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陰毛を小便器に乗せる正義

先日公園の公衆トイレでおしっこをしていた時の話です。
僕は小便器の上に陰毛と思われる毛が乗っているのに気付きました。

男なら一度は小便器の上に陰毛が乗っているのを見たことありますよね。でもあれって、何であんなところに乗るのでしょうか?だって股間の位置は絶対に小便器より低いし、あえて抜いて乗せてるとしか思えません。

僕はこの疑問を友人に話しました。
すると友人は、「わかってないなぁ」とため息をつきました。
友人曰く、陰毛を便器に乗せる人には、彼らなりの正義があるというのです。

友人は言いました。
「清掃員の気持ちになってみろよ。もし陰毛が小便器の中に落ちてたら、取りにくくて掃除が大変だろ?清掃員の方達は便器の上に乗ってる方が嬉しいんだよ。」

なるほど、確かに。
清掃員の気持ちを少しも考えた事がなかった僕は自分が恥ずかしくなりました。
そうか、清掃員は、小便器の上に陰毛が乗ってた方が嬉しいのか。
僕は正義に目覚めました。


次の日、僕はまた公衆トイレに行き、おしっこをしました。
そして用を足し終わった後、カミソリを使ってその場で自分の陰毛を全て剃り、小便器の上にどっさりと乗せました。
僕は元々陰毛が濃いので剃った毛の量は凄まじく、まるで便器の上で黒ウサギが死んでるのかと勘違いするほどでした。これは清掃員もさぞ喜ぶでしょう。僕は自分の正義の行いに満足しました。

その一連の流れを、隣で用を足していたおじさんが驚いた顔で見ていました。
おじさんの股間を見ると、僕に負けない量の陰毛がびっしりと生えていました。
僕は「ちょっと失礼しますね」と、おじさんの陰毛を剃り始めました。おじさんは何が起きているのか理解できないといった顔で固まっていました。

全て剃り終わり小便器の上に陰毛をどっさりと乗せ、僕が「ふぅ」と一息つくと、おじさんはようやく自分の身に起きた事を理解したようで、「いやーん!」と股間を押さえながら逃げてしまいました。
少しかわいそうですが、正義のためです。仕方ありません。

僕は、また自分の陰毛が生えたら乗てあげようと思いましたが、そんなの待ってられません。清掃員の方達は陰毛を待っているのです。
僕は心に正義の炎を燃やしました。


次の日から、僕は公衆トイレの個室に隠れ、正義の陰毛ハンターとして来た人来た人の陰毛を刈り取りました。
たまに、元からパイパンの男が来たりもしましたが、そういう奴は普通にボコボコにしてやりました。正義の邪魔をする奴は誰であろうと悪者です。それに、男なのにパイパンにしてるやつってなんかムカつきますしね!

しかし、こんなやり方じゃ集まる量はたかが知れています。もっと効率よく陰毛を集めなければ。
僕は心の正義の炎をさらに燃え上がらせました。

そこで僕は脱毛サロンに行きました。店に入ると一人の女性が会計を済ませているところでした。僕はチャンスとばかりに二人の間に割り込み店員に「この人の処理した陰毛をください!正義のためなんです!」と懇願しました。


しかし、僕は不審者扱いされ、店を追い出されてしまったのです。


そうか、この店は、悪の店だったんだ。
そうかそうか。


僕はそのまま、その脱毛サロンに火を着けました。

中に相当な量の陰毛を隠し持っていたのでしょう。それが燃料となり、その店はそれはそれはよく燃えました。

僕は轟々と燃え盛る炎に目を奪われました。
なんて、美しい…。鼓動が猛烈に早まっていくのを感じました。
そして気付いたのです。

そうか…!これは、僕の心の中の正義の炎です。

僕の心で燃える正義の炎が実体となり、今目の前で悪の組織を焼き払っているのです。
僕はゾクゾクとした快感に身震いしました。気づけば僕は激しく勃起していました。


その後、都内の脱毛サロンで立て続けに火事が発生したのは言うまでもありません。
どの店もどの店もどの店もどの店どの店も僕の正義の邪魔ばかりして、陰毛を独り占めにしようとするのです。そんな店は焼き払われて当然です。

しかし、僕はやがて、警察に逮捕されてしまいました。結局は警察も悪の組織の一員だったということです。僕は失望しました。この国は腐っています。

僕には懲役20年の判決が下り、牢屋に投獄されました。それが約2年前の話です。


僕はこの2年間、ここを出た時のために毎日刑務所内の床に落ちている陰毛を集めています。
陰毛というのは、思ったより床に落ちています。もう既にかなりの量が集まりました。

僕が陰毛を集めている姿を見て看守は、熱心に掃除をしていると勘違いしたのでしょう。僕は生活態度が良好と判断され、刑期はどんどん短くなりました。最初20年だった刑期は気づけば3年になりました。

もうすぐ出られそうです。心臓が静かに高鳴るのを感じました。

ここを出たら、悪の組織であるこの刑務所も…この集めた隠毛を使って…!

僕は心の正義の炎を再び燃え上がらせました。


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