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教えて!師匠 はきこのおうちシアター vol.3「1票のラブレター」

はきこのおうちでシアターとは?
20年来の友人であり師匠、VITAMIN POWERS FACTORYのデザイナー
日下訓志さんに聞く。オススメ映画を教えて企画です。
靴下好き、かわいいもん好き、個性なもんも好き、そんなはきこ仲間の皆さんとシェアしたい映画から学ぶ、はきこのおうちシアター。
第3回目のはじまり、はじまり。

教えて!師匠 はきこのおうちシアター vol.3「1票のラブレター」

なかなか元の生活が戻らない現状ですが、皆さん いかがお過ごしですか?
行動範囲も限定されて 人と自由に会えない日々ですが、
こういう時は恋愛映画でも観ませんか?
とはいっても、ビシビシ恋愛ってな作品はガラじゃないっすから、
今回は不器用な恋の始まり的な作品を(笑)

イランのババク・パヤミ監督の2001年作品
「1票のラブレター」です。

恋 といえば 海。
そして夕陽と背中はとても似合う。
ちょっとした理解や尊敬から小さな恋が始まり、
恋に気づいた男は海を見つめるものなのです(笑)

ある日、砂漠に覆われた 人の気配もない島に大きな箱が落とされた。
それはなんと、選挙の投票用紙と投票箱。
そのシチュエーションだけで、まずはグイッと引き込まれる。
おいおい なんやなんやこれは。

小さな舟から降りてきた選挙管理委員の女性と島の海岸を監視している兵士は、
その箱を積んで、島に住んでいる人がどこにいるのかも判らないまま
用紙回収のタイムリミット夕方5時まで必死で車を走らせて、
投票をしてもらおうと努力するのでした。

そんな2人の会話や出会う人達とのやりとりの中から
イランの社会や人々の意識を映しながら、人と人とが理解し合う
その始まりのヒントをそっと教えてくれるような素晴らしい作品です。

イランの社会において、自分の意志を持って選挙で投票する事が
より良い社会を作る第一歩だと信じる真っすぐな女性と
銃を持ったぶっきらぼうな男。

この2人の珍道中的な物語が最後の最後には
フワッと色が変わるように淡い恋の物語になり心が温かくなってくる。

「選挙はなぜ4年に1度なのか?1年に3、4回あればいいのに…」

そんなふうにつぶやく彼が 彼女の名前を書いた投票用紙を渡し、
眠ることも忘れ 夕陽を迎える水際に腰かけるラスト・シーン。
1度だけ振り返った彼女の姿が、
心の中で重なっていくように感じられました(泣)

あぁー これは好きなやつや〜〜。
SNS時代にはない このせつなさよ。
素晴らしいです。
ぜひに!

・ひとことはきこ
思わぬことで制限された暮らしを送る今、とても真っ直ぐでシンプルなストーリーが胸に響きます。同時に女性として私たちの生き方についても考えさせられる作品、ホロっとしたした恋心。なるほど、タイトルズバリです(笑)

【一票のラブレター・RAYE MAKHFI】
公開:2001年
監督:ババク・パヤミ
上映時間:100分

一票のラブレター


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