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②何の変哲もない古着のズボン

何の変哲もない古着のズボンを買いました。
数少ない11月の収穫。

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何の捻りも衒いもない古着のスラックス。

場所は高円寺、
最初に古着屋さんで目が合った時、
(服好きは服と目が合うんです、これは常識なのでスルーしてください)

「んー、ウールの質感いいな・・気になるな・・、
 でも明らかにサイズ感も大きめだし、シルエットも野暮ったそうだし、
 多分僕には関係のないパンツだろう」

と一旦離れて別コーナーに向かったですが、
ムムム。

何度も目が合う。
むしろ段々目が逸らせなくなっていく。

まあでも恋愛もそういうことってあるしなあと。
槇原敬之さんの歌にもそういうのあるしなと。


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”恋をするつもりなんて
 これっぽっちもない時に限って恋がやってくる”
            「モンタージュ」/槇原敬之
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やむなく、しかし確実に心動かされながら試着室へ。
そして疑惑は確信に、履いた瞬間きましたね、ビビビと。

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ひざ下ノンテーパーの土管ズボン。
裾からマリオやパックンフラワーが出てきても
違和感ないレベルの土管です。

裾までほぼ太さは変わりません。
デザインを忘れてしまったのか疑うほどストレートです。
ある種頑なさを感じます。

同級生でこういう子がいたらさぞ融通が効かないことでしょう。
間違いなく給食当番だったら大盛りはしてくれないでしょうね。


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ウエストに縫い付けられた「Country Traditionals」のタグ。
意味は全然わかりません、
要は「伝統的だぞ」ということなんだと思います。
思わず気が引き締まりますね。

どうせベルトで隠れるし剥がしません。
ほつれてるのも直しませんし、ありのままを愛するつもりです。
多様性を愛する時代、僕は伝統も大事にするタイプです。





タグを見ると、これでした。
そりゃ気になるウールなわけです。

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さっそく次の日から登板していますが、
まったくもって気分にフィットしてくれています。


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同じくグレートーン、そして同じくアメリカの良心として、
fruit of the loomの何の変哲も無いパーカで灰色グラデーション。



ちょっとだけ真面目な話を書くと、
太めのパンツはウエストの固定がキモなように思います。

しっかりと固い、それなりの太さのあるベルトを使うと、
どの位置で履いてもちゃんとシルエットを出してくれます。

個人的には古着屋さんで買った雑多でごついレザーベルトより、
イタリアメイドのクロコベルトの方がしっくりきました。
それは単純に雰囲気の問題かもしれませんし、
「そういうノリが正解」という
「着こなし」に導かれた正解なのかもしれません。

ホメオパシーレベルのことのように思いますが、
でもまあそもそもファッションなんてそんなもんだよね、
と自嘲したり、しなかったり。



それにしても、
10年20年前の”アーカイブ”にはこんなに気が重いのに、
もっと昔のただの量産品なら気負わず買えてしまうこの不思議。

古着、ヴィンテージ、アーカイブ、
これらの目に見えぬ概念が渦巻く森のなかにある不気味の谷。
どう歩いていけば自分が居心地よくいられるのか、
僕みたいなもんにはまだまだまったくわかりませんが、

風来のシレンで言えば、今回の冒険では
レアな当たりアイテムをゲットして無事帰還できたわけですし、
ひとまずは成功を喜びたいと思います。


それでは、
『これはアリで、なぜあれはナシなのだ』と自問自答するときに
いつも頭に浮かぶ名歌詞を引用して、本日はこれまで。



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”賞味期限が切れる夜の0時に ミルクには何が起こるんだろう
 致命的ななにごとかが”
            「ウォーカー」/ポルノグラフィティ
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