心不全再発予防のために
当院では患者様に再発予防としてのパンフレットがありません。なので下の内容で作成してみました。
1、心臓の役割
全身に血液を送るポンプです!
私たち人間は酸素や栄養素がなければ生きていけません。そしてこの酸素や栄養素を運ぶ働きが血液であり、この血液を循環させる(送り出す)働きが心臓です。
2、心臓の病気について
[狭心症]
動脈硬化や血栓、血管の痙攣などにより冠動脈(心臓を取り巻く血管)を流れる血液量が減ることです。心臓は一時的に血液不足となり胸、肩や背中に痛みや圧迫感を発作的に感じます。
[心筋梗塞]
血栓などにより冠動脈が完全に詰まり血液が滞ることで、心臓が障害されてしまうことです。狭心症よりもずっと強く長い痛み発作となります。
○動脈硬化とは?
血管の内側にコレステロールなどの物質がたまり、冠動脈が狭くなることをいいます。
(脂質異常・糖尿病・高血圧・肥満など、生活習慣が原因!)
[心不全]
心臓に負担がかかり続けると、心臓が弱くなり、体へ血液を送れなくなってしまいます。すると体全体にさまざまな症状が起こる状態を”心不全”と呼びます。
3、再発予防の疾患管理
心臓の病気は様々な疾患が原因となります。徐々に心臓が弱くなり生命を縮める病気です。
☆退院後、予防のため疾患管理を行うことが大切です
◆疾患管理
① 病態の理解する
病態を理解し予防するために日常生活で疾患管理を行う事が大切です。
② 適切な食事摂取量(栄養・水分・塩分管理)
中性脂肪・コレストロール値の改善しプラーク形成(血管の脂肪の塊)の防止することや、水分コントロール・減塩により心臓の負担が軽減します。
栄養:管理栄養士に従って1日のカロリー摂取をお願いします。肥満は動脈硬化を促進する大きな要因となるだけでなく、心臓にも負担をかけます。肥満気味の方は、医師や栄養士に決められたエネルギー量を守り、適正体重に近づける努力が必要です。
水分:医師から決められた量を守るようお願いします。
塩分:1日に摂取する塩分は一般には6~7g以下です。病院の食事が薄いと感じること普段塩分を過剰にとっていると思われるため注意が必要です。
※糖尿病の人は血糖コントロールを行いましょう。
③ 正しい服薬
服薬は服薬をはじめとする治療の中断は増悪誘因の1つであるとともに死亡や再入院のリスクを増大させます。症状が良くなっても勝手にやめると心不全が悪くなります。先生の指示に従い服薬し続けることが大切です。
④ 禁煙・節酒
〇禁煙
タバコの煙には約4,000種類もの化学物質が含まれており,そのうちの200種類以上が有害成分であり,40種類以上に発癌性があるといわれている.有害物質のうちニコチン,タール,一酸化炭素は,喫煙による健康障害に最も強い関連があることが知られている.血圧上昇や脈拍上昇など心臓に負担がかかります。周りの人にも影響します。絶対禁煙しましょう。
〇節酒
水分のとりすぎは体に水がたまることで心臓に負担がかかります。どうしても飲酒する場合は1日ビール中びん1本(500ml)、日本酒なら1合までです。
⑤ 症状出現時の対応 (早期発見のための体調確認)
〇体重測定
体重は身体の栄養状態を表す指標、肥満や痩せは死亡率が高く冠危険因子の発症を促進することが明らかにされており,適正な体重に維持することが必要です。
〇血圧測定
高血圧状態が長く続くと動脈硬化が進行します。また心臓は高い血圧にうち勝つために無理をすることになり、心臓肥大が起こり、心不全になることもあります。高血圧が続くようであれば受診することが大切です。
〇自己検脈
不整脈(脈の乱れ)の発見することにより心臓の状態を把握でき、早期受診を可能とします。さらに脳梗塞や心不全の予防になります。
〇浮腫み・息切れの確認
(症状:息切れ、吐き気、冷汗、胸痛、むくみ等)浮腫みや息切れなどは心臓に負担がかかっている症状です。症状が見られたら受診して頂くことが良いです。
4. 自分に合った運動
運動の効果
Ⅰ体力がつきます
⇒疲労や息切れを軽減し、QOL(生活の質)の向上へ!
Ⅱ再発を予防します
⇒・動脈硬化を改善!(中性脂肪の減少、禁煙率の減少)
⇒・血圧や心拍数があがりにくくなる!(交感神経の緊張を低下)
Ⅲ予後の改善につながります
⇒・心不全憎悪による入院の頻度減少!
⇒・死亡率の減少!
☆闇雲に息が切れるきつい運動は心臓に負担がかかります心臓に負担のかからない負荷で運動することが大切です
〇有酸素運動(ウォーキング・エルゴメーターなど)
〇レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)
◆運動にあたっての注意事項
(1)寝不足、風邪気味などの体調不良、また天候不良時は
無理して行わないようにしましょう。
(2)食後1時間は避けましょう。
(特に糖尿病がある場合は、低血糖症状に注意してください。)
(3)運動の時間帯 ※夏は午前中か夕方(日除け対策、脱水注意)
冬は午後の暖かい時間(軽くて暖かい服装)
(4)準備運動(運動前:ウォームアップ)、整理運動(運動後:クールダウン)をしっかり行いましょう。
(5)運動前に水を1杯飲み、運動中は20~30分に1回程度、
軽くコップ1杯の水を飲みましょう(脱水を予防します)。
(6)疲労が翌日まで持続する場合は、運動負荷が強いことも考えられます。歩くスピードを遅くする、時間を短くするなど、負荷を調節しましょう。
以上が心不全再発予防のためのパンフレットです。何か不足している点あれば教えて頂きたいです。よろしくお願い致します。
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