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阪神タイガースの2008年と2021年

野球場


責任は誰にある

2008年、2位に最大13ゲーム差をつけていたにも拘らず阪神タイガースはリーグ優勝を逃した。
代わりに優勝させてしまった相手が特に悪かった。長年宿敵と言われていた読売。
その秋、監督の岡田さんは5年間務めた監督を自ら辞任した。
「誰かが責任取らにゃあかんやろ」と、確かこんなセリフを残していたと思う。
2位だったんだから良いじゃないか、とはならなかった。
プロ野球の監督というのは酷なものだ。

2021年は2008年と同じようなことが起こってしまった。
ダントツで首位を走っていた阪神タイガースは最後に逆転優勝をヤクルトに献上することになった。
私はその年の監督の矢野さんは自ら身を引くと予想した。
夏頃から球団は来季(2022年)の監督も矢野さんに依頼しているとの報道はあったが、私はその時そう思った。

私は矢野さんを責めているのではない。
ぬるま湯につかって傷を舐めあっているような組織の判断しそうなことがそこにある。
一旦続投を決めた以上は、矢野さんを辞任に追いやることは決めた人の責任になる。
誰も責任を取らないで済むようにできているのが日本の組織の特徴。
阪神球団が自分の責任にしなくて良いのは、矢野さんが自ら辞任するしかなかった。
ところがそうは行かなかった。
矢野さんは来季への意欲を見せた。

阪神タイガースのエラー数リーグ一位

2021年の阪神タイガースは守備のエラーから優勝を逃したと言っても過言ではあるまい。
記録に残るものだけでなく、他にも拙守と思われることはいくつもあった。
しかし、矢野さんは2022年の守備担当コーチを誰も変えなかった。
これは日本の組織の特徴と同じで、エラーが減らないことも選手個人の努力不足として、指導する側の責任にしなかったと同じ。
そんな状況で選手に緊張感が維持されるとは思えない。

監督と選手が昔の親分子分のような関係であればいくらか違うことだろうが、今はそうではない。
それに加えて、2022年のシリーズが始まる前に矢野さんは2022年限りで自分は監督を辞めると選手に告げた。
あくまで現在は監督と選手が昔の親分子分のような関係ではない。
これはきっと、誰も責任を取らないぬるま湯状態のまま、結果が問われるペナントの行方をも放棄したように私には見えた。
もしかすると矢野さんは、自分と選手たちが昔の親分子分のような関係にあると勘違いしていたのかもしれない。
これは選手の名前を矢野さんが常に下の名前で呼ぶことがそうであるように感じる。悪く言えば思っているのは自分だけ。

日本の典型的な社会の縮図が正に2022年の阪神タイガースに見える。

2021年は「優勝できたのにできなかったのはなぜか」と追及し総括するより、2位だったから良いじゃないかと転換する。気持ちの切り替えは必要だと思うが、事実は正しく受け止めなければならない。
結局、球団トップの責任のなすり合いどころか、都合の悪いことはなかったことにして時の過ぎるのを待つような姿勢が露見している。まるで日本の国の在り方と同じ。
2022年の阪神タイガースは「組織」というものを考える良い題材になっている。
2022年のペナントレース結果だけでなく、日本ハムの新庄BIGBOSSのことも含めて視点を変えてみるともっと面白くなりそうだ。

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