ステマ規制に関してよくある質問
ステマ規制セミナーでは、2023年10月1日から景品表示法違反となったステルスマーケティングの概要と規制の内容を解説しました。
この記事では、そのセミナーの中で寄せられた質問とそれに対する回答をまとめています。
Q&Aセッションの質問一覧
Q「映像作品や書籍などの感想を投稿してくださいといった「感想投稿キャンペーン」を実施する場合はどうなりますか?その投稿を行ったアカウントの中から抽選でプレゼントを行う施策に違いはありますか?」
A「抽選でプレゼントを行うとき、PRには当たらないケースが多いのではないかと思います。ただし、積極的に褒めたほうがプレゼントをもらいやすかったり、当たりやすかったりすることが分かるような場合は、報酬を目当てにした宣伝行為になる可能性があります。映像作品や書籍などの感想などが、本当にそのユーザーが自主的に考えたことであれば感想になりますが、あきらかに他の人が見に行きたいと思うように誘導するものであれば、広告になる可能性があるのです。
『こうして書いたほうがプレゼントをもらいやすくなるのでは?』と想像させるような立て付けのキャンペーンは、微妙になるおそれがあります。完全に公平中立なものとして行うのであればステルスマーケティングにはなりませんが、いい内容を書いたほうが当選しやすいと示唆するような内容であれば、規制対象になり得ると考えたほうがいいでしょう。」
Q「口コミを投稿すれば抽選でプレゼントが当たるキャンペーンを実施しても、基本的に商品目当てのプラスの口コミを消費者が自主的に投稿しているのが現状です。この場合は規制対象になりますか?」
A「これは規制対象にはなりません。プラスの口コミしか出てこない印象があれば、「正直に書いてください」「みなさんの素直な感想を求めています」といった表現を添えておくといいかと思います。あきらかにプラスの口コミを誘導していると、規制対象になり得る可能性があります。」
Q「ある商品を紹介した投稿がバズった結果、商品販売元の企業にあとから現金をもらっても、#PR表記は必要ないのですか?」
A「現金となると規制の対象になる可能性が高いかと思います。割引のクーポンは報酬として高いものではありませんが、現金性が出てくると規制対象になるかもしれません。#PRのタグは、状況を明確に論証できるのであればつける必要はないです。結果的にバズっても、事後的にそれが広告になることはないかと思います。
ただし、見た目上は結構怪しいものです。そのため、このようなものは関係性を疑われないように、あえて現金をあげないほうがいいのではないかと思います。たまたま個人的な感想を出したタイミングで、その感想の投稿キャンペーンみたいなものが実施されていた状況を想定しているかと思いますが、その場合は参加者を明確にするために大体独自のハッシュタグを付けるものです。自主的に投稿した方が、たまたまユニークなハッシュタグを付けている状況はあまり考えられませんが、万が一そのようなことが起こった場合、あえて現金を渡すようなことは避けたほうがいいかと思います。
PRではないものに#PRと付けることのデメリットはあります。やはり一般の消費者はPRよりも自主的な投稿や第三者的な感想に興味をそそられるものです。そのため、#PRが付いていることで冷めてしまうことはあるでしょう。だからこそステルスマーケティングが存在するのです。このようにデメリットは確かにあります。
問題にならないように、念のため#PRを付ける判断をした企業は、すでに我々のクライアントのなかにもいます。我々がクライアントに対して「この投稿は大丈夫でしょう」「この投稿は#PRと付けておいたほうがいいですね」などとアドバイスする機会は増えていますが、それらの多くは杞憂です。備え付ける必要がなくても、トラブルを避けるために付ける判断をしている企業はいます。」
Q「過去どれくらいの期間の案件投稿が規制の対象となるのですか?」
A「まず、消費者から通報が入ったり、発見されたりした場合でなければ規制の対象にはなりません。その意味で言えば、案件と思われる投稿が掘り当てられて通報された場合、それが何年前のものであっても規制の対象になります。要するに、現時点で掲示されている状態のものであれば、論理的には規制の対象になり得るのです。
ただし、あまりにさかのぼってみることは実際にはほぼ起こりません。そういったものが通報されたときでも、それがあきらかに影響力を持っているものであれば規制の対象になるかと思いますが、無理矢理掘り当ててきたようなものであれば考慮はされるかと思います。」
Q「ネットでエゴサーチをした内容をリポストやストーリーズで紹介した場合も規制されるのでしょうか?」
A「ユーザーが自主的に投稿したものをリポストやストーリーズでシェアした場合、規制の対象にはならないでしょう。ただし、それが報酬を払って頼んだ投稿であれば、当然規制の対象になります。自主的に行ったエゴサーチであれば、規制の対象にならないと考えていいかと思います。リポストの際に報酬が出ていると怪しくなるため、リポストするなら報酬はなしにしたほうがいいでしょう。」
Q「評価をもらうのはNGとして、「リリースします」といった告知の拡散は問題ないのですか?」
A「告知の拡散は宣伝行為に当たるため、単純なシェア機能を使った拡散であれば問題はありません。しかし、コメントを添えて新しいリリースの告知を投稿してもらうことに対して報酬が発生しているとなれば、当然規制の対象です。問題は「評価をしている・していない」ではなく、「広告をしているかどうか」です。認知の拡大は広告であり、それが規制の対象になると考えていただきたいと思います。ただ単純にリポストやもともと付いている拡散機能を使って行う場合は、おそらくは規制の対象になり得ないと考えます。」
Q「インフルエンサー施策を実施する際、広告である旨を表記するように指示していたにもかかわらずインフルエンサーが表記をしなかった場合、広告主は罰せられるのですか?」
A「罰せられる可能性はあります。この場合、インフルエンサーが契約違反したことになるので、インフルエンサーと話しあう必要があります。そのようなことがないように、広告である旨を明確に表記してもらったところまでを確認し、インフルエンサーと案件を遂行する必要が出てきます。」
Q「従業員が友達までの公開状態で、自社の商品やサービス、主催イベントを投稿するのはNGですか?」
A「NGではありません。ただし、友達までの公開状態だから自社商品や主催イベントを宣伝してもいいという話にはならないのです。友達であっても一般の消費者ですので、そのような方々が見られる状態であれば広告行為となります。そのため、「これを宣伝させてください」などといった文言を付けて投稿したほうがいいかと思います。」
Q「インフルエンサーとクライアントのInstagramコラボレーション投稿をしています。タイアップ投稿とは少し異なるものですが、『#PR』は付けるべきですか?」
A「これはコラボレーション機能を使っていて、インフルエンサーに報酬が発生している状況ですよね。報酬なしでインフルエンサーが自主的にやりたいと言っているのであれば話は別ですが、報酬が発生しているのであれば、#PRを付けたほうがいいかもしれません。」
Q「投稿時にアンバサダーであることを明記していてもPRは必要ですか?」
A「アンバサダーが明快に報酬をもらっていると分かればいいのですが、アンバサダーにもいろいろありますよね。自主的にやっているアンバサダーもいれば、報酬なしで公式アンバサダーになっている方もいますし、報酬をもらっている方もいます。アンバサダーに対して報酬が発生していれば広告行為となるため、PR表記をするなどして案件であることが分かるような立て付けは必要だと思います。」
Q「当社は無形商材を扱っていますが、無形商材もステマ規制に値することがありますか?気を付けるところがあれば教えていただきたいです。」
A「無形商材でもステマ規制に該当することは当然あります。情報商材のような無形サービスの広告を第三者に頼んだり、広告だと分からないよう、自主的に投稿しているように見せかけていたりするのであれば、それはステマ規制の対象になります。広告であるのに、広告ではないように見せかけている投稿に関しては、どれも気を付けていただきたいです。」
Q「プロフィールに関係性を明記していない従業員が、自社の公式アカウントや社長の投稿をシェアした場合は規制の対象ですか?」
A「シェア機能を使ってシェアしただけであれば、規制の対象にはなりにくいかと思います。ただし、そこに引用ポストのように推す文言を入れていれば、規制の対象になってくるのではないでしょうか。
プロフィールでは関係性を明示したほうが圧倒的にいいでしょう。明示していない場合、業務の一環として行うのは避けたほうがいいですが、従業員が自主的に好意で投稿しているのであれば、まったく問題はないと言えます。」
Q「ステマ規制に当たると指摘を受けて改善を要求された場合、指摘から改善までの期間は指定されていますか?」
A「これはおそらくありません。基本的に行政罰では「反省して改善します」といった振る舞いが重要です。期間よりもこの姿勢を意識して、行政側とコミュニケーションを取ることが重要だと思います。そもそも広告であることを示せば行政罰の対象にはならないケースが多いため、あまり危ない橋は渡らないほうがいいでしょう。」
Q「写真投稿に対して抽選でプレゼントを行うキャンペーンを実施しても問題はありませんか?」
A「無作為抽出の完全抽選であれば問題ないかと思います。ただし、いい宣伝につながるような投稿をしたほうが当選しやすい仕組みになっていれば、報酬を疑われる可能性があります。」
Q「プレゼントキャンペーンで当選者に対して、使用した感想の投稿をお願いするのはNGですか?」
A「NGではありません。正直に感想を投稿してくださいと言うことであればOKです。ただし、ユーザーから「いい感想を書いたら次ももらえる確率が上がる」と思われるようなコミュニケーションが存在するのであれば、リスクを避けるためにPRを付けるようにお願いしたほうがいいでしょう。」
Q「従業員が従業員であることを明記していない自身のアカウントで、自社のアカウントをリツイートなどで拡散することは規制の対象になりますか?」
A「これは規制の対象に基本的にはならないと考えていただいて問題ありません。ただし、業務の一環として行うのはやや危険です。従業員の自主性に任せるのが重要です。」
最後に
今回はステマ規制セミナーでのQ&Aセッションでの質問を取り上げました。
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