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【第三回インタビュー】株式会社nicomama 江釣子千昌さん(前半)

こんにちは、ソーシャリアです。

「ソーシャリア社会起業家インタビュー」の第三回目は、初めての妊娠・出産・育児に不安を抱えるママに対し、”かかりつけ助産師”のサービスを提供する、「株式会社nicomama 江釣子千昌さん」にお話しをお伺いしました。

Youtubeでも公開されておりますので、よかったらご覧ください。

会社紹介

今回のゲストは、株式会社nicomama 代表 江釣子千昌さんです。

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株式会社nicomamaは、「暮らしの中で、人と人がつながり、安心が生まれる。日本中の妊娠・出産・子育てに本質的な安心を生み出す」をビジョンとして掲げ、病院や地域で助産師として、長年、日本の子育て環境に携わってきた、江釣子さんが、現場で感じた、育児不安やうつ病、自殺、虐待などといった、社会課題を解決すべく、2020年7月7日に創業した会社です。

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nicoamamaの”nico”は、「笑顔が生まれる」、”mama”は、「女性が本来持つ力や想いが通い合う場所」を意味し、ロゴは”人と人が寄り添う事”を表現しています。

初めての妊娠・出産・育児に不安を抱えるママに対し、nicomamaは、助産師や専門家との出会いを提案し、専門性ある知識・ケアの提供に留まらず、”心に寄り添う事”で、ママの不安を解消します。

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こちらのデータは、2018年国立成育医療研究センターが「産後1年未満に自殺した母親」の人数について纏めたデータです。
2年間の人口動態分析を活用し、出産後1年未満に死亡した女性について分析したところ、自殺が92人と最も多く、出産後1年を通じて自殺が起きていました。

また、周産期の精神的なケアは女性だけの問題だと思われがちですが、右側のデータが示すように、産前産後にうつになるのは男性でも1割に上っています。

この様に、子育て社会では産後うつや自殺、虐待が大きな社会問題になっており、その原因の一つとして、「身近に困った!が言える環境がないこと」が上げられます。

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そんな原因に対する解決策としてnicomamaは、専門家の確かな知識と経験で、おうちに居ながら学べるオンライン開催の「プレパパママクラス」のほか、自分の体や心に合ったケアが定期的にうけられる「かかりつけ助産師」など、妊娠・出産・育児のあらゆる悩み・不安に寄り添い、ママとその家族をサポートします。

それでは、そんな「nicomama」を提供している江釣子さんがどのような方なのか、インタビューしてみましょう。

はじめに

【吉岡さん】今回のゲストは株式会社nicomama代表取締役の江釣子千昌さんです。どうぞよろしくお願いします。

【吉岡さん】株式会社nicomamaのご紹介ですが、まず掲げているビジョンについて、文章ですけど、ちょっと読み上げたいと思います。

【暮らしの中で人と人が繋がり、安心が生まれる。日本中の妊娠出産子育てに本質的な支援を生み出す。それがの目指す姿です。人は本来持つ力や想いが心地よく通いあう、愛情が巡る子育て社会を未来に残します。全ては未来を生きる子供たちのために。】

【吉岡さん】こちらがビジョンとして掲げているものですが、江釣子さんの思いが、このビジョンの中にも色々と、詰まっているんだろうなと想像していますし、心地よく通い合うだとか、温かみのようなものを、このビジョンから、私は感じました。

nicomamaの強みは「本当にあなたの体、心に寄り添うことが出来る」こと

【吉岡さん】ネットの場合は引き出しだらけで、どれが正しい場所なのかが、わからないというのが、私の身近でも感じることがあり、引き出しが多すぎて、どれが正解かわからない状態なので、ちゃんと勘所を掴んだ、引き出しを教えてくれるような、そういうサービスが、nicomamaなのかなという風に思いました。

【江釣子さん】情報がただでさえ多い、この社会の中に、さらに情報を増やしてくという事に、違和感を感じている部分がありまして、個の寄り添いっていう所を、大事にしたいとう、少し頑固な、こだわりがあるんですね。

【江釣子さん】なので、来てくださった方には、本当に100%で応えたい、っていう意思はあるんですけれども、こちらから何かあらゆる情報を発信するというスタンスではないというのも特徴だと思います。

【江釣子さん】その考えに行き着いた理由も、同じお母さん、同じ赤ちゃんって、1人たりとも見たことがないんですね。100人いれば100通りっ、てよく言いますけど、妊娠期の体の症状、心の変化が違えば、お産も同じように生まれる親子はいないですし、産後も、抱える悩みは、それぞれ違ったりするので、同じ情報をですね、同じように見つけても、捉え方が違うと、自分に当てはまらないことが起こりえます。

【江釣子さん】生活背景だったり、育ってきた環境だったり、あとは社会的にどのような仕事をされてるかとか、本当に細かく、家族像を見ていくことが、個別性のケアに繋がるなっていうふうに感じてるので、情報を増やしたくないっていうのはあります。

【江釣子さん】ネットで検索する前にこちらにおいでっていうのが本音です。本当にあなたの体の他の心に寄り添った、寄り添いができますよ、というところが、nicomamaの強みだと思っています。

子育て社会では産後うつや自殺、虐待が大きな社会問題に

【吉岡さん】妊娠・出産時期は、難しい時期なんだっていうのも背景にあると思うんですが、今回、色々と調べる中で、二つデータを見つけました。

【吉岡さん】産後出産してから、1年未満で自殺をしてしまう母親が統計を見ると、実は一定数いるというデータがあり、少し古いデータですが、2018年頃に直近の2年間で、自殺をした母親が、当時は92名いらっしゃったそうです。

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【吉岡さん】男性についても、妊娠中から出産後1年未満の間については、5%から10%程度の鬱状態の方がいたということなので、この統計だけでも、10人に1人は鬱の中、子育てをするという、非常に重たい任務というか、責務を抱えながら、やっていかなければいけない状況というのが分かります。

【吉岡さん】このデータを見て、私はそんなにいるのかというのが、率直な思いなんですけど、最悪の場合として自殺をしてしまうケースもあれば、毎日過度なストレスを抱えている状況の中で子育てをしていて、その矛先が子供に向いてしまい、手を挙げてしまうという、虐待のような問題がここから起きてしまう。

【吉岡さん】それを食い止めるという意味でも、nicomamaのサービスは、助産師という括りで見ても、出産だけに特化しているわけではなくて、妊娠中という早い時期から、出産した後の育児という所においても、一人一人に寄り添ったケアをしています。課題に対する適切な対処をされている点について、非常に伺いたいなと思いました。

心の病に陥る前に、蓄積をなくすことが大事

【江釣子さん】産後1年未満の自死の原因が、「産後うつ」というか、「精神疾患」がほとんどになってます。さかのぼっていくと、「精神疾患」がなぜ起こるのかと言うと、やっぱり「体と心の変化」をですね。

【江釣子さん】一つの問題点に対して、解決してクリアになったら良いですが、さらに、悩みや、心配事が重なっていくっていうのが、妊娠中に起こりえます。大事なことは、心の病に陥る前に、蓄積をなくしていくことが大事だと思ってます。

「産前・産後の、心の病に陥る前に、出来る限り個々に寄り添いたい」という思いが、起業の一番の理由

【江釣子さん】凄く辛かった思い出にはなってしまうんですけども、自分で自ら命を絶って、子供も一緒にという、母子との出会いがありました。周りにいた支援者である、私達、ご主人も、本当の根本、心の奥深くにある悩みには、やはり気づけなかったことがありました。

【江釣子さん】深く心が病んでしまう前に、もっと早くアプローチができるんじゃないかっていう風に、その時思いました。

【江釣子さん】教科書上ではない、実際にケアをしたり、お話をする中で、生まれてくる関係性で、そこから、こちら側から提供したものが、生の声として返ってくるという、繰り返しでした。

【江釣子さん】お産にポイントを当てたときに、すごく大事になってくるのが、生命力が凄く関係してくるんですね。生命力って、大人もあるんですけど、赤ちゃんの生命力って本当に凄まじいものがありまして。教科書上とか医療のエビデンス上では、計り知れない生命力の神秘と言ったらなんですけど、すごく驚かされる経験がたくさんありました。

【江釣子さん】生命力を信じて、こちらがケアを提供し、それを赤ちゃんは生きる力で返してくれるという、成功体験といったらちょっと言い方が違うかもしれないですが、心を通わせる所にも通じるんですが、真心込めて、双方向に思いを育んでいく中の成功体験が、今の思いになっています

【江釣子さん】これだけの多様性がある生命が生まれる現場っていうところを見たときに、もったいないなと思ったんですよね。個々に寄り添わない社会が。できるならば未然に防ぎたい。できる限り寄り添いたいっていうのが、私の中では起業した一番の理由というか、手を差し伸べたい助産師も多くいますし、逆に困ってる女性って、本当に多くいらっしゃると思うんですね。そこを繋いでいくという役割が、私にあると思いました。

【江釣子さん】目の前にいる、お母さん、赤ちゃんにケアを提供することが一番好きなんですね。心が直に通い合うというのが、本当は大好きなんですけれども、私1人の人生で救えるお母さんの数は、限られるなと思っています。そうであれば、私みたいに思いを持った助産師が、全国にいるよっていうのをどんどん伝えていって、困ってる女性に発信していくっていう役割の人も必要だなっていうふうに思って、nicomamaが立ち上がったという背景があります。

人と人とが心地よく心を通わせることが大事

【江釣子さん】提供者は、今は助産師ですが、提供者もですね、建前を除くと1人の女性であり、ご家族もいて、妻かもしれないし、お子さんいれば、お母さんかもしれない、というところで、提供者も人に手を差し伸べてはいますけども、時には手を差し伸べてもらう側になることもあります。そういう意味で、建前を除いて、人と人が心地よく心を通わせるという所が、とても大事だなというふうに思って、ビジョンに掲げています。

おわりに

江釣子さんのインタビュー前半は如何だったでしょうか?

はじめての妊娠・出産・育児
新米パパママは、不安に押しつぶされそうになることも多い
「心の病に陥る前に、出来る限り個々に寄り添いたい」という思いから生まれたnicomama
3児の父としても、そんなnicomamaをこれからも応援していきたいと思った

インタビューを終えてこんな風に感じました。

私も3人の子供の親として、夫として、子育てママの大変さ、悩みは容易に想像できます。

特に一人目の子供の時は、妻も夫も不安だらけ。

そんな時に、nicomamaの様なサービスが身近にあれば、”心の余白”を作ることも出来ますし、結果、子供に対する更なる愛情へとつながるのではないかとインタビューを通じて感じました。

後半のインタビューでは、nicomama誕生のきっかけについて、更に深堀していきます。

是非、後半のインタビューもご期待ください!!

<運営メンバープロフィール>
【水本】社会起業家養成所ボーダレスアカデミーにて社会の為、周りの為に奮闘する社会起業家とそれを目指す人達に魅せられ、本取り組みを開始。
また休日は3児の父として子育てに奮闘中。

【平良】新卒後は製薬会社のMRとして勤務。その後、医療系広告代理店の企画、製薬会社のMSLを経験。現在は一児の父として育児休業中。MBA専門のコミュニティー「MBA交流クラブ」の代表。

【吉岡】社内・社外問わず色んな人と繋がりを持ち、面白い活動やネットワーク作りを探求中。ペット関連サービスで起業した獣医師の事業立ち上げ支援や、社内のパラレルキャリアコミュニティーの企画メンバーとして活動中。

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