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正解だらけのクルマ選び その14【番外編:スバルサンバークラシック】

時は2001年。29歳なった僕は、5年間務めた静岡県教職員を辞め脱サラし、5月から板前修業に入った。沼津の白銀町にあった京懐石「八千代」。まったくの素人、しかも普通からすると10年遅い弟子入りをよく受け入れてくれたなぁと、今となっては感謝しかない。

入ってすぐに、親方は営業車を貸してくれた。妻が使用するためにアルトの商用バンは家に置いておきたかった。それゆえに通勤用の車がなく自転車で通うつもりだと、新入りの僕がその旨を伝えると、スバルサンバーを使って良いことになった。ちょうど僕の自宅と店との間に仕入先があったので、食材の選び方を覚えたら仕入れを任せるつもりだったようだ。

親方の車はボルボのエステート。サンバーも同様に、仕事柄荷物が沢山詰めることが重要で、時には水槽を積み込んでタイやフグやハモを活かしのまま積み込んだりもした。サンバーはパートタイムの4WDで、660ccにしてはなかなかパワフルな走りで面白い車だった。富士重工(現スバル)という、レガシーやインプレッサといった名車を作っている企業が作っただけあって、そんじょそこいらの軽バンとは趣きが異なっており、シンメトリーなサイドビューなどは今見ても新鮮である。

親方が使う用事があるときは、店に置いて妻にアルトで迎えに来てもらったり、【MTBリッチーP-21】で通ったりもした。が、休日も使って良いという事で、実質的に支給されていたようなものだった。当時の板前修業の給料だから手取りにすると、普通のサラリーマンが聞いたらビックリするような金額。でも、現物支給のような形で福利厚生されていたことは、小さな個人事業主にとってどれだけ大変なことなのかは、自分自身が店を持つようになるまでは、なかなか理解しがたい事であった。ありがたいことです。

サンバーには結局修行中の約3年間お世話になった。それゆえに感謝の思いと共に、深緑にメッキのグリルのついたあのクルマが、懐かしく愛おしく思い出されるのだ。

#スバルサンバークラシック #板前修業 #福利厚生 #懐石八千代



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