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soarとissue+designが考える「小さな声が生み出す未来の可能性とは?」

「多様性の溢れる社会を目指そう」そんな言葉を聞く機会が増えました。

しかしながら、それに向かってどのように行動していけばよいのかわからず、試行錯誤している方や企業も多いのではないでしょうか。

そんな方たちに向けて、soarと社会課題をデザインの力で解決してきたissue+designで、6/29(金)にイベント「Design for Minority」を開催しました。soarとissue+designがこれから取り組んでいくデザインプロジェクト「OURS」の一環である今回のイベント。「私たち望む社会をデザインするために」をテーマに両者が語りました。

情報発信と繋がりの強みを持つsoar

第一部は両団体の活動説明から始まりました!まずはsoarの代表理事・工藤からです。

soarはこれまで、多くの困難を抱える当事者のストーリーと彼らをサポートする事例を、ウェブメディアを通じて発信してきました。

工藤:例えば、soarでは富士通が開発した音声認識によるコミュニケーション支援のソフトウェア「LiveTalk」の事例を取り上げたことがあります。このソフトウェアを開発したのは聴覚障害を持つデザイナーの松田さん。彼は、ときにネガティブに捉えられてまう聴覚障害を前向きに捉え、事業開発に活かすことで多くの人のコミュニケーションを助けるツールを開発したんです。

soarが目指すのは「すべての人が自分の可能性を生かすことの出来る未来」です。Live Talkは人の可能性を広げ、困難や課題だけではなく希望を伝える素晴らしい事例の1つだと工藤はいいます。

工藤:困難を抱えるひとは、サポートを受けたいときにどこに情報があるかわからないという課題がありました。一方で、サポートをする側は情報発信まで手がまわっていないことも多い。soarは両者の課題を解決する媒介者になりたいです。

困ったときはsoarを見れば知りたい情報を見つけることができる、希望を見つけることができる、そんなインフラのような存在にsoarを育てていきたいと思っています。

デザインによって課題を解決してきたissue+design

issue+designは「社会の課題に、市民の創造力を。」を合言葉に、医療・教育・まちづくりなど多岐にわたる社会課題をテーマに共創型のデザインプロジェクトを行ってきました。

デザインの力について代表の筧さんはこのように話します。

筧さん:多くの人が「デザイン」と聞いて思い浮かべるのは、きれいな建築や美しいグラフィックです。でも私たちは、“共感の力で人々の行動が変わり、社会に前向きなムーブメントが作られていくこと”を「デザイン」だと考えています。正しい解が見つからない今の時代には、調和をもたらすデザインが必要なんです。

issue+designは、子連れ離婚に直面する母親をサポートする「プレシングルマザー手帳」や自分のストレス状況を可視化するWebサービス「ストレスマウンテン」などこれまで多くのプロジェクトを手がけてきました。

その中でも筧さんが「希望」を感じた1つのプロジェクトがあるといいます。

筧さん:書くときにでる“筆記音”を大きくすることで、書くことそのものが楽しくなるWrite More(ライト・モア)というプロダクトです。これは落ち着いて学習に取り組むことができない子どもの視点を活かしたものでしたが、今では知育玩具としてすべての子供向けに試験販売されています。

このケースは、マイノリティな立場にある人の視点を活かすことは、より多くの人にとっても意味のあるものだと感じるきっかけになりました。

「OURS」が目指す未来

両団体の活動紹介のあとは、「OURS」についてのトークセッション。

「OURS」は、soarとissue+designによる企業向け共創型デザインプログラムです。社会的マイノリティの声を活かした調査から始まり、コンセプト開発、プロトタイピング、実証実験まで、幅広く対応し、企業の事業開発を支援します。

(プレスリリースはこちら)

筧さん:マイノリティな立場にある人の見ている世界は、未来の世界を良くするための芽になる。かわいそうだから救うというわけではなく、今まで活かされていなかった視点を活かすことが企業にとっても、これからの未来にとってもイノベーションだと思うんです。そこから生まれる新しいスタンダードがある。だから、本格的に取り組みたいと思ったんです。

そこで筧さんがsoarに声をかけたことが、このプロジェクトの始まりです。

soarが「インターネットを通して繋がった当事者の声を、社会の変化に結びつけけていきたい」と考えていたのも、それと同じタイミングでした。

工藤:issue+designのワークショップ参加したことがあるんですが、そのとき参加者のみなさんが自身の創造性を活かして、社会を変えていく姿が印象的だったんです。issue+designと一緒にあらゆる困難の当事者であるみなさんにも機会をつくっていくことで、よりよい社会していくことができると実感しました。

また、このプロジェクトによって生まれたサービスやプロダクトを、世の中に伝えていくことができるのも両団体が組む強みです。

モリ:よいものをつくっても発信されていなければ認知されません。soarはつくったものについて情報発信することができます。一緒に考える、つくるにとどまらず、きちんとよいものを届けていきたいと考えています。

トークセッションでは、2020年のオリンピック・パラリンピックを始め、多くの人が可能性を活かした未来に向けたここ数年での社会の変化についても語られました。

モリ:ビジネスの世界でも今回のプロジェクトの追い風になるものを目にすることが増えました。”ボディポジティブ”と呼ばれる誰かになろうとするのではなくて、そのままの自分を愛そうというメッセージなどがそうです。

また、企業においても社内でもダイバーシティ推進が盛んになったり、社会課題を解決する事業づくりの動きも生まれています。

工藤:障害者の法定雇用率が引き上げられ、障害のある人が企業で働くことも増えてきています。ソフトバンクが行っているショートタイムワーク制度のように、障害がある人がそれぞれの特性を活かし、短い時間で働くためのしっかりした環境づくりしている企業も出てきています。これからどんどんこの動きは加速していくと思いますね。
筧さん:issue+designを始めた当時は企業からは見向きもしてもらえませんでした。ここ1,2年で大きく変わりましたね。変化の背景には、マジョリティとマイノリティという垣根がなくなっていることが大きいのかもしれないですね。

企業は生存戦略として細分化されたターゲットに対象を向ける必要が出てきたことで、CSRの文脈ではなく、ビジネスとしての1つの選択肢になっているんです。

「OURS」が目指すのは、“特定の誰かのみが生きやすい社会”ではありません。見過ごされてきた小さな声をきっかけに生み出される、“誰もが生きやすい社会”です。社会の流れの変化は、少しづつ私たちの目指す社会に近づいている兆しなのかもしれません。

私たちが望む社会を伝えあう

第二部のワークショップでは、4人1組がチームとして円になり、「自身が取り組みたい課題はなんですか?」「その実現にむけて必要なものはなんですか?」というテーマで自由に意見を交わします。 

参加者は企業の中で、ダイバーシティ推進や新規事業立案に取り組まれている方が多く、熱心なディスカッションが行われていました。

「当事者の声を施策に結びつけることに取り組んでいる」という具体的な事例から、それらの問題が生じる社会構造にまで話が及び、現状を分析するだけではなく、こうしていきたい、という未来の話に発展していました。

小さな声を活かした事業づくりに取り組む企業が増えることで、社会はよりよく変化していきます。そして、その変化は多くのひとが生きやすい社会の実現に繋がっています。

私たちと一緒に”新しいスタンダード”をつくりませんか?

同じ未来を見つめながら、共に最初の一歩を踏み出してくださる企業をお待ちしています。

プロジェクト詳細情報はこちら
プロジェクトに関する対談記事は以下のリンクから

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