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作り手の想いや考えへの共感を軸とした新しい購買体験を。生産者と生活者を繋ぐプラットフォーム「ハックツ!」| モビリティ事業戦略室 芦澤 慶之氏(パナソニック ホールディング株式会社)

創業以来、お客様のくらしのリアルに向き合ってきたパナソニックグループ。パナソニック ホールディングス株式会社のモビリティ事業戦略室では、その視点を家の中から「人の生活圏=Last 10-mile」まで広げ、人のくらしを起点にして求められるソリューションを提供することで、人を元気に、コミュニティを元気に、地球を元気にすることを目指している。

「作り手の想いや考えへの共感を軸とした新しい購買体験を」。モビリティ事業戦略室が2023年5月より提供を開始している「ハックツ!」では、地域密着で様々なプレイヤーからの協力も得ながら事業の立上げを行っているらしい ー

それって一体どういうことなのか?

これまでの「経済合理性」という言葉では括れない取組みや、ハックツ!が目指す未来について芦澤さんに聞いてみました

― まずこの度は、ソーシャルキャリアフェス2024を応援&サポートしていただきありがとうございました。

芦澤慶之さん(以下、芦澤):いえ!こちらこそありがとうございました!

― 何の実績も無いイベントをサポートいただけた理由はズバり何だったのでしょうか?

芦澤:まず、私たちもイマWill起点で新規事業に取組んでおり、シンパシーを感じた点があります。

― Will起点、ですか?

芦澤:これまで、パナソニック ホールディングス株式会社では、「こういう技術があるからそれを事業にしよう」という「Can」を起点した発想になりがちでした。我々は、「Can」も重要ですが、「こういう世の中にしていくために何が必要か」という「Will」の発想を起点にしていこうと。

イベントのコンセプトを伺った際に、「こういう世の中にしたい」という想いが伝わってきたこと、またソーシャル領域に想いを持った人材とつながる機会になるのではと考え、サポートさせていただきました。

― ありがとうございます!ご連絡いただいた時、運営Slackがお祭り状態でした(笑)それでは、「ハックツ!」について教えてください。

芦澤:ハックツ!では、一般的なECサイトと同じようにインターネット上で商品の注文から決済まで行うことができます。ほかのECと違うところは、指定場所(スポット)まで、購入者に商品を受け取りに来てもらうなど敢えてサービスを限定している点にあります。その根底にあるのが、生産者と生活者をつなぐプラットフォームという考え方です。

ハックツ!のビジネススキームについて[a]

― どういった商品が販売されていますか?

芦澤:地元で生産された野菜や果物、パンやお味噌などです。他にもイモ掘りといった体験チケットも販売しています。

― イモ掘り体験ですか?

芦澤:はい。イモ掘りから焚き火までを体験コンテンツにして販売しています。中小規模の生産者さんにとってイモの収穫は大変な作業ですが、親子連れのお客様には気軽に農業を体験しながら、食育もできるコンテンツとして人気なんですよ。

― どんなユーザーさんにどういった価値を届けているんでしょうか?

芦澤:お客様は、地元で生産された鮮度が良く美味しいものが欲しい、またそれらを消費することで何かしら地域に貢献したいという方が多いです。

一つの価値は、例えば、生産者さんを直接訪ねて購入しないと手に入らないような地元の野菜をスマホで買えて近くの受取スポットで受け取れるというような利便性ですね。

― なるほど。鮮度が良いものを食べたい、または地元を応援したい生活者にとっては便利なサービスですね。

芦澤:もう一つ届けたいものは「心の豊かさ」です。ハックツ!なら、単に野菜を買うだけでなく、受取スポットに来て頂いた際に説明を聞いたり、体験コンテンツで生産者さんとも交流を図ったりすることで、背景にあるストーリーも受け取ることができる。生産者の想いに触れ、共感することで、生産者さんやお客様の心の豊かさに繋がればと考えています。

―イチ生活者としてはすごく共感できますが・・。ビジネスで「心の豊かさ」をコアに置くのは難しいのでは?

芦澤:はい。ただ、自分たちが「こういう世の中にしたい」というWillがそこなので。ほかの新規事業をジャッジする指標以外の「インパクトKPI」的なものもチームで検討しています。例えば、ハックツ!の取り組みに共感し、「0円で良いのでウチのスペース使ってよ」など無償で協力してくださる地元企業さんもおられるので、このような企業さんの数とか、これまでの事業では指標になり得ないですけど、めちゃくちゃ大事です。ぼくたちにとっては。

―どうしてそのような協力の輪が広がっているのでしょうか?

芦澤:うーん、チームが一番に向き合っているのか地域の人たちだからですかね。社内でも上司でも無く、チームのみんなが(実証実験のエリア)藤沢に向き合って行動しています。だから藤沢市役所の方も同じ熱量で一緒に考えてくれますし、地元の祭りやイベントなんかにもよく出展しているので、一緒にこの街を盛り上げる仲間だよねという感覚を持ってもらえているところはあると思います。

―ほかにチームで大切にされていることはありますか?

芦澤:ぼくらの売るものは何なのか?という会話はよくします。このサービスの提供価値は何なのと。まだ言葉を磨いているところですが、それは健康・幸福感・コミュニティという3つの輪っかが重なる部分じゃないか。それが心の豊かさにつながるものではないかと感じています。

―最後に、今後の展望について教えてください。

芦澤:藤沢で生産者さんやお客様と触れ合いながら、心の豊かさのような価値観がみえてきました。今、藤沢以外の地域でもハックツ!を展開していく準備を進めているところですが、究極的には、日本全国にハックツ!を広げて、経済性や効率性だけじゃない、生産と消費のあり方、社会の仕組みを変えるところまで行きたいですね。そういう世の中を目指して突っ走っていきます!

■「ハックツ!」を展開しているコミュニティ消費プロジェクトWEBサイト

■「ハックツ!」お問合せ先
パナソニック ホールディングス株式会社 モビリティ事業戦略室 mobility_info@ml.jp.panasonic.com

【編集後記】

芦澤様、貴重なお話をありがとうございました!
まさにCanからではなくWillから、という具体ケースを学ばせていただきました。

その意味では、一般的に新規事業の評価で使われる合理的な指標自体が「Can」で、
「心の豊かさ」や「0円でも参画してくれる企業」や「同じ熱量を持つ市役所職員」といった、「こういう世の中にしたい」に繋がっていくであろう指標こそが「Will」なのでは?

そんなことを考えながらインタビューを終えました。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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