朝の時の流れは昼の3倍早い
私は子どもの頃から全く寝起きの悪い人間であった。
しかし子どもの頃は「寝起きが悪い」という自覚はなく、そういうものだと思っていた。
高校生の頃、友達の家に泊まらせてもらった日の朝、友達はアラームを止めてすぐ体を起こして顔を洗うなり着替えるなり布団をたたむなどしていた。
私はアラーム音に気づいたものの半分夢の中で隣でチャカチャカ動く友達を感じながら「えらいなぁ」と感心していた。
その十数分後、のっそり起きてボケーッとした顔で着替え準備万端の友達と朝ご飯を買いにコンビニに行く途中もまだ「眠い眠い」とつぶやいていた。
友達はそんな私を見てとても驚いた様子で
「すごい寝起き悪いんやな」
と言った。
私は
「え、私って寝起き悪いん!?」
とびっくりした。当時私は「寝起きが悪い」ということは「起きてすぐ悪態をつくこと」だと思っていたので、起きてボーっとしているだけなのはただ朝が苦手な人としか思っていなかった。
25歳になった今も寝起きは悪いままだ。ひとり暮らしをはじめたての頃は緊張感で起きれていたものの、3カ月も経てば慣れてしまう。
ギリギリ家を出る15分前に起きれば間に合うということを学習してしまったせいで、せっかく早く目が覚めてもまだ寝れるとボーっとした頭がそういうことだけすぐに判断してしまう。
本当はパチッと目が覚めたらサッと起きてシャッターをあけ、すぐに顔を洗い着替えて用意してゆっくりコーヒーとか飲みたい。
でもどうしてもギリギリまで寝てしまうし1回目のアラームを止めた記憶が無い。
今日もインフルエンサーは早朝に起きては勉強するだの、筋トレするだの、瞑想するだの嘘か誠かわからないモーニングルーティーンを紹介している。
私だってできることなら朝エッセイを書きたいし、筋トレもしたいし、お弁当のおかずを2、3品作りたい。そしてインフルエンサーみたいに堂々とモーニングルーティーンと言いたい。
ただそんな起きられない私も、朝に絶対やらなくてはならないことがあると使命感で起きれたりする。
燃えるゴミの日はギリギリ出勤に間に合う時間に起きると、ゴミ出しには間に合わないので早めに起きる。
しかし燃えるゴミの日は週に2日なので、あとの5日の内休みでない日は起きられない。
そこで私は考えた。洗濯が朝終わるように設定しておけば「洗濯物を干さなければ!」という使命感で起きられるのではないかと。
そして寝る前に洗濯機の予約ボタンを押して6時に洗濯が終わるようにした。
するとどうだろう、ちゃんと6時のアラームで起きて洗濯物を干している!
ボーっとした顔で何も考えられないって具合ではあるが一応起きている。
しかし私が家を出るのは8時前。洗濯物を干すのにかかっても15分ほどなのでたっぷり時間がある。
こんな時ボーっした頭が考えることはただ一つ。
「20分だけ寝よう」
ゆらゆらと体をベッドに寝かせ、目をつむって再び目をあけたら1時間経っていた。
これが朝の恐ろしいところで、私は確かに20分だけ寝たはずなのだ。
でなきゃ朝の時間の流れが早すぎる。というか絶対早い。朝だけ昼間の3倍の速度で流れているに違いない。
「ああ……起きなきゃ……」
再びボーっとした頭で身支度をすませ、ごはんと漬物だけ詰めたお弁当と水筒を持って家を出る。
電車に乗ってまたボーっとした顔で「明日は起きていよう」と思う。
人間、心で思っていることと体は違う生き物なのだ。私のモーニングルーティーンは洗濯物を干して2度寝に失敗するところまで確立されてしまっている。
次の日が休みの夜は時間の流れがゆっくりに感じますよね。ずっとそうであれ。
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