【社会起業家インタビュー#6】「企業・起業」を支援する事で、地域経済の向上に寄与する ~株式会社ローカルベンチャールーム 富田安則さん(後半)

こんにちは!ソーシャリアです。

前回のインタビューでは、熊本地震を契機に地元に戻り、起業に至るまでの経緯・思いを中心に伺ってきました。

後半となる今回は、いよいよ起業後の話について伺います。地方で起業する起業家同士が支える仕組み」である、「ローカルベンチャーアカデミー」について深堀していきたいと思います。

是非今回も期待ください!!

ローカルベンチャーアカデミーで仲間と共に、事業計画を立案。半年間。費用は無料

【水本】ローカルベンチャーアカデミーについて、詳しくお聞ききしたいのですが、この仕組み自体がボーダレスアカデミーに近い形なのかなっていうのは見ていてすごく思いました。

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【水本】一番最初にお伺いしたいのは、ローカルベンチャーアカデミーの「半年間、費用は無料」というのが、どの様に運営されているのか伺いたいです。恐らく両輪で取り組まれている「コンサル事業」の方で、初期はしっかりとマネタイズを行いながら、「スクール事業」は中長期的な視点で考えられているのかなと推測はしてるのですが、実際のところどの様に考えられて運営されているのか伺いたいと思います。

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【富田さん】第1期はリアルで、2期、3期はオンラインで実施しましたが、第1期の告知のときは、実は有料で実施しました。最初は、来ていただいた人たちに対して、「どんな人たちが起業に関心がある」一方で、「実際はできていないのか?」ということを分析しました。

【富田さん】その時に思ったのが、自分で起業できてしまう人ではなく、「誰かがいないと起業できない人」を支援して立ち上げないと意味がないなという事です。

【富田さん】どちらかというと、「なんとなく起業に関心はあるけど、私なんかにできるのかな」とか、会社員とかでもなく、保育士とか看護師とか「ビジネス経験がない人」等が結構来ているというのが、我々のアカデミーの特徴の一つです

グループ会社の「初年度の黒字化」には非常に拘っている

【水本】2番目のグループ化について、20%の株式を預かってグループ会社として運営するというのは、理想形だと思うのですが、グループ会社になるのは、最初のすり合わせ含め、結構難しい部分もあるのではないかと思いました。

【水本】実際にグループになった後、難しい部分も、もしかすると出てくるのかなとか推測しているのですが、その部分は、如何でしょうか?

【富田さん】ローカルベンチャーアカデミーが終わった後に、起業するかしないかの分かれ道があり、なお且つ、起業する中で、「自分でやるか?」「グループでやるか?」という分かれ道があり、ローカルベンチャーアカデミーの中で、カルチャーも理解しているので、何の問題もなくやれてるという感じです。

【富田さん】あと希望者全員グループ会社でと書いてありますが、我々も投資委員会をやっております。

【富田さん】我々のラインがいくつか決まってるのですが、そのうちの1つが、「1年目の黒字化」です。1年目に「どのように収益の黒字化を実現するか?」という部分に非常に拘っており、そういう意味で言うと投資委員会では、何回もやり直した人がいるのも現実です。

【富田さん】みなさん初めて起業する方々なので、不安がある中でしっかりと黒字になれたというのは、スタート時の自信にはなるので、そこは凄く拘ってやっています。

初年度黒字化の秘訣は、シンプルに「徹底的に顧客と業績に拘る」こと

【水本】具体的にどういう部分に注意したら、成功確率が上がるのでしょうか?

【富田さん】それは本当にシンプルで、「徹底的に顧客と業績に拘る」だけです。

【富田さん】例えば月次モニタリングしたり、KPIモニタリングしたりというのは、大手企業でも当たり前にやると思うんですね。

【富田さん】大手企業がやっていることを、当たり前に小規模事業者でもやるようにすることが大事です。上手く出来ていない時もありますが、月次決算できちんと締めて、月次でマネジメントをする等を、当たり前に愚直にやりながら、駄目だったときに改善点を考えるということを徹底的にやるということですね。

【富田さん】もうその繰り返ししかないと思います。だから起業したときに意外に多いのは、「何か風呂敷を広げてるけど、毎日全然畳んでいない」みたいな感じです。

【富田さん】絵だけ大きくなり、現実はどんどん乖離していくということが多いので、絵はもう十分描いているんだから、毎日をどうやってサイクル回すかというのは、拘ってやっています。

【富田さん】我々から何かをやりなさいということは一切なく、ペースメーカーや、フォローチームがあるということが、多分起業家からするとメリットだと思います。

【富田さん】だから今もやってます。6月決算の会社で全然まだ目標に届いてないから。残り1ヶ月でサービス立ち上げみたいに、必死にサービス/事業をみんなでやっている。そんな感じです。

【吉岡さん】元々何でもできそうな人ではない方が、実際に1年目から黒字化できる等、しっかりと成果を出せるような起業家になるという過程を見ていると、最初に面接した頃から比べて、もう成長が気持ちいいぐらい目に見えているんだろうなと思って。

【吉岡さん】一人の人が、明らかに変わる瞬間を見るのは、特に大人になるとなかなかないのかなって思いました。そういう意味でも、このビジネスモデルは、そういう人に焦点を当てるという部分を、資料を見ただけではなかなか読み取れなかったので、非常に面白いなと思いました。

【富田さん】ありがとうございます。今まさに、保育士の会社が2期目に入ってますが、最初入ってきたときパソコンすら持ってない。エクセルパワポに触ったことがない状態からスタートして、今やKPIとかやってますからね。

【吉岡さん】そういう人たちが、どんどん立ち上がることができるという意味でも、良い事例をどんどん生み出してらっしゃるんだなと思いました。

起業家が戦略構想、顧客折衝に集中できるように、サービス開発・マーケティングをサポート

【水本】最後の事業支援というところなのですが、具体的に特に力を入れて支援してるという部分がもしあったら、是非教えてください。

【富田さん】これは皆さんが起業したときもそうなんですが、当然会社のカルチャーって、経営者のバックボーンに左右されやすいです。

【富田さん】自分はどちらかといえば、テックの会社にいたので、どうやって、「WebやITを活用していくか」という思考が高いんですね。

【富田さん】ソーシャルとかローカルのビジネスだから、ということにあまり縛られないで、起業家のモデルを一緒に組み上げますし、グループのサービスを立ち上げるときは、そのシステムを作るのは全部無料でやっているんです。起業の際、アイディアを元にした、サービス開発は全部、内部でやっています。

【富田さん】サービス開発を担っているのは、インターン生も結構多いので、大学生も一緒になりながらサービスを構築しますし、それが終わったらプロモーションやデザイン等は、マーケティングのチームが運用しているので、起業家は、戦略構想をしたり、顧客折衝するという事に集中できるようにしています。

【富田さん】一方で、丸投げさせないようには注意しています。サービスが完成した後に、後追いでも、サービスがどの様にして出来ているのかについて勉強してもらうようにしています。

仲間を集めるうえで、「複数人同時に採用すること」、「価値観が一致していること」を重視

【水本】起業して3年間で、これだけ仲間が増えて素晴らしいなと感じたのですが、実際に仲間を増やしていく中で、最初の一人目を仲間として迎え入れるときはどうだったのかとか、最初の一人目の見つけ方、会社を大きくしていく方法など、富田さんが今まで気をつけられていたポイントを教えて頂けますか。

【富田さん】一番大きいのは前職のリクルート経験があると思います。経験を元にそこに加味してやっています。

【富田さん】まず一つ目のポイントは、入社のタイミングが同じであれば、「人数はまとめて採用する」ということは大事にしています。

【富田さん】一人づつ採用するのではなく、採用するのであれば、ある程度纏めて五人採用する等しています。

【富田さん】一人で入社すると、その人と、自分の二人の関係性は変えられません。しかし、纏めて五人で入社してくれば、仮に自分と上手くいかなくても五人で悩み等、共有できるじゃないですか。

【富田さん】当然入社して、辞めた人もいますし、入社してずっと一緒にやってくれてる人もいますが、価値観はそれぞれあって、ビジョンとか理念とかというのを非常に重視しています。前職における「スキル」というよりは、「価値観」がどの程度合致しているかというのを大事に見てます。

【富田さん】今は人数が増えたので、1次面接は全員でやってもらってます。自分だけが面接するのではなく、みんなが面接してくれているのですが、みんなの判断基準が間違ってると思ったことはないので、やっぱり働いてる人たちの価値観が揃っており、見る目がしっかりとついてくれば、誰が採用しても、間違わないのではないかと感じています。

一歩踏み出すには、「小さく、行動できるレベルに詳細化する」、「仲間を見つける」ことが大事

【水本】最後に富田さんにお伺いしたいのが、「なんとなく、こういう風にやりたいという絵があって、思いもあるが、具体的な起業とか、最初の一歩をなかなか踏み出せていない方に、一歩の踏み出し方や、何かアドバイスがあれば最後にいただけますでしょうか。

【富田さん】踏み出せていない理由っていくつかあると思うんです。自分が唯一止めるのは「経済不安が理由」の人です。なぜなら、踏み出せない理由は自分の中にしかないからです。

【富田さん】その他の理由で、踏み出せてない人って、多分二つしかないと思っています。

【富田さん】一つは「小さく始めて、きちんと行動できるレベルまで計画に落とし込む」こと。もう一つは、「一緒に動いてくれる仲間を作る」こと。

【富田さん】理想は両方できれば一番いいと思いますが、踏み出せない理由って、色々な不安がきちんと言語化されておらず、踏み出せていないと思います。踏み出せていない理由を、紐解いた方が良いですし、紐解いたときに、それに対するやり方があると思います。

【富田さん】無責任に「いいから何でもやってみよう」というのではなくて、今やろうとしてることを、もっと小さく考え直してみれば、例えば、1週間で回せる事業を考えるみたいな感じで考えると、小さな行動は出来ると思います。

【富田さん】もう少し大きいことやりたいのであれば、お客さん見つけるより、仲間を見つける方が早いので、仲間を見つけて一緒に二人で動くとか、三人で動くとか、三人で三つのことをやる等した方が動きやすいんじゃないかなって思います。

終わりに

今回のインタビュー如何だったでしょうか?

起業する際、起業家には多くの不安が付いて回るもの。

「自分に本当に出来るのだろうか?」「具体的にどの様にすればよいのだろう?」

そんな不安に対しても起業家同士が支えあいながら、人材・ノウハウを共有しながら、確実に事業として立ち上がる仕組みをお聞きし、目から鱗の連続でした。

<運営メンバープロフィール>
【水本】社会起業家養成所ボーダレスアカデミーにて社会の為、周りの為に奮闘する社会起業家とそれを目指す人達に魅せられ、本取り組みを開始。
また休日は3児の父として子育てに奮闘中。






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