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八田さん

灰色の麦畑の風の中
頭蓋骨の目の窪みが
記憶を吸い込み
僕はゆっくりと死んでゆく
首に巻かれた湿った麻縄から
ナメクジが這い出して
僕の心臓を絞りつくす
未来に向かう川の音が 
聞こえなくなってどれくらいだろう
拳は種子になり
足の裏は門のように硬くて重い


 



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