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FanplaのIEOで叶えたい「“推し”から”好き”まで」

2024年3月4日、僕がCOOを務めるFanpla(ファンプラ)社がIEOを目指すことを発表しました。
IEOとは「イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(Initial Exchange Offering)」の略で、暗号資産を用いた資金調達方法の1つ。
アーティストとファンが共創するWeb3経済圏をつくるプロジェクトです。

なぜレッドオーシャンに見えるテーマへ挑戦するのか?

この業界に詳しい人なら知っていると思いますが、Web3というテクノロジーは”推し”と相性が良いとされている…というか、そういった共通認識があるようで、様々なプレイヤーが参入し、レッドオーシャンの様相を呈しているように見えます。

IEOの先輩たちを例に挙げれば、FiNANCiE(フィナンシェ)」さんは、スポーツクラブやクリエイターがファンと共に夢や目標を実現するためのコミュニティおよびエコシステムを構築する」プラットフォーム。同じくIEOに成功したNippon Idol Token(ニッポンアイドルトークン)」は、ブロックチェーン技術とメタバースを活用し、新しい女性アイドルグループの結成からアイドル活動まで、一連のエコシステムを構築するプロジェクト。

今回のプレスリリースを見て「既視感がある」と思った人も多いのかもしれない、と思います。

https://fanpla.co.jp/news/224

今回は、Web3プロジェクトだからこそ僕らの想いを伝えることはもちろん、一緒にに良いものを生み出していくために、SNSで発信してコミュニケーションすることが大事だと思っています。このnoteもその1つです。こういう公の場で初めて書く文章なので、言葉遣いや、順番がめちゃくちゃなところはご容赦頂けるとありがたいです。

ぬいぐるみを愛でると、優しい気持ちになれる

僕はエンターテイメントに近い領域で仕事をしてきたので、会話の中で「”推し”はいますか?」と聞かれることがあります。でも、ちょっと言葉に詰まり、「そ、それがいないんですよね!」といつも答えてきました。

というのも、”推し”という言葉はここ数年、急激にブーム化された言葉のような気がしていて、「好き」の上位が「推し」なのかなぁ…とも思いつつ、本質を言い表しきれていない気がするからです。それを説明するのに、いくつかの例を示してみます。

「ぬい撮り」という言葉をみなさんはご存じでしょうか?外出先にぬいぐるみを持参し、風景などといっしょに写真で撮ることを指します。

ダッフィーを抱いた人たちが東京ディズニーリゾートでいっしょに写真を撮っているのを見かけたことがある人もいると思います。よほど「ぬい撮り」人口が多いのか、公式Webサイトでもぬいぐるみとのフォトスポットがフィーチャーされるほど。

https://www.tokyodisneyresort.jp/treasure/duffy/park/

ディズニーリゾートの例は、もしかすると自分を彩るための盛りアイテムな人もいるかもしれないですが、アクリルスタンドといっしょに旅行に行ったり、ちいかわ人形と一緒に居酒屋に行ったりする人もよく見かけます。

実は、僕もぬい撮りをする人間です。

なぜ大人たちはぬいぐるみを持つのか? 次の記事では、専門家が解説しています。

人形文化に詳しい白百合女子大学の菊地浩平講師は「愛着を持ったぬいぐるみが褒められれば、アイデンティティーを認められたと感じる。大人が持つことも許容される世の中に変わってきたのは、ぬい撮りの流行も寄与している」と分析する。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE212L20R20C23A4000000/

ぬい撮りをしている自分に置き換えて考えてみると、たしかに専門家の分析も一理あると思いますが、「アイデンティティ」と一言で済ますには、何か言い表せていない部分を感じてしまいます。

僕は結構性善説の人間でGiverなので、後天的要因で変わってしまうことも大いにあるけれど、本来的に人は優しい…というか優しくすることで自分も満たされる、と思っています。

「ありがとう」って言われると嬉しい。

少し飛躍するかもしれないけど(書かないだけで自分では飛躍していないのだけれど)、好きな人、家族、親しい友人、赤ちゃん、ペットに抱くような「楽しませてあげたい」「支えたい」「尽くしたい」「お世話したい」といった、「好き」の対象への「ホスピタリティ欲」というのが人にはあると思っています。
都合のいい話かもしれないですが、その対象として「ぬいぐるみ(依り代)」に自分の理想的な魂を勝手に宿らせて愛でることで、「ホスピタリティ欲」を満たしているのかな、と考えています。
「ロボット(依り代)」にAIが入ってコミュニケーションができるようになると、そこに魂を感じて愛でたくなる時代ももう来ていると思います(この話はまた別の機会にしたい)。

とにかく、それを愛でている時間は、きっと優しい気持ちでいる時間だし、「好き」がそばにいるだけでハッピーに感じられているはずです。これを「あなたは”ぬいぐるみ推し”だ」と言われると、僕にはかなり違和感があります。

海外には「パラソーシャル関係」という言葉がある

もう一つ例を挙げてみます。最近「海外では日本的な”推し”みたいなのあるのかなー?」と思って、それをある人に聞いてみたら、英語で「パラソーシャル関係(Parasocial interaction)」という言葉があることを教えてもらいました。”個人的には面識のない著名人との一方的な想像上の関係”を指すそう。英語のWikipediaにも説明もありました。

パラソーシャル関係について、次のように説明している記事があります。

「パラソーシャル関係は基本的に誰とでも結ばれるもので、特にセレブやミュージシャン、アスリート、インフルエンサー、作家、司会者などの著名人との間に見られるのがほとんど。実在の人物である必要はなく、本やテレビ番組、映画の主人公やゲームのなかのキャラクターでも、同様の存在になりうる(中略)
このつながりはとても健全なもので、実際に誰もがこうしたことをしている可能性が高いそう。一方、他の関係とは違ったメリットがあることも。パラソーシャル関係にある人との間では、相手から冷たくされたり、不親切にされたり、拒絶されたりする心配がないのが理由だ(中略)
パラソーシャルな関係は、現実の人間関係での不足を補ってくれるもの。ほとんどの場合には、リスクのない方法で世界とのつながりを感じさせてくれ、発達に欠かせない要素にもなる」

https://www.cosmopolitan.com/jp/trends/lifestyle/a39098735/parasocial-relationships/

パラソーシャル関係は「憧れている」対象とのつながりたい欲が具現化された事象だなと思います。ぬい撮りはどちらかといえば「連れて行ってあげたい」というホスピタリティ欲の要素が多めで、微妙な違いがありそうですが、どちらも「好き」がそばにいることでハッピーな事例だと思います。

そして、そのどちらも、「推し」にとても似ている概念ですが、ちょっとニュアンスが違うような気がしています。

“推し”と”好き”の違いはどこにあるのか

それをがんばって言語化してみると、次のようになるかな、と考えてみました。


出典:石川善樹著『フルライフ』の「日常生活の4つの時間領域」図)。

“推し”は、対象といっしょに夢を叶えたり、誰かにオススメしたりと、どちらかといえば左側の「Doing(する)」にある”行為”を指すことが多いと思います(もちろんBeingも含みますが)。みんなが体感している”推し”は、きっと活動を伴う要素が強く、エネルギッシュで陽の目が当たりやすい事象です(もしかすると飽きやすいし、疲れるかもしれない)。

ここ数年くらい、「推し」と呼んでブーム化して(されて?)いて、それで"推し"や"推しのアイテム"に囲まれて、日々楽しく充実している人が増えた印象があります。キャラクターやアイドルなどたくさんの”推し”にあふれる日本だからこそのカルチャーであり、とても日本的なのかもしれない。特に、漫画やアニメ領域は展開が早く、”推し”が浸透していますし、商業的にも成功している例も多く、チャレンジしている企業もたくさんあります。

ここで話が戻るのですが、この”推し”に”いろんな人におすすめする”という活動が含まれるところが、Web3との相性の良さなのかなと思っています。ただファンとして消費するだけではなく、ファンが増えるほうがトークンやNFTをほしい人が増えるので、結果的に価格が上がり、推されるアーティスト・クリエーターにとってもファンにとっても得になる。よく言われるトークノミクスの原理です。FiNANCiEさんやNippon Idol Tokenさんなど、Web3プロジェクト同士でテーマが似てるように見えてしまう理由はここにあるのではないでしょうか。

一方で、”好き”は対象との関係性なので、右側の「Being(居る)」にある”状態”を指すので、もう少し大人しく、穏やかな印象になります。何をするわけでもなく”好き”がいる状態(右上)はとても幸せなことであり、同じ”好き”のみんなといっしょにオフ会にいる(右下)だけで幸福感があります。好きなコト・モノ・ヒトがありつながっていることは、楽しいし、充実して満たされる気持ちになります。実感をともなってわかっている人も多いと思います。

でも、「どれくらい好きなのか」という実感は自分の中にだけあって、それを外に表現することはとても難しいです。お金のかけ方等では外に表現できるけれど、結構資本主義的ですし、勝ち負けになると穏やかじゃない。それでも「好き」が強い人はいて、それを表現しにくい状態ですし、それを”好き”な対象に伝えることもとても難しいです。

どれだけお金をかけたかどうかとは別に、「好き」があることはハッピーだと思うし、それにかけた金額だけでなく、「どれくらい好きか」を可視化したいし、「好き」が育っていくことは未来に向かった価値だと考えています。

チームが目指すもの

僕らのチームは、Web3のように有機的で、色々な価値観の人たちが様々な意見を出して進めていける環境です。その中でも、僕はわりと穏やかなファン寄りな人です(笑)。

なので、僕のコメントがFanplaプロジェクトの全てではないですが、僕は、Fanplaプロジェクトで、”推し”に偏らず、”好き”までを含めることを目指したいと思っています。先行して漫画やアニメ、キャラクター領域のファンで"推し"や”好き”を持ってハッピーになっているような人がたくさんいる世界感を、音楽領域にマッチさせた形で作っていく。参加していただくアーティストとファンの関係性は、”推し”と”好き”のどちらもあり得ると思っています。

では、どうやったら”好き”を含めることができるのか。現在、アーティストとファンの関係は、様々な経路、サービス、ステークホルダーをいくつも通らなければいけなかったり、リアルタイム性に欠けていたり、Directでなかったりします。”推し”や”好き”からちょっと遠い。そこでWeb3が必要となります。ブロックチェーンは、ネットワークに参加するユーザー同士で行われる価値移転、トランザクション(取引)を記録するインフラです。アーティストとファンを直接につなぎ(Direct to Fan)、そこで行われるトランザクションは”好き”そのものであり、そのままファンにとっての価値になると考えています。

ちょっと難しい言葉を使ってしまいましたが、僕らは、たくさんのファンとアーティストのいつもそばにあるものになれるよう、決して難しくなく、分かりやすいサービスを作っていきます。

Fanplusとの協力で250万人の”好き”を可視化・価値化する

今回協業する音楽アーティストのファンサイト運営を手がけてきた「Fanplus」は、テクノロジーの進化や社会構造の変化に対応し、ファンやアーティストの気持ちを考え、時代のニーズに合わせたサービスを作ってきています。どうしたらよりファンに楽しんで貰えるか、どうしたらファンの利便性が高まるか、どんなアイテム・コンテンツ・サービスがあったらファンに喜んでもらえるか、そしてどうしたらよりアーティストに多く還元することができるか、こういったことを常に考えていて、いつもアーティストとファンを中心に見ています。

彼らがWeb3領域に進出するのはチャレンジというよりも必然であり、今後アーティストやファンから求められるであろうサービスを生み出すため、正当な進化であり可能性の1つだと僕は思っています。

それは今一線を走っているアーティストやそのファンだけでなく、親が昔ファンだったアーティストのコンサートにいっしょに参加することや、未来のアーティストや未来のファンのことまで幅広く考えてのことだと思います。

さいごに

キーワードは、「熱量の可視化と価値化」

僕は、Fanplaプロジェクトにおいて、何かをする(Doing)ことだけではなく、ファンで居る(Being)ことでアーティストからよりよいサービス受けられたり、幸せを感じられるような、ウェルビーイング(well-being)なWeb3プロジェクトを目指したいと思っています。250万人のFanplus会員のなかには、”推し”(Doing=する)だけではなく、”好き”だからファンでいる状態(Being=いる)が心地良いと思っているサイレントマジョリティーがいるはずです。Fanplusと協力すれば、きっとたくさんの人たちにもっと幸せになってもらえると僕は信じています。

いきなり壮大なテーマになってしまいましたが、Fanplaプロジェクトとして最初につくっていくものは、例えばショップであったりウォレットであったりと、ごく当たり前に見えるかもしれないインフラの数々です。一方でそのインフラの裏側には、こういった思想を具現化するためWeb3的な構造(でも難しくしない!)を構築していきたいと思っています。

今後、IEOに向けていろいろ発表していく予定なので、よければXもフォローください!

Fanpla X : https://twitter.com/fanpla
Shintaro Watanabe X : https://twitter.com/sntr4nt6


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