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本屋のニュース

昨今のニュースで、国が書店を支援する動きが報じられている。
本、活字離れに危機感を持っているという内容で、それに伴い販売実績を上げ、生き残った書店の事例を共有することで活性化を促すとのこと。

非効率な出版流通の改善や店舗運営におけるデジタル技術活用の必要性など課題を把握する。

上記引用文のような、システム面の問題を把握して対応を考える流れは良い取り組みだと思う。


ただ、「売れる本屋」としての例示の「カフェスペース」や「トークイベント」はやや疑問が残る。
あくまで書店の存在を知る、身近に感じてもらう策としては有りだ。導入として広報に力を入れる必要はもちろんあるだろう。
しかし、本屋という空間に「馴染みを持つ」のみでは、購入まで行きつかないだろう。

この企画がスタートした理由として記載されているのは下記文章だ。

「経済が成熟する中で、自国のサービスや商品が海外で勝ち抜くには、文化による新たな付加価値をつけることが必要」と語る。だが文化の基盤である活字や本に人々が広く触れる環境がなければ、新たな魅力的な発想は生まれないだろう。

少し水を差すなら、何かに勝つ為に…という理由で文化に触れたくはない。私一個人の考えとしては文化、ひいては芸術が救うのは極狭い範囲のみだ。
芸術によって付与される力は内包して意味があると思う。
何かに役に立つから、という理由で文化、芸術を振興してほしくはあまりない。

ただ、これは個人の視点の意見である。国が自国を維持するための視点で策を打ち出すことは自然なことだろう。

話が逸れてしまったが、国は文化基盤に触れる機会を増やして欲しいと考えており、この策を打ち出したようだ。
ならば、推し進めるべきは個人が(顕在的、もしくは潜在的に)興味のある分野を分析し、その個人に合った本を結びつける取り組み。それが広報の先には入るのではなかろうか。

しかし、自分が何に興味関心があるのか?というのは思いのほか難しい問いだ。私は一朝一夕で見つかるものでは無いと思っている。
なんせ私のピタリとはまった作家は今から百年も前の作家だったのだから。

長い時間をかけながら、考えてゆくならば取り組みは学生時代から必要だろう。学校教育の中で自己理解について考える機会を増やしてはどうだろうか。

何を周りくどいことをと思う御仁も居るやもしれないが、即席、一過性での本への興味や売り上げでは文化を振興するという目的までは到底到達しないだろう。
目的は「本を買ってもらうこと」ではない。「本によって文化に触れてもらうこと」だ。どうかそこをはき違えず国には策を打ち出し、支援してほしい。

私の今回の意見は採算や経済的な諸問題には触れずに書かせてもらった。
勿論、本屋も商売だ。売れなければ立ち行かない。そちらへのアプローチも必要となる。
しかし、どうか本質を見誤らず金銭的、文化的、両問題に対しての支援を打ち出していって欲しい。

追記:
本屋に併設されているカフェの売り上げの一部は還元されているらしい。不勉強だった。利益率を他で補う戦略は現実的で賛成だ。
汚れ問題などはあるが…。

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