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ブチギレレビュー「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」

PERFECT DAYSと3回目のキラーズオブザフラワームーンの間に時間が空いたので、見に行ったがあまりにもひどかったので覚えた怒りを書き残しておく。

本当に不愉快な映画で2度と見ないし、むしろ一度も見ない方が良かった。
戦争の絵になる部分、ストーリーとして面白いやろ部分を切り貼りしていて時代考証はめちゃくちゃで場所もどこだよ。
ひたすら泣かせよう泣かせようが先行していて、邦画をあんまり見ていないから知らないんだけど、あんなに全ての感情を口にして、悲しい時には悲しい曲が流れる白々しい演出が全編通してあるものなの?それともこれだけ?
PERFECT DAYSで鬼のように流れた涙が枯れ果ててた。


主人公の女、シニカルクソガキで同級生と上手くやっていないレベルのコミュ力なのになんでタイムスリップ先の人々とは上手くやれるん?
キャラ設定が不安定でどうしてそういう言動をするのかという裏付けが一切ない。タイムスリップ前の学校の人間関係がどうしてそうなってるのか一切わからん。父親が他人のために死んで母親に女手一つで育てられてるとしてもどこの段階でそんな性格になってんだよ。それなのにタイムスリップ後会って数日の千代という女の子の恋路を応援したり、服を褒めたりしていて、ずっとなんだこの女はと思っていた。シニカルクソガキだった割には年上の男に2人きりでひょこひょこ着いていく軽率さ。
思ったことを全て口に出す割に感情が分からないキモいキャラクター。
誰がこいつに感情移入できるんや。

そんな主人公と恋に落ちる佐久間は初対面の会って5分もしない主人公に異様に世話を焼き、妹に似てるからとかいう謎理由で呼び捨てで呼んでくれとか、呼び捨てで呼んでいいかとか言い始めて普通にチンコおっ立っててる感あってキモい。
別に性的な好意が悪いわけではなく、気持ち悪いことを言っておいてプラトニックな聖人感あるのが違和感。アホほど白々しい演出入れる割にどこで好きになったか分からん。
一目惚れならそれこそ分かるシーン入れろや。
最後の方に俺は百合に何もしてやれなかったとか言ってたけど嘘やろって感じ。会って秒で水あげて仕事の面倒までみて励まそうとかかき氷食わせてるのに何もしてない認識なんや。お前の何かしてやるってなんなんか言ってみてや。
本当に不愉快だったのは早稲田で哲学を専攻しているという設定。あー、はいはい。文系で賢いと人の気持ちを理解しながら、性的にも見えないもんな。きっしょ。
この設定の割に石丸が「鶴さんの寿命を伸ばすように閻魔様にいっておきます!」的なことを言ったシーンで佐久間が「閻魔様は地獄にいるんだぞ、お前は地獄に行くつもりか笑」と言ってて引いた。閻魔はどっち行くか裁判するから亡者はどっちにしろ閻魔に会うんや。こんなワイでも知ってるくらいの知識がない佐久間の賢い設定適当すぎて笑える。佐久間が別の宗教入ってて閻魔の捉え方が違うくらいないと説明つかんし、別の宗教入ってても賢いなら自分の宗教の特異性を理解してるはずやからどう転んでもおかしい。

あと石丸というお調子者コミックリリーフくっそウゼェ。演技が下手なのかずっと嘘くさくてうるさい。笑わせようとしてるのがあまりにも鼻について石丸が何か場を盛り上げようとするたびに顔死んでた。しかもこいつ滑ってるキャラじゃなくて面白いキャラで笑うべきところだった。だるい。

鶴さんが唯一の良心かと思ったけど、ずっと主人公の情緒が不安定になりそうな時に「〇〇しよっか」提案おばさんなだけでロボットや。

主人公中心の感動話が上手くいくためだけに設置されてる都合の良いキャラクターしかおらん。
妻を置いていったとか生まれたばかりの子を置いていったとか父親が戦場から逃げてるとか言う兵隊たちもええて。そんなに思い抱えてる設定キャラいるのに武勲をあげたいと思ってるやつ1人もおらんのなに。なんでみんな特攻に対して本当に行きたいと思ってはないけど、みんな行ってるし行くことが推奨されてるから行くかみたいなテンションなん。私大かよ。
主人公を叱るキャラクターが誰もいないのが本当に驚き。タイムスリップものとか異世界系でその時代や世界に合わない価値観持ってる甘ったれた主人公は必ず叱られるもんだけど誰も主人公を叱らない。警官に怒鳴られたシーンも悪くないって言われててため息。

私がこの映画で本当に本当に不愉快なのはこの程度の粗雑な作りで戦争をデート映画として消費していること。私両隣カップルで挟まれて見てたんやけど、デートとして特攻隊が消費されてる気持ち悪さにそれこそ泣きそうになった。
特攻隊の歴史も語られず、嫌やけどとりあえず国のために死ななきゃいけない!みたいなフワフワ認識で見たら正直特攻隊を肯定してしまうやろ。特攻隊を偲ぶことは重要やけどその先に二度と戦争が起こらないようしようという思いを持つことまでが戦争映画のセットや。それなのにこれは特攻隊だけ終わらしてるし、しかも恋愛に結びつけることで悲惨ささえ薄れて、佐久間が死んで悲しいになってんねん。

特攻隊の話は!?!?!?

しかも佐久間が国のためとか言ってそのあと反論もせずに終わるから佐久間が守ってくれたんだみたいな認識にならん?あと百合の父親の死と特攻重ねてるせいで父親の死を肯定することは特攻を肯定することになっててガチでおわってる。
粗雑な作りの上に特攻隊を肯定してて本当に酷い映画。生涯見た中で1番嫌い、不愉快で最悪。この映画の記憶を消してほしい。
こんな映画で泣く感受性を持ち合わせてなくてよかった。

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