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サッカー審判 失敗事件簿No.3

Jリーグをはじめ各リーグが終盤に差し掛かり、
各リーグを担当する審判員の皆さんには怪我なく
大きな問題もなく終わってほしいと心から願っている
タカです。

Jリーグを数多く担当され今年引退される皆さん
大変お疲れ様でした。

今回は私の失敗の中で試合以上に自身の立場に大きな
影響を与えた事件をお伝えしたいと思います。

1、2級内のカテゴリーを行ったり来たり

以前少しお話したかもしれませんが、審判員の資格は
1~4級までありますが、その中でも1級・2級というのは
担当する試合のカテゴリーが分かれています。

1級審判員であれば、現在はJ1担当、J2担当、J3担当、
JFL担当、NC担当(全国大会担当)というカテゴリ―に
分かれています。
しかもJFL以上の担当はそれぞれ主審と副審の分業制に
なっています。

2級審判員の担当カテゴリーというのは全国9地域
それぞれに違いはありますが、私のいる関西では
1~3のカテゴリーに分類されています。

カテゴリー1は関西のトップリーグである関西社会人
1部、関西学生1部を中心に担当します。
カテゴリー2は関西社会人2部、関西学生2部を中心に
担当し、カテゴリー3はその他の関西協会主催ゲームを
担当します。

2級昇級審査をパスし、はれて2級になった審判員はまず
カテゴリー3からスタートします。
その後各府県で活動し経験を積んでいくと、カテ2パス
試験というのを受けてカテ2にチャレンジする権利を
もらいます。

カテ2パス保持者が審査ゲームを担当し、一定の評価が
得られれば次回のカテゴリー改編でカテゴリーを昇格
します。

カテゴリー審判員の担当する試合のほとんどには審判
インストラクターの資格を持った方が来られ、その試合
の評価とフィードバックを受けます。

1級審判員も同様ですが、この評価が半期通して下る
ようならカテゴリーを降格することになります。

1試合の評価でこのカテゴリーを落とされることは
よほどのことがなければありませんが、私はそれを
2回ほど経験しました。

よく審判員は出場停止や降格がないということをいう
人がいますが、そんなことはなく上位カテゴリーの
人間は皆さん毎試合評価をされています。
(評価制度についてもまたご説明します)

2、ミニ国体で犯した致命的なミスとは?

毎年行われている全国大会の中に国体(国民体育大会)
があります。
その地域予選はミニ国体と呼ばれ、2級審判員の研修の
場になっています。
特にその年の1級候補が呼ばれることが多く、チームも
各府県の期待を背負って出場してるためタフな試合が
展開されます。

その試合に私は京都府の割当で第4審を担当することに
なりました。

当日なぜか時間を見間違えていた私は、会場に到着した
のがマッチミーティング開始5分後でした。

マッチミーティングとはその試合の両チーム監督、
審判団、マッチコミッショナーが集まって事前に挨拶と
確認事項のすり合わせやユニフォームの確認を
行います。

そこに遅刻した時点で相当問題で、この時点で翌週の
割当停止になることになりますが、その試合は外れる
わけにいかないのでそのまま担当することに
なりました。

ミニ国体は7月中旬に行われるため酷暑のなか
行われます。
そんなハードな環境の中で問題は起こりました。

後半25分頃(その試合は35分ハーフ)にAチームの
交代がありました。
5人交代の5人目ということで、私は用具とメンバーを
チェックし、アウトオブプレーの際に主審に合図し
交代が行われました。

しかし試合が再開されて3分くらいしたところで、
記録担当の方から驚きの言葉が伝えられました。

「審判、あの交代6人目ですよ!」

そんなはずはないと思いながら確認したところ交代は
6人目の選手でした。

あわてて主審を呼び、その事実を告げました。
そこで6人目の交代があった(あってはいけない事象)
ことが確認され、6人目の交代で外に出た選手を
呼び戻し交代して入った選手を外に出しました。

その後試合は続行され、終了しました。

3、なぜそんなことが起こったのか?

交代の回数を間違えるということがなぜ起きるのか
思われるかもしれませんが、この時は様々な要因が
重なり起こりました。

一番は私が交代の人数を確認できなかったことが
問題ですが、何故そうなったかを説明します。

交代が行われるときには、交代用紙をチームから第4審
に渡され交代が準備されます。
その時に回数、メンバー、本人確認、用具の確認を行い
試合が切れたときに交代ボードを掲げて交代することを
伝えます。

まず一つ目のミスは交代用紙に書かれていた回数欄
でした。
チームの方は4回目の交代が2人同時に行われるため、
その2枚には「4回目、4回目」と書かれていました。

現在はコロナの影響で交代回数が制限される試合が
ありますが、当時は回数制限はなく人数のみでした。

次の交代用紙には5回目と書かれていたため、私は
その回数のみを確認し、自身で人数を確認出来て
いませんでした。

2つ目の要因は審判団は4人それぞれがブッキングメモを
持っており、間違いがないようにダブルチェックを
します。

しかしその試合では4人ともがまさか人数を間違える
はずがないと思い回数まで確認していませんでした。

となるとダブルチェックが働きません。
こうして5人までしか交代出来ない試合で6人目の交代が
行われることになりました。

4、その後の状況は?

試合が終わり交代回数が間違っていたことが再度
確認されチームからは無効だという意見も
ありましたが、その交代により点差に影響がない
ことと、短い時間であったことで試合はそのまま
成立することとなりました。

ミニ国体の夜は宿泊で研修をしており、私はその研修に
呼ばれ状況説明をすることになりました。

その前の年に1級審査を不合格になり、カテゴリー1から
カテゴリー2へ降格していた(関西協会ではそういう
決まりになっています)ところでその問題を起こして
しまい、当日遅刻をした上でそんな問題を起こした
私は、その一件でカテゴリー3への降格処分を
受けました。

その夜私は本気で審判を辞めることを考えていました。
問題を起こしたことは何度かありましたが、そこまでの
状況になって今後続ける気力も熱意もなくなって
いました。

しかし審判の先輩や指導者の方々にとりあえず
続けるようアドバイスをいただき、審判だけは細々と
続けようと決心しました。

その時に辞めていればそこから1級審判になり、夢だった
Jリーグの舞台に立つこともなかったので、皆さんには
ほんとに感謝しています。

大きなミスをして続けたくないほどの挫折感を味わう
こともあると思いますが、そんな状況でも続けることは
大事だと思い、1級を降格になった今でも反面教師に
なれることはあると思い今も審判員を続けています。

こんな経験をしたことのある審判員はすごくまれだと
思うので、この経験は語っておきたいと思います。

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