竜の小骨

巷で話題の「竜そば」を観てきた感想。ネタバレは避けるようにしたいけど、どこまでをネタバレとするかなんて人によるよなぁ…。

観終わってすぐから家に帰るまで、「すごい映画だった、いい映画だった」という感想。帰宅後、そして日数が経ち、自分の中での評価は少し下がりつつある。

映像と音楽の華やかさ、迫力は本当にすごい。すごいという言葉が陳腐になるほどにすごい。キャラクターとその配置も個人的にとても好み。ストーリーは、微妙。こんな感想に落ち着いた。

オブラートというやつを取っ払って言ってしまえば、いわゆるご都合主義ストーリーに感じた。いわゆる「絵になるシーン」を作り出さんがために、多少不自然にでも話が転がっていく感じ。登場人物の判断、行動に対して「なぜ?」ってなる点がちらほら。そういう小さな「なぜ?」が、ちょうど魚の小骨が喉に引っ掛かるように気になってしまうんだけど、映像、音、演出の迫力で吹き飛ばしてしまう。そんな映画だった気がする。

観終わった直後はやっぱりその迫力に押されて「素晴らしい!」ってなるんだけど、それが落ち着いてくると観てる時に気になってたストーリーの粗に目が行ってしまう。こんなわけで冒頭に書いた「評価が下がりつつある」現象が起きたというわけです。

各所で色んな人の感想を覗いてみると、まさに賛否両論といった感じ。「ストーリーが…」とここまでうだうだ書いてきた自分の感想は特段珍しいものでもなく、同じことを思った人は一定数いるようだった。逆に、最高の映画だったと絶賛する人も一定数。

色々思ったけど、結局のところ「映画に何を求めるか」「何に重きを置いて作品を観るか」によって評価は変わるよな、という結論に達した。まあわざわざ言うまでもない当たり前のことなんだけど。演出の凄さに感動して「最高の映画!」となるのも、「テーマに考えさせられた!」となるのも、「ストーリーが…」となるのも、その人の価値観という定規で測った結果なのだからどれもが正しい。作品自体や、作品を絶賛している人を貶す意図は全くないのでここは強調したい。

感想としてはややマイナスなことも書いたけど、個人的な主張は「この映画は劇場で観た方がいい」です。自分のような物語の粗が気になってしまう細かい人間ですら感動させてしまう演出の壮大さがこの映画の最大の魅力で、金曜ロードショーだかネット配信だかで観ちゃうとその魅力は半減するどころの騒ぎではない思うから。実際、この映画を自宅の設備で観なくてよかったと心から思う。

宣伝したところで一銭足りとも自分には入りませんが、ぜひ、劇場へ。


蛇足ですが、ここが好きだったな、という点をいくつか挙げます。本筋のストーリーとは全く関係ない、既に観た人に「なんでそこ?笑」って言われそうなくらいのことを書くので大丈夫とは思うけど、冒頭に書いたように何がネタバレになるかなんて人によるので一応ご注意を。

クラス内の人間関係でトラブルが起き、それに対処する。その一連の流れを戦略ゲーム風に表現する演出があって、それが結構本質を捉えている気がして感心した。突然挟まれた演出ではあったので「は?」「それいる?」って思う人もいそうだなーって気がするけど、個人的には好き。

それから、個人的に1番好きになったキャラはカミシン。彼がいいアクセントになってて絶妙だった。キャラクターとその配置が好みだった理由の大半は彼かも。次点でおばちゃん合唱隊。あとYOASOBIのikuraちゃんが声当ててたキャラ(ヒロちゃん)がAyaseさん的なプロデュースポジなの、なんか良かった(語彙力)。そういえば声の演技みたいなところでうーんってなるキャラ1人もいなかったの、普通にすごい。

こんなところで終わりにします。感想をちゃんと言葉にするってそれなりにエネルギーがいる作業だなというのが感想を書いた感想です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?