことを決めて、よりよいものづくりを

— SODAはどんな会社で、どういう人が多いですか?

坂本: 良くも悪くも思ったよりスタートアップだなというのが正直な第一印象でしたね。良いところは、やっぱり意思決定が早いですね。やりたいと思ったら、ある程度のことは任せてくれますし。悪い部分は、まだまだ体制や仕組みが出来上がっていないところですね。これに関しては表裏一体というか、体制が整っていないから早い部分もあるかなと思っていて、必ずしも悪い部分とは言い切れないですけど。人のところで言うと、コミュニケーションをないがしろにしない人が多いですよね。みんな丁寧。なぜこれをやるのかって大前提みんなが理解した方が良いと思っているんですけど、そういうところをちゃんと理解して、今現状をより良くしようと思っている人たちが多いですよね。

— 今後、どのようなことをやっていきたいか?

坂本: さきほどもペアデザインの話があったように、今って本当に最低限の「しないといけないこと」しかできていないんですよ。これをやりましょうってなったときに、こことここはこう考慮して、こういう風にすべきだな、みたいなデザイン的によくできることって本来いっぱいあるんですよね。ただ、そこまでまだ全然できていなくて。デザイナー目線での発信と実行ができると、今よりもっともっと良くなる気はします。その方が仕事ももっと楽しくなりますしね。デザイナー自身がデザイン目線でやるべきことを決めて、どんどんよいものづくりをしていけるようにしたいと思っています。

— ミッションを叶えるためにどういう人と働きたいか、そしてどんなチームを作りたいですか?

坂本: 私自身、キャリアを振り返ってみると、時の流れに身を任せてきた部分が大きいなと思う一方で、お金の匂いがするマーケットに身を置いていることが結果的に多かったんですね。いわゆるホットな市場というか。お金が集まってくるところって、チャレンジができる回数も多いし、新しいことがしやすいし、実際できるんですよね。もちろん、新しいことって大変ですけど、やっぱり楽しいんですよね。最低限の「しないといけないこと」しかできていない現状を打破して、デザイナー自身がデザイン目線でやるべきことを決めて、どんどんよいものづくりをしていけるようにするためには、まだまだ人が足りなくて、これまでPdMやエンジニアとサービス開発をしたことのある経験豊富なUIデザイナーにぜひ一緒に働いてほしいなと切に願っています。

— 本日はありがとうございました!

坂本 恭子 / 株式会社SODA Designer
デザイン事務所や制作会社でアートディレクター・デザイナーを経験後、自社事業のプロダクトデザイナーに転向。主にファッション系のサービス開発に携わった後、2023年4月にSODAへ入社。スニーカー&トレカフリマ「SNKRDUNK(スニダン)」のグロースに注力しつつ、新機能のUI開発や既存機能の改善に取り組んでいます。

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