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J2第6節:徳島vs秋田

前節大宮戦で今季初勝利を上げた徳島。ホーム初勝利を狙うこのゲームで相対するのは一昨年J3を圧倒的な強さで優勝し、天皇杯では王者川崎も苦しめたブラウブリッツ秋田。

サッカーポエマー、魂の男こと吉田監督のもとで、そのアイデンティティを前面に押し出すチーム。データにもあるように徳島とは対極のスタイルを持つ。徳島としてはなかなか嫌な相手です。秋田の特徴については後に触れます。




1.スターティングメンバー

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松澤さん、デビューおめでとうございます🎊

徳島はどういう理由か、開幕からゴールを守っていた長谷川がメンバー外。さすがに合流直後のホセを先発にはできなかったか、プロ8年目の苦労人松澤が初先発。両サイドバックは前節うまく行ったこともあり、順足作戦継続。右は浜下を休ませて、オリオラサンデーが先発。

秋田もコロナ感染者が出たこともあってか、前節から6人のメンバー変更。うち4人が初スタメンとそれだけ聞くと結構不安なチーム状態です。


2.サッカーポエマーこと吉田監督率いる秋田の特徴


これを見ただけでだいたいどんなサッカーをしてくるか想像がつきそうですよね。笑

めちゃめちゃ走るし、めっちゃ蹴ってくるし、誰もサボりません。

システムも同じですし、海外のクラブに例えるなら、何年か前のアトレティコ・マドリードって感じです。

ここ数年グアルディオラとクロップを筆頭にポジショナルプレーとストーミングという2つのスタイルが欧州を席巻しましたが、(最近は融合が進む)

前リカルド監督が輸入した、ポジショナルフットボールを引き継ぐポヤトス徳島とのまさにアイデンティティのぶつかり合いです。

システムは4-4-2で、4-4のブロックに更にツートップも守備に組み込む固いディフェンスが特徴。

ざっくりと、各局面の特徴を挙げると、

①守備(非ボール保持)
・基本的には走力を活かしたハイプレス
・もしくはツートップも含めて全員がボールより      後ろでブロックを作る。
・ボールサイドに人を極端に密集させて守る。

②守→攻トランジション
・サイドのスペースやFWにロングボールを蹴る
・ボール保持より、前身を優先
 
③攻撃(ボール保持)
・サイドでスローインや、コーナーキックを得て
    セットプレーから1発を狙う。
・攻撃時も、相手のカウンターに備えて、
    狭く攻める。
・ロングボールのセカンドを拾ってゴールに襲い      かかる

④攻→守トランジション
・密集した狭い陣形のまま即時奪回を狙う
・奪えない時は4-4-2のミドルブロックを形成

ざっとこんな感じでしょうか。

これを踏まえて今回のゲームのレビューをしていきます。
 

3.徳島のビルドアップと秋田の守備の使い分け

徳島はDFラインは前節と同じ構成。けっこう上手くいった順足サイドバック+カカ、石尾のCBコンビ。そしてアンカーは今節も櫻井不在で白井が先発。

徳島がボールを持つと、

秋田のツートップはCBに無理にプレッシングに行かず、アンカーの白井のところをケアするシーンが多かったです。

これが結構徳島にとっては厄介でした。

4-4-2のシステムは基本的に、プレッシングに出よそしてうとよすると、かみ合わせ的にアンカーを置くシステムと相性が悪いです。

ですが、秋田のツートップがアンカーの周囲をケアし、中央ルートを封鎖したことで、徳島はアンカーやIHへのパスが簡単に通せなくなりました。

必然的に、SBやWGの外レーンからの攻撃が増えますが、秋田のSHはハーフレーンに立ち、中央ルートをケアしつつ、徳島のSBにボールが入ったら素早くプレスに行っていました。立ち位置+プレスの強度で徳島の自由を奪います。



徳島がU字型に秋田のブロックの周りをグルグルとパスが循環させるシーンが印象的でしたね。

ハイプレスに行かないとなるとかみ合わせの問題は特に気になりません。(中盤より後方はしっかりと人が噛み合っていてマークが決まっている)

これはアンカーを置く徳島に対して講じる策としては妥当なものですが、秋田がさらに良かったのはブロックとプレッシングを使い分けていたこと。



徳島がバックパスをしたり、パスが緩くなった場面では、ツートップがCBにプレスに出て、ボランチが白井の所までしっかりと押し上げて来ていました。

後方が間延びせずしっかりとコンパクトな陣形を作れているので、徳島もなかなかスペースを見つけられませんし、そもそもプレッシングに行っている選手のインテンシティが軒並み高いのでかなりのストレスを与えていました。

徳島は秋田の守備をおびき出して後方のスペースを突く擬似カウンター的な攻撃がしたいところですが、秋田はCBがあまり動きませんし、なかなかいいパスが入りません。

前半はスコアレスのまま終了。


4.徳島の修正と継続する秋田

前半ほとんどいい形を作れなかった徳島は、WGの立ち位置を少し低くし、CBからWGへの飛ばすパスを狙っていきます。

これはポヤトス監督も試合後のインタビュー記事で明かしていました。

WGにボールが入ったところに素早くIHが顔を出して絡みに行きます。

何度かサイドを突破してクロスを上げたり、CKを獲得しましたが、エアバトルに強い秋田のDFに跳ね返されます。

できれば深く抉ってマイナスのクロスや、ハーフスペース発ハーフスペース着クロスを量産したかった所ですが、秋田もそう何度も侵入させてくれませんでした。

サッカーにおいて4枚のライン(4-4-2のDFと中盤のライン)というのは、ピッチの幅をカバーするのにギリギリの枚数です。1人でもサボると大きなスペースが生まれます。

徳島にボールを動かされながらも、きっちりとスライドをサボらず、FWの選手まで守備に奔走できる秋田に大きな隙は出来ませんでした。

55分にはプレッシングの鍵となるツートップをセットで交代。交代が5枚になっている今のルールは秋田にとっては追い風かもしれません。

それぞれに与えているタスクは、体力的にはしんどいですがシンプル。レギュラーでは無い選手が投入されても、またプレッシングのインテンシティが上がります(笑)そもそもこの試合はけっこう選手が欠場してますしね。

徳島はセットプレーのカウンターから決定機を迎えられそうな場面もありましたが、如何せんこの試合はラストパスの精度が低く、得点には至らず。

苦節8年、リーグデビューを果たした松澤のスーパーセーブに助けられ、試合はスコアレスドローで終了。


5.徳島はJ2でも質で殴れないのか

 秋田の組織的な守備を最後まで崩せなかった徳島。

徳島はもっと横の揺さぶりを使いたかったところですね。

ハーフスペースを突いたり、ツートップをおびき出すことで、カバーに選手が行くと、必ず4-4のブロックに穴を開けることができます。

そこでスライドが間に合わないように、速い横パスを入れて、そこから縦パスを刺したり、左に敵を密集させてサンデーのアイソレーションを使ったりなど。

考えうる対策はいくつかありますが、徳島サポーターの皆さん、

渡井や西谷なら2-3枚ドリブルで剥がして打開してくれるんじゃないかと思いませんでしたか?(笑)

ポヤトス監督もサイドでの優位性を作ろうと、後半はWGの立ち位置を修正してパスを配球させていました。


僕は結構期待してました(笑)サッカーには3つの優位性というものがあります。

数的優位、位置的優位、質的優位。

詳しくはぜひググッて欲しいですが、前者2つは戦術やシステムでカバー出来るものです。

しかしいくら数を揃えようと、いい立ち位置にいようと、ドリブルで敵を複数枚剥せる圧倒的な質的優位があるなら話は変わってきます。

 浜下、西谷、渡井あたりは敵の組織を壊せる、質で殴れるプレーヤーだと思っています。彼らが覚醒すれば相手に引かれて崩しきれないゲームを、個の力でひっくり返してくれるのでは無いかと期待してます。(笑)

引き分けが多いこの状況で、彼らの覚醒が待たれるばかりです。


質的優位はお金で買えます。神戸みたいにバルセロナと仲良くなってイニエスタを買ってきたらいんです(笑)


でも徳島は育てて売る強化戦略でチームの基盤を築きあげてきました。これからもワクワクするような若手の活躍をおじさんはゆっくり見守りたいと思います。

それでは今回はこの辺で。あくまでも個人の意見です。




追伸
前回の記事、スキしてくれた方ありがとうございます!noteはnoteを使っていない人でもスキが出来るので記事を読んでくれた方は中の人を励ますためにぜひよろしくお願いします(笑)

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