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売られる寸前だったディバラが復活しちゃうユーヴェマジック、マジでなんなの?

文=細江克弥

 パウロ・ディバラについては言いたいことがあります。皆さんは、昨シーズンまでの不調のきっかけがどこにあったと思いますか?

 17-18シーズンは“ディバラの年”になるはずでした。開幕6試合でまさかの10ゴール。あのときは確かにすごかった。でも、僕は「ん?」と違和感を抱いていました。

 一方、同じ時期のゴンサロ・イグアインは全く点を取ることができず、世界中から「デブ!」と非難されまくっていました。確かに「そりゃねえだろ」と言いたくなるほど太っていたけれど、感覚や質そのものが衰えるわけじゃありません。事実、動きは鈍くてもポジショニングやタイミングは絶妙だった。でも、コンビを組むディバラが全くイグアインの動きを見ていなかったのです。明らかにタッチ数が多く、自分のことばかり。球離れが悪いから、イグアインがほしいタイミングでパスが出てこない。結果、ディバラは点を取り、イライラを募らせたイグアインはゴールから遠ざかりました。しかし、そのあとに待っていたのは、相手に策を講じられてやりたいプレーができず、次第に不調ループに落ちていったディバラの姿でした。昨シーズンもそのループを脱出できなかったのだから、「高く売れるときに売る」と考えたクラブの判断は当然と言えるでしょう。

 でも、結果的には売却はうまくいかず、ディバラは自分の意志で残りました。構想外となりかけた状況まで追い込まれて、ようやく本人も気づいたのかもしれません。昨シーズンまでとは、明らかにメンタリティが違う。“いい状態”のイグアインが見えた瞬間に足元にパスを通す姿を見れば、「ああ、あのディバラが戻ってきた」とすぐに分かります。つまり、彼のバロメーターはゴールではなく“球離れ”にある。もし、クリスティアーノ・ロナウドを獲得した理由に「ディバラの復活を促す」という項目があったのなら、ちょっと鳥肌モノですね。球離れ促進剤。

 CL制覇を狙うユーヴェにとって、ディバラはキーマンとなるはずです。ナンバー10が化けなければ、優勝はあり得ません。

この記事は、11月15日発売の雑誌『SOCCER KING』12月号から抜粋したものです。このほかにも「異変だらけの序盤戦、36のなぜ?」と題し、各国の序盤戦で生まれた疑問に迫っています。

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