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正解だらけのクルマ選び その24【アルファロメオスパイダー①林健太郎】

CLUB SOBASO自動車部の活動やその仲間の刺激から再燃したクルマ熱に、真っ先に反応し、《あちら》からの幸運を持ってきたのは弟のユウスケだった。最近学んできたコーチングをブラッシュアップするためのリモート講習を受けていると言い、そこで知り合った方のFacebookの投稿を覗かせてくれた。

投稿には確かにアルファロメオ916スパイダーが写っている。そして、

『このクルマへの情熱を語り、愛情を注げる方へお譲りしたい。どなたかいらっしゃいませんか?』

とある。

『うぉーきたな〜!それって誰か手を挙げているのか?俺が欲しい!情熱なら誰にも負けない。ユウスケ、その方に連絡とってくれよ』

ヌヴォーラホワイトの916スパイダーに釘付けになりながら、手持ち金も無いのに鼻息荒く、その方・林さんとの取り次ぎを弟に頼んだ。

返信が来た。使い始めたばかりのメッセンジャーで会話する。僕はただただ熱く思いの丈を語った。デビューした1994年から憧れだったこと、そのために全ての雑誌のアルファロメオ916に関する記事を切り抜きしてファイリングしていること、何度も愛車としての候補に上げつつも手にできなかったこと…etcを、会ったこともないのにweb上で話すその方に伝えた。

『ビンビン伝わって来ますよ、山川さんの情熱とこのクルマへの愛が!!』

話はトントン拍子に進み、一度実車を見せて頂くこととなった。

『ユウスケ、サンキュー。とりあえずアルファロメオ見に横浜へ行ってくるよ。そして林さんに会って話してくる』

『あっ、そう、良かったね。でもさ、お兄は気軽に話しているけど、その方その道ではとんでもなくスゴイ人だぜ。コーチング学んでる俺だって畏れ多いし会ったことない』

無知とは恐れもおそれも知らぬものだ。その方、林健太郎氏は国際コーチング連盟日本支部(当時)の理事長にして創設者。つまり、第一人者中のカリスマだった。また、後(2021年3月)には処女作《出来る上司は会話が9割~三笠書房の》を上梓じようしして、Amazonや紀伊國屋でのビジネス書ランクトップにもなっているスーパースター。 

再度、林さんと連絡を取って日取りを決めた。僕はロードバイク・サーベロS5に跨って、学生時代を過ごした第二の故郷・横浜へと走らせた。そのくだりは以前【フタレノヘ】という記事に書いた。一泊した翌朝、林さんと約束した場所へと向かう。かつて住んでいた家と、目と鼻の先だった。

『宗さん、ホントに自転車できたんだね〜』

そう喜んでいる林さんは、初対面にして旧知の仲のような面持ちで待っていてくれて、その横にアルファロメオ916スパイダーが佇む。興奮を抑えて挨拶を済ませ、早速、これまでの整備状況や具合など一通りの説明を受けながら、しげしげと眺めつつ語らった。

『せっかくだから乗ってみます⁈』

という彼の運転で新横浜方面へと軽くドライブをした。彼は運転が上手い。愛車遍歴を尋ねるとイタリア車が多く、かのフェラーリにも触れたことがあるようだ。日産スタジアムの周辺を2速・3速で引っ張って加速すると、僕らの背中は本革シートに張り付いた。高トルクのV6OHCエンジンのサウンドが幌の内に響く。カンターレ!。見事に歌い上げるこの車に音楽はいらない。その美声に一度だけ試乗した20数年前の記憶が蘇る。トラベルオートの石垣竜さんや(イーグルオートの)杉浦さんの顔が浮かんだ。

僕は決めた、買おう。いや、決まっていた。ここにくる前から。金なんか無くたって買うつもりでいた。このアルファロメオ916スパイダーの購入を伝えるために、ここ横浜へ、そして林さんに会いに来たのだ。

さて、ここでひとつだけネックだったことがある。支払いである。林さんのご厚意で随分とお値打ち価格にしては頂いたのだが、ちょうどコロナ禍の激ヒマで店も家計も苦しい最中。ところが…。まるでクルマの神様がいるかのように救いの手が降りてくる。機を合わせるかのように、三島市からの飲食店の休業要請が出て、その給付金が入ってきたのだった。本来ならば店の損失補填に取り置くべき資金。しかし、僕にとっては所詮は泡銭あぶくぜに。さっさと気前良く使って社会へと還元するべき、とうそぶいて購入資金に充てることにした。これで安心して916スパイダーの新オーナーとなれる。次の再開を楽しみに待った。

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#出会い #偶然と必然 #出来る上司は会話が9割 #コーチングを学ぶ

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