ソビデ第9回「インサイトから、2つのジャーニーマップ」
株式会社ニューロマジック、イノベーション担当執行役員の藤本です。
ニューロマジックでは、生産性向上のためのプロセス・イノベーション、ソーシャルビジネスデザインを担当。まちづくり中間支援組織のたまプラ・コネクト、猫と人間の共生社会を目指すコードフォーキャットとしても活動しています。
ソーシャルビジネスをデザインする、略して、ソビデ。今回は、カスタマージャーニーマップ(以下、CJM)社内研修のお話です。
ある日、代表と話しているとき、UXが大事だとか、UXが基本だとか言うなら、社員全員がきちんとCJMくらい書けないといけないよね、そりゃそうだ、じゃあ、トレーニングするかということで、2017年から始めました。まずは、ネーミングから。CJM研修じゃ、おもしろくないし、dojo(道場)どうかなと、シビックテック界隈では、CoderDojoとか、PythonDojoとかよく使われているの知っていたし、それで、CJM dojo。
1)研修の目的
サイト設計、コミュニケーション設計、サービスデザインの基本はCJMにあると考えています。メーカーの送り手目線の“なんちゃってCJM”ではなく、顧客視点で、きちんと、CJMを書くことで、課題が明確になり、いつ、どこで、どんなサービスを提供すべきかを考えることができるはずです。
2)研修の流れ
STEP-1:ペルソナ作成
まず、ペルソナをつくります。
通常のクライアント作業だと、ターゲットユーザーの詳しい資料があったり、定量・定性調査をしたりするのですが、dojoでは、ネットリサーチとなります。親や上司などの影響を与える世代との比較、すぐ上、すぐ下の世代との比較をすることで、ターゲット世代の特徴を浮き彫りにしていきます。
STEP-2:インサイト作成
ペルソナが明確になってことで、今度は、テーマに則して、彼らの志向、基準、価値観を整理していきます。
グループワークで行う場合には、マンダラチャートを使うのがオススメです。インサイトは、無理やり訳すと「洞察」となりますが、私は、パラメーターのようなものだと思っています。
STEP-3:CJM作成
インサイトに基づいて、CJMを作っていきます。ここでのポイントは、送り手にとって、都合のいいストーリーを書かないこと。あくまでも、顧客目線。そうしないと、課題が発見できないからです。
ジャーニーの段階(フェイズ)を設計して、細かいステップに分けて、思考と行動を整理していきます。さらに、感情のアップダウンとタッチポイントを付加していきます。
中古リノベーション住宅のCJMを例にとって、さらに、詳しくご説明します。
出産を機に、家を建てることを考え、新築戸建てから検討を始め、最終的に中古リノベーション住宅に落ち着く人のジャーニーマップです。
ステップごとの情報行動の内容、何がわからなかったか、不安要因、決め手となったこと、決定要因などを掘り下げていくことで、課題が明確になっていきます。
STEP-4:コンテンツジャーニーマップ作成
CJMをつくって終わりではありません。CJMではっきりした課題を解決するためのサービスのデザインが必要です。タッチポイントの設計とコンテンツの企画の組み合わせとなります。エクスペリエンス・マップという言い方もされますね。
中古リノベーション住宅の例では、
・ターゲット層へのサービスの認知をあげる方法。
・新築検討中のターゲット層に、どうリノベーション住宅の情報を差し込ん でいくのか。
・商品ベネフィットへの理解促進のための方策。
・競合他社に対する優位性をどう見せるか。
・物件見学の現場で何を伝えるか。
・リノベーションプランニングのサポート、などのサービスデザイン、コンテンツ企画を行っていきます。
3)テーマ
CJM dojoでは、テーマを、3つ出します。 いずれも、サービスデザインです。
1つ目は、中古リノベーション住宅、2つ目は、英語教育、3つ目は、社会起業支援です。具体的なクライアントを想定して行います。1つ目は、最初から最後まで個人ワーク、2つ目は、個人ワークとグループワークの組み合わせ、3つ目は、缶詰作業で、ワークショップ形式で、一気に、ペルソナからインサイト、CJM、コンテンツジャーニーマップまでをつくります。
ニューロマジックには、サービスデザイングループがあります。
カスタマージャーニーマップをデザインスプリントというカタチでつくることをご提案しています。興味のある方はぜひ。
ちなみに、タイトル画像の「マッピングエクスペリエンス」。いろんなマップが紹介されていて、とても、参考になりますよ。
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