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「モダンサッカーの教科書Ⅲ」~を読みまして。

しばらく更新が滞っておりました。

私事ですが、3月2日に待望の第1子が誕生しました。


それはそれはかわいいこと。【笑】

読書どころでは無かったわけですが,これからも少しずつ更新していけたらなと思っています。


僕が親になる前に読んだ本のレビューもありますので是非。

さて久しぶりの今回はサッカー書籍。

言わずと知れた名著

「モダンサッカーの教科書」シリーズです。

https://note.com/sochishu1435/n/n11327d24d877

今回は第3弾~ポジション進化論~



と言うことで、各章がポジションごとにカテゴライズされていて、現代サッカーにおいてそれぞれのポジションの役割がどう変化していっているのか説明されています。

また、ポジションという概念について

位置取りではなく、各チームのゲームモデルプレー原則に基づき、流動的になっていっていることが繰り返し語られています。


「このポジションをやるならこういうプレー」


ではなく、


「この選手がここで出るならこういう役割ができる」

「このチームのプレー原則であればこのタスクが要求される」


といった感じでしょうか。

従来のフットボールにおいては、背番号やポジションはそのままその役割を示すものであった訳です。





10番=トップ下(ゲームメーカー、司令塔、ファンタジスタ)

と言えばみんな大好き大空翼(キャプテン翼)です。

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サッカー少年なら一度は憧れるポジションですが、現代サッカーにおいては、ゲームメーカー、司令塔の役割を攻撃的中盤すなわちトップ下が担うことはかなり少なくなっているとのこと。


・ひたすら弾き返すゴリゴリCB

・守備専汗かきボランチ

・大外上下動マシーンSB

・ゴール前常駐オレオレストライカー


列挙したように、とにかくポジションと役割をそのまま結びつけるような考え方がもう前時代的であると。

プレーヤーをシステムの中でどう機能させるのかではなく、プレーヤーの特徴を引き出すためには、
どういう機能・タスクを与えるべきという発想です。
                          アントニオ・ガリアルディ

ポジション・システム<プレーヤー

ポジションやシステムに選手を合わせるのではなく、選手の特徴にシステムを合わせていく。


こうなると同じポジションでも当然全く異なるプレースタイルの選手が起用されていくわけです。


例えばレアル・マドリードのカゼミロと、

カゼミロ


バルセロナのブスケツぶすけつ




共に中盤の底(アンカー)でプレーすることが多い両選手ですが、

前者はフィジカルコンタクトとボール奪取を武器とする実質CB。

後者はDFラインからボールを受け、シンプルなパスやドリブルで後方からゲームをコントロールする。


チームの戦術やゲームモデルの中で、


同じポジションでも全く異なるタスクをこなす両選手です。


バルセロナのサッカーにはブスケツのようなアンカーが不可欠なのは当然ですが、戦術的要素だけではなく、近くに配置されている選手との補完関係にも注目してみてください。



カゼミロと共にレアルの中盤に配置されることが多いのが、ワールドクラスのゲームメーカー二人。モドリッチとクロースです。

同じ中盤に異なるタスクをこなせる選手を配置することで、システムのバランスを保っているパターンです。


良き時代のACミランの中盤には、レジスタのピルロがいました。

正確無比なキックと戦術眼が光るピルロですが、アンカーで守備をするにはフィジカル面で明らかに不足している。

そこを補うのが闘犬ガットゥーゾだったわけです。

黄金時代のバルセロナの中盤はブスケツの他に、シャビイニエスタ。

ピルロ同様明らかに守備面では計算が立ちませんが、バルセロナのゲームモデルは引いて守備をする設計にはなっていないので、ボールポゼッションに特化した人選をしているわけです。


総論的な話が長くなってしまいましたが、ざっくりとこういう感じです。

本著ではもっと丁寧にかっこよく説明してくれるので是非読んでみてください。

GK、CB、SB、CMF、2列目、ストライカーと順を追って説明してくれていてとても分かりやすいです。

この記事ではCBとCMFの章について触れようと思います。




1.CBのレジスタ化


古臭いCBのイメージとして・ひたすら弾き返すゴリゴリCB

という表現をしましたが、現代サッカーにおけるCBの役割はかなり多様化しています。

まず前提としサッカーにおいて

・後方から丁寧にビルドアップし、主導権を握ってプレーしようという志向が強いこと。

・それを阻害すべく、前線からプレッシングに来るチームが多いこと。

この二つの要素がCB(もしくはGKも含む)の役割をかなり変化させているようです。

単純に大きくクリアするだけでも、GKにバックパスを返すだけでも、中盤の近くの選手にパスを預けるだけでもダメ。これが最近のCB。


後方からのビルドアップに寄与できないCBは、例え守備能力が高くても通用しないようになっている。


・相手の第1プレッシャーラインの背後に的確にパスを送れること。(中盤の選手になるべく時間とスペースを与える形で)

・またパスだけでなく、自ら持ち運ぶ、すなわちドリブルで第1プレッシャーラインを超えること。

この辺はヨーロッパのトップレベルでは最低限求められてくるようです。


敵が自分たちのDFラインに対して同数でプレスに来る場合は、前線の選手の数的優位位置的優位を素早く認知し、ロングボールを送る能力までも求められます。

相手が同数でプレスに来る場合は前線の選手が、敵のCBと1対1になっている場合や、アタックできるスペースが広い場面が多いからです。



ボールを奪われれば即失点につながる場面で、以前では中盤の選手に求められていたようなタスクを要求されているわけで、とんでもない時代になりました(笑)

MFとして育った選手がCBをやることが増えているのも納得です。手っ取り早い手段ですよね。



バイエルンのキミッヒアラバ、マンCのフェルナンジーニョ、少し古いですがマスチェラーノなど、その能力をCBにコンバートという形で活かすのも最近では常套手段となりつつあるでしょうか。(すべてやったのはグアルディオラですが(笑))


空中戦や肉弾戦のみにおいて機能するディフェンダーはもう絶滅危惧種となっているようです。

本著では、MFよりもCBの方が戦術的インテリジェンスが求められるようになってきているとまで語られています。

中盤でのプレーに与えられる時間とスペースが削られてきている分、MFにとって状況を読み取って
プレーを選択する以上に、ボール奪取やセカンドボールをめぐる争いのように、反射的に状況に
対応していく場面が増えているように感じます。
                              レナート・バルディ


高速化が進む現代サッカーにおいて、スペースと時間が極端に限定される中盤の選手よりも、それより後方で比較的に時間とスペースを持つDFのほうが戦術的インテリジェンスを求められているということですね。

・CBのレジスタ化(MF化)

・MFのDF化

のような逆転現象がみられているようです。





2.もうレジスタは要らない?CMFの現在


CBのお話で触れたように、ゲームメイクの役割を担うポジションがどんどん後退しており、CB・SB・GK等の後方ユニットがビルドアップの中核を担っています。

以前は中盤の仕事だったことをDFラインがこなせる今、中盤センターの選手にはどんなことが求められるのか。


内容を簡潔にお伝えすると、


スペシャリストよりオールラウンダーが求められているということ。

繰り返しになりますが、それぞれのポジションに求められる役割はゲームモデルに依存するわけですが、全体的な傾向として、


CMFに攻守両面での貢献を求める場合が多くなっている。

シャビピルロのようなゲームメイクやボールコントロールに特化したスペシャリスト的な選手は減少傾向にあるようです。

攻守両面でトップレベルである必要はなくとも、

スペシャリストより攻守両面で幅広く貢献できる選手が重宝される傾向にあります。

もしくは前述したACミランのピルロガットゥーゾのように異なる特徴を持つ選手を併用し、補完関係を持たせバランスを取る方法もあります。




そのパターンは今でもいろんなチームで見ますが、それでもバイエルンミュンヘンのキミッヒゴレツカのように、Wボランチに共にオールラウンダーを起用するようなチームもあります。


これも前述しましたが、現代サッカーにおける中盤は時間とスペースがかなり限定されていて、ポゼッションを確立するのが難しい。



ボールロストからカウンターを受ける場面が多いトランジションゲームにおいて、中盤の中央でキミッヒゴレツカのような守備の局面においても高い貢献が望める選手を起用することはかなり理にかなっています。


ボールを保持している場面においては、比較的シンプルなパスを配給し、2列目の選手に崩しを委ねることが多くなっています。


彼らのような守備力の高いCMFがいることで、2列目の選手達は守備の負担を軽減してもらえる利点もあります。


ゴレツカなんかはフィジカルもかなり強靭な部類に入りますが、被カウンター場面における予防的なマーク、前線が手詰まりになった際のバックパスの受け皿→サイドチェンジセカンドボールやこぼれ球を的確に拾う能力など、戦術的インテンシティをかなり高いレベルで求められます。


他の章も読んでもらえるとよくわかりますが、オールラウンドに活躍する選手が評価される傾向は中盤以外でも同じです。

今のサッカーでは、跳ね返すだけのDFも、守備で貢献できないMFも評価されないようになっていく。


大変な時代になったもんです。(笑)

お勉強も習い事にも忙しい最近の子供たちを案ずるおじさんのような気持ちで読み終えました。(笑)


僕はいろんなポジションを少年時代からやらせてもらってたので、その辺は恵まれていたなと思います。

サッカーを始めたころはペナルティエリアがお庭のコテコテCFだったので(笑)


是非本著を読んで、最新のポジション事情に触れてみてください。

あくまでも個人の意見です。

では今回はこの辺で!




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