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クラブ発表の意図と、選手にとっての給与削減 #さかろぐ #2020apr16

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クラブの発表意図を考える

:一方でクラブ経営者側でも考えてみたい。僕が思ったのは2つ、一つがそもそも制度利用以外も考えていたんじゃないかなと思います。この一時帰休制度以外も多分考えていたんじゃないかなと。 リヴァプールは最初の発表の中では「スタッフを休ませます」「スタッフの給料は100%払われます」しか言ってなくて、100%払われるための手段は他の可能性を示唆しています。ただ今の状況だと、方法は政府の支一時帰休制度を使うことが濃厚であろうと思われた、ということで騒動になった。
 それでちゃんとしてるなと思ったのが、サポーター組合の方もいきなりぶちぎれるわけじゃなくて、ちゃんと問い合わせメールでは「一時休暇させるそうですけどそれは政府のスキームを使うんですか?」という確認のメールを送ってるんですよ。
 話を戻すと、クラブとしては制度の利用は考えていたけど、それ以外にもきっとやり方は模索していた。クラブを擁護するわけじゃないけど、クラブ目線で考えるとそういう見方ができる。

 もう一個がこれはスポーツビジネス的な話になるけど、アフターコロナに備えたいってのがあって、まずはコロナ後のサッカー界に向けてちゃんとクラブを存続させたい。いくらリバプールといえどもそこはちょっとあるはず。
 同時に選手の獲得資金を蓄えておきたいのかな?というのがあって。今回例えばだけど、トッテナムの財政が厳しくてケインを売るしかないみたいな話があったじゃないですか。ああいう感じで各クラブが自分たちの選手を抱えきれずに売っていくっていう状況が多分今後出てくる。
 ってなったときに、リヴァプールとしては欲しい選手がいるのかなっていう。
そこでライバルとなるのって、マンUとかマンCとか強力な財政基盤を持っているクラブになるから、そこに負けないようにできるだけ資金は蓄えておきたいのかな。

: この制度を利用する以外の案っていうか、コミュニケーションの問題としては、制度を利用するかしないか曖昧なまま先に「一時帰休させます」ということを、指示、発表だけしたというところに問題があったんじゃないかな。
 どうしてこういう発表の仕方をしたのか。後ろめたさがあったのかとか、どういう決定でこういう文面でこうなったのかな。

:この文面にした理由は気になるよね。

: 移籍金とかに限らず、クラブの全体的な予算それぞれ、もちろん選手に関わる予算っていうのはすごく莫大なものやろうから、独立したところで動いてるんじゃないかなって感じがして、そうなったときに予算のところをどれくらい気にしてたのかはわからんけど。
 ただクラブとしてもやっぱり、先が見えへんっていうのはあるやろうから、いつまでもビッグクラブが支援する側に居続けることは、現状が長引けばそれも不可能になることはわかるから、そういう視点があったろうというのはわかるんやけど。
なんかそれを解決するための方法としてこれを選ぶのは無いんかなって。金銭的な大きさを考えれば、その辺に不可解な感じはある。

: クラブとして、発表できるタイミングは従業員への対応の方が先なんだよね。
というのも選手の給与削減って、今選手会とのやりとりがリーグの方でやられてる。だからクラブ単体の判断としてすぐできないってのはあると思う。

: そこが揉んだ結果、労働者の方に直接しわ寄せが先に行ったっていう。

:先に行っちゃったんだよね。

コメント:そもそも「furlough」が今回のJRSまでイギリスでは同義で使われてなくて、いわゆる「レイオフ」的な印象を与えた可能性もあるってのもどこかで読みました

:言葉の意味は自分も思った。最初読んだときはレイオフやなって思った。

:でもJob Retension Shemeって言ったら雇用維持の意味なんで、レイオフとは違うんじゃないかなと思った。
 だからあれか、リヴァプールの発表ではJob RetensionShemeじゃなくてfurloughって言葉を使ったから勘違いを招いたのか。

:そう、実際には違うのにレイオフと思われた。労働者の心情というか、クラブで働いてる人の心情として、そういう宣言を受けたときにどう感じるかというか。
日本人には尚更馴染みのない単語ではあるよな。

様々な選手の考えと選手会による交渉の意義

:いま経営者視点で考えたけど、一応選手の立場からも考えてみると。選手として、単純に選手は給与を減らされることを良しと思ってるかっていうのが一個あって、「クラブ存続のために給料を減らさせてください」っていうのが一つのクラブの選択肢としてあるんだけど、逆に選手側の意思としてもある。例えば札幌の話は完全に選手主導の話だよね。

:選手主導って言う風に出てるね。

:だよね。選手主導でやって、会社側は一旦保留にしてるって言う話だった。あとはバイエルンは選手とディレクターは給与20%カットを申し出たように、クラブ存続のために給料減らしていいよって人もいる。
 一方でイタリアの選手会は給与削減に反対してるって報道がある、理由が書かれてないからなんとも言えないけど。選手によっても削減に対する反応が変わっちゃうから、ここも難しくしてるよなと思います。
 もちろんみんながみんな、クラブがコロナで大変だから給料減らしてくれって言われて、はいそうですと言えるわけはないからもっともな話なんだけど。

:こっち側の視点からしたら、ヨーロッパのビッグクラブもそこに所属してる選手もお前ら両方とも金持っとるやんけという、その金持ちの争いっぽく見えるなって思った。
 けど選手がクラブに対して給与の削減に反対するって言うのは、もっと給料が安かった時代から選手会が機能してきた、もしくはこんなにサッカーがグローバルになってなかった時代からの積み上げみたいなものがあって、その争いっていまこの時点では「いやいやなんでそれ争ってるの」ってことも、将来金銭的にすごい裕福であり続けるかって言うのはわからへんからさ、そのときに選手会の交渉がすげえ生きてくる。クラブが倒れそう、選手が倒れそうってときに、そういう積み上げが役に立つというか意味を持つ場面が、過去にあったし、これからもあると思うから、それはとりあえず頭に入れとかなあかんねんな、って言うのは追ってるうちに感じたかな。いまこの現時点ではさ、お前ら天上人同士の争いいらんやろって思っちゃうけど、そう言い切られへん。

:こう言うときだからかわかんないけど、道徳的に正しい行いをしている人たちが傍らいるからさ。例えばメッシの7割カットとか、札幌の話とか、バイエルンの話もそうだけど、それをしない人たちが悪に映っちゃうのがあるよね。悪とまでは言わなくとも、なんでしないのって言う。でもその人たちにもその人たちの生活があるわけで。

:足並みを揃えられる話じゃないからね。よくも悪くも目立ってしまう。裏を返せば人気とかこれまでの収益や給料、契約につながってたやん、っていうのもあるから。自業地獄とは言わんけど、コインの表裏みたいな感じ。

続きます。

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