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箱根の関所をアルファロメオ で

目指せスーパースター。蕎麦宗です。

アルファロメオ スパイダーがやってきて早や二月。やっとウインカーも治って、しかし梅雨で乗れず、ようやく梅雨明けしたのでサァ走り回ろうと思ったら、なんと車検があと数日で切れることに気がついた。慌てて知人のクルマ屋『wave speed』さんに段取りつけてもらって、車検切れの期限その日に預けてしばらくまたドックインの予定。

それまでにツーリズモを!と初の遠乗り、伊豆・箱根を駆けずり回ってきた。仙石原のススキの原は青く、芦ノ湖畔の木々も蒼く、樹齢350年の東海道杉並木も翠く、湖尻や元箱根の海賊船が寄せる波も碧い。夏の箱根はどこも青々と美しい。遠乗りと言っても一周70kmほどのショートコース。普段、ロードバイクで走り回るこの定番コースも、こうしてスパイデル(オープンカー)で飛ばすとまた違った景色に見えて面白い。そして、チャリだとついつい止まらずに走るので観光は後回しになるが、今日はクルマだ。

そこで、思いついて《箱根の関所》に立ち寄ってみた。『入り鉄砲に出女』に限らず東海道の最大の難所だったその場所は、三島の町から車で30分とかからないすぐ近くにもかかわらず、初めての見学。2005年くらいに発掘調査を終え、江戸時代も末期の1965年に作られた施設が復元されている。それに関する説明をボランティアのお爺さん解説員がしてくれたのだが、非常に興味深い話。

この建物、当時そのままに再建できたのは、時の伊豆の代官『*江川担庵えがわたんなん』公が指揮し、その詳細な設計図面が韮山の江川邸から発見されたおかげ、だというのだ。そして解説員は続ける。

「江川さんはすごい方で、韮山塾という学校を作り幕臣だけでなく維新の側の志士にも教育を施し、とにかく右も左も分け隔てなく向学心のある若者に教え…そう、あの吉田松陰も学んでいるのです…と日本の未来のために尽力した方で…」

一通り聞いていたが内容としては自分も初耳ではない。郷土の偉人としてはもちろん、その韮山塾の系譜が僕の母校・韮山高校。つまり江川さんは創設者であるからだ。

解説員のお爺さんに

「大河ドラマになってもいい人物ですよね」

というと、

「その通りです。そうあるべきです」

と鼻息荒く応えてくれた。

帰路は伊豆スカイラインと丹那盆地を経由して、少し『もや』のかかった三島や田方平野を見下ろしながらアルファロメオ916スパイデルを飛ばした。*FFでV6エンジン積んでいるぶん、少し鼻先が重いのにすんなりとお尻が付いてくる。なのでコーナリングは軽やか。直線は3速で引張って*4500回転くらいのエグゾーストサウンドが心地良い。自分好みに運転するというよりも「クルマってこう走らせるもんだよ」、と語りかけてくるのがアルファロメオはじめイタリア車の特徴だと思う。

…歴史の重みに敵うものはない。

江川さんにもアルファロメオにも、長い歴史に想いを馳せながらどこか誇らしげに感じ入った。夕暮れが近づいても気怠けだるくく暑い、そんな、お盆休み直前の箱根と伊豆の道を、ゆっくりと風に髪なびかせながら家路へと向かった。

よし、ガンバラナシませう。

*江川担庵…45代英龍。江戸時代幕府の直轄地であった伊豆を治めていた代官。平安時代に京より韮山に移り住み現当主48代まで続いている名家。

*FF…フロントエンジンフロントドライブ。車体の前にエンジンを積み前輪を駆動させるため一般的にはスポーツ走行には不向きとされてきた。

*回転…エンジンの回転数。マニュアルの車では重要だが、オートマチック車がほとんどを占める現代では操作とは無関係になった。 

#アルファロメオ916スパイダー #箱根路をドライブ #箱根関所見学 #休日のすごし方


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