【創作】一件のLINE

彼から一件のメッセージが入っていた。僕はそれを恐る恐る開く。どうしてか指が震える。タップするとあっけなく開いて、まだ見たくないからと目を細めた。

昨日僕は色々あって、彼に長文のLINEを送ることになってしまった。内容は、主には謝罪だ。楽しいメッセージではない。昨日のごめん、という連絡のあとに、今彼から返信が来たのだ。

あぁ怖い。何が書いてあるのか緊張する。僕はやらかしたから。申し訳無さと、自分を守るための罪悪感とで、僕の外骨格は役に立たないくらいぼろぼろだった。

しかし、いつまでも目を細めている訳にはいかないから、僕は意を決して、彼が許してくれることを期待して、はっきりと視界を合わせた。

『……僕は君を許せないけれど、それでも良ければ付き合ってほしい』

僕はその文章の意味をすぐには理解できなかった。どういうことだ。許せないのに、今後も付き合ってほしいとは。『ほしい』って、付き合ってほしいと思っていたのはむしろ僕の方だ。

つまり僕は、彼から許されないまま、罪悪感を抱えたままでこの関係を続けるということなのか。それはある種、最もむごい罰のようにも思えた。

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