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ソシウムの想い、研究機関から出て創業した理由

ソシウムはこのたび、株式投資型クラウドファンディングによる資金調達への挑戦を決めました。 このnoteでは事業の裏話やビジョン、ソシウムの展望についてお伝えしていければと思います。今回のnoteでは、「ソシウムの想い」と「研究機関から出て創業した理由」についてお伝えします。ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

※ソシウムのクラウドファンディングは、2024年6月9日(日)10:00から開始します。募集ページは以下のURLからご覧いただけます。ぜひ一緒に事業を推進していただける仲間をお待ちしています。



アカデミアの先端技術を社会実装し事業化する

弊社創業者でありCEOの堀本は、30年余り学術研究に携わってきました。専門は、計算システム生物学で、昨今の技術分野において大きなトレンドの1つである「データサイエンス」の一部になります。この計算システム生物学とは、遺伝子やタンパク質といった生物の中に存在する数多くの物質がネットワークを形成し互いに機能しあっている生体内の現象(分子メカニズム)を、数学や統計学といった数理の力を使って表現し理解する、という学問です。

堀本は、まず理論や計算の生物学からスタートし、研究成果を論文として発表してきました。しかし、理論を考え、予測し、論文発表するのみでなく、自分の予測の検証をしていただく共同研究を学問の中で行い、検証結果を実社会で役立てたい、実装したいと考えるようになりました。ちょうどその頃、「技術を社会へ」というモットーの産業技術総合研究所(経済産業省所管の国立研究開発法人、産総研)に異動のお話をいただきました。この産総研にて、堀本は自分の技術を生かすことができ、かつ、創薬に関わるセンターである、創薬分子プロファイリング研究センターにおいて副センター長を務めました。このセンターで創薬に関わる多数の民間企業の方々と共同研究を行うことができ、創薬ビジネスの厳しさを学習すると共に、堀本の技術を生かせる可能性をより強く感じてきました。

創薬とは、ヒトの中で起きている分子メカニズムを深く理解することから始まり、病気の人と健康な人を解析して生体内での働きの違いを発見する、そして、病気の人の生体内の働きを正常な状態へ向ける機能を持つ物質を創り出すこと、と言い換えることができます。ヒトにおいて、この生体内分子メカニズムに登場する遺伝子は25,000種以上、タンパク質は10万種以上あるといわれており、今なお、新しい遺伝子・タンパク質が発見され、機能が解明されています。この膨大な数の遺伝子やタンパク質が互いに機能しあっている生体内を、人が理解することはなかなか難しいです。しかし、計算システム生物学を使うことで、思い込みが入り込む余地なく、創薬における「ヒトの分子メカニズムを深く理解する」こと、そして、「病気の人と健康な人を解析して生体内での働きの違いを発見する」ことが可能です。

そこで堀本は一念発起し、産総研のベンチャー起業支援制度に応募しソシウムを創業しました。

第1回 AIST Startup Pitch に登壇した時の様子(2023年2月17日撮影)


ソシウムが解決したい課題

ソシウムは、「薬のない人に薬を、薬の効かない人に薬を」をビジョンに掲げています。このビジョンに則り、ソシウムが解決したい3つの社会課題についてお伝えします。

「アンメット・メディカル・ニーズ」に応える

SDGs(持続可能な開発目標)の目標の中の1つに「目標3: すべての人に健康と福祉を」という項目が挙げられています。医療技術の進歩と並行して、WHOやNGO、社会貢献を進める企業らによる献身的な活動により、世界のほとんどの国で人々の寿命は延び、常に医療が受けられる体制ができ始めています。このように「持続可能な医療」が世界的に求められ、これに応えるよう日々多くの方々が活動されています。一方で、希少疾患のように治療法が確立されていない、または、現状の治療方法では患者様の負担が大きい疾患に対する医療ニーズのことを「アンメット・メディカル・ニーズ」といい、近年注目されています。ソシウムの開発した創薬技術により、「薬の無い」もしくは「効く薬の無い」希少疾患の患者様のために治療薬の開発に貢献します。このアンメット・メディカル・ニーズについては、後日、別記事にてご紹介いたします。

いま薬を待っている患者様の元により早く薬を届ける

昨今の新規医薬品開発は、9~17年といった非常に長い開発期間と数千億円ほどの膨大な開発費をかけ、ようやく患者様の元に医薬品を届けることができます。一方、患者様の疾患には刻一刻を争うものもあり、この開発期間を気長に待ち続けることはできません。既存薬を活用する「ドラッグ・リポジショニング」は、開発に必要な期間を3~12年、費用を50~60%削減できるとの報告もあり、迅速に新薬開発を行える可能性がある開発方針の1つです。このドラッグ・リポジショニングについては、後日、別記事にてご紹介いたします。

社会課題である「医療費の抑制」への貢献する

近年創薬にかかるコストは非常に高騰しています。2004年における1社当たりの研究開発費は621億円でしたが、2017年では1,414億円と、約2.5倍に跳ね上がりました。製薬企業にとっては、コストをいかに下げ、着想から上市までの期間を短縮できるかが重要です。そこで、データに基づく創薬アプローチに各社が期待を寄せています。ソシウムは、製薬企業へ新たな創薬技術を提供し開発プロセスの効率化を促します。そして、効率化により開発費用が下がることが期待され、医療費の抑制につながります。


最後に

ソシウムでは、「薬のない人に薬を、薬の効かない人に薬を」をビジョンに掲げ、患者様に一日も早く治療薬を届けることを目指し、新しい創薬技術の開発と並行して、新規医薬品の自社開発も行っています。

また、私たちが目指す世界の実現に向け仲間を増やすことを目指して、株式投資型クラウドファンディングを開始します。ぜひ一緒に事業を推進していただける仲間をお待ちしています。

(株式投資型クラウドファンディングは2024年6月9日(日)10:00から開始します)


参考
厚生労働省 第7回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会 資料6
医薬化粧品産業労働組合連合会 「みっくす」~未来につなげるクスリのはなし~ 第4号
日本製薬工業協会 一般の方向けおくすりガイド
三菱総合研究所 コラム ドラッグリポジショニングによる創薬力の復活