見出し画像

希少疾患、ALSとは?

ソシウムはこのたび、株式投資型クラウドファンディングによる資金調達への挑戦を決めました。 このnoteでは事業の裏話やビジョン、ソシウムの展望についてお伝えしていければと思います。今回のnoteでは、希少疾患、そして、新規医薬品の開発に関して現在ソシウムが重点を置いて取り組んでいるALS についてお伝えします。

※ソシウムのクラウドファンディングは、2024年6月9日(日)10:00から開始します。募集ページは以下のURLからご覧いただけます。ぜひ一緒に事業を推進していただける仲間をお待ちしています。



希少疾患とは?

希少疾患とは患者数が極めて少ない疾患群を指します。国・地域によって定義は様々ですが、一般的には患者数が人口1万人当たり1~5人未満の疾患を希少疾患と見なしています。日本では、患者数が5万人未満の疾患を希少疾患と定義しています。世界では7000を超える希少疾患が特定されており、患者様数は3億人(全人口の約5%)に上ると推定されています。このうち、約95%の希少疾患には未だに治療薬が存在していない点も注目です。

世界の ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者数

EvaluatePharmaのレポートによると、2024年における希少疾患向け医薬品の市場規模は全世界で29.3兆円にも上ります。この市場規模は年々増加し、2028年には45兆円まで拡大するとされています。ソシウムにて新規医薬品の開発を行っているALSは、この希少疾患に分類されています。このALSの世界における市場規模も、2024年に約6,500億円、2028年に約2兆円と、こちらも年々増加する予想です。


ALSとは?

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)は神経系の疾患であり、筋力の低下や萎縮・運動機能の障害を引き起こす進行性の疾患です。ALSは、神経細胞が徐々に死滅し、筋肉とのコミュニケーションを失うことによって引き起こされます。こうした変化により、筋力が落ちる、けいれん、または運動機能の喪失をもたらします。末期になると、呼吸もできなくなってしまい、最終的には呼吸不全によって命を落とすことが多い疾患です。ALSに発症すると確実に機能が失われていくため、ご家族の介護負担が非常に大きいのも特徴です。

日本における患者様数は2020年度において約1万人と推定されており、世界では約40万人にも上ります。一部の家族性ALS(特定の遺伝子の変異を持つALS)を除いて、ALSの正確な原因はまだ完全に解明されていませんが、遺伝的な要因や環境要因が関与しているといわれています。

 ALSの主な症状は、次のようなものです。

  1. 筋力の低下:特に手や足の筋肉が影響を受けます。日常的な動作が困難になり、歩行や物を持ち上げることが難しくなります。

  2. 筋肉の萎縮:筋肉が徐々に小さくなり、弱くなります。これにより、患者の外観や体格が変化することがあります。

  3. けいれん:筋肉のけいれんや痙攣が発生することがあります。

  4. 発声や飲み込みの困難:ALSは、舌や喉の筋肉にも影響を及ぼすため、発声や飲み込みに問題を引き起こすことがあります。

  5. 呼吸困難:胸郭を動かし呼吸に関わる呼吸筋が弱くなり、呼吸困難が生じることがあります。


ALSの治療薬は?

 2024年5月時点では、日本においてALSに対する治療薬として、疾患の進行を遅らせることを目的とした2種類の医薬品が販売されています。

日本で承認されたALS治療薬とソシウムでの開発パイプライン
  1. リルゾール(Riluzole):リルゾールは、1999年に承認されたALSの進行を遅らせるために広く使用されている医薬品です。この薬は、神経細胞の興奮を減少させ、グルタミン酸の放出を抑制することによって、神経細胞の損傷を減少させる効果があります。

  2. エダラボン(Edaravone):エダラボンは、2001年に三菱東京製薬(現、田辺三菱製薬)によって開発され、2015年にALSへ適用拡大された(効果をもたらすとされている疾患の幅を広げること)医薬品です。抗酸化作用を持ち、活性酸素の生成を減少させ、細胞の酸化ストレスを軽減することで神経細胞の損傷を抑制する効果があります。

 これら承認された2種類の医薬品以外に、承認申請中や開発中の医薬品を紹介します。
まだ日本では承認されていませんが、2024年5月21日に承認申請を行った米製薬企業バイオジェンによって開発された「トフェルセン(Tofersen)」があります。このトフェルセンは、患者の約2%を占める「SOD1」と呼ばれる遺伝子に変異がある一部の家族性ALSに対する治療薬と位置付けられています。
また、これはまだ承認申請までいったっていませんが、2023年10月に武田薬品工業が米バイオ企業のアキュラステムからALSの治療薬候補を取得するライセンス契約を約870億円で結んだことが発表されました。

ALSを対象とした医薬品や治療薬候補をいくつか紹介しました。しかし、前述した承認されている医薬品は、疾患の進行を遅らせることを目的とした医薬品であり、疾患を根治する医薬品は残念ながらまだありません。トフェルセンは疾患を根治する医薬品として期待されていますが、対象となる患者様はALS患者様全体の約2%です。ALSは、マーケットが薬を強く欲している疾患であることがお分かりいただけましたでしょうか?


最後に

ソシウムでは、「薬のない人に薬を、薬の効かない人に薬を」をビジョンに掲げ、患者様に一日も早く治療薬を届けることを目指し、新しい技術の開発と並行して、新規医薬品の自社開発も行っています。

ソシウムでは、ソシウム独自のデータベースとして、様々な公開データから希少疾患の患者様の遺伝子発現データを収集・解析し、自社創薬、ならびに受託解析サービスにおいて活用できる体制を整えました。現在、ソシウムにて実施中の新規医薬品の開発において、ALSの治療薬の開発を行っており、臨床試験へ向けて安全性・有効性が高いと期待される医薬品を創出しています。また、その他の希少疾患の治療薬の開発も並行して実施しています。

また、私たちが目指す世界の実現に向け仲間を増やすことを目指して、株式投資型クラウドファンディングを開始します。ぜひ一緒に事業を推進していただける仲間をお待ちしています。

(株式投資型クラウドファンディングは2024年6月9日(日)10:00から開始します)


参考
DELVEINSIGHT Amyotrophic Lateral Sclerosis Market Insight, Epidemiology And Market Forecast - 2032
Evaluate