素敵な場所で時間を過ごせた。それだけで十分。
引っ越し前日に大好きだった銭湯に行ったので、そのことについて書いていこうと思う。
昔ながらの銭湯
家から徒歩で5分程度のところにある銭湯が大好きだ。
靴を入れて木の札をとり、靴箱のすぐ横の入り口を開けると、すぐに番頭台があるので、入浴料450円を払う。
のれんをくぐると、脱衣所と、その奥に大浴場が見える。壁一面のロッカーと横に長い鏡。中心には少し休憩できる長椅子やマッサージチェアが置いてある。
服を脱いで、ガラガラと手動で横にスライド式の扉を開けると、昔ながらの大浴場が広がっている。中心には体感45度ぐらいの熱いお風呂があって、お風呂を取り囲むように洗い場がある。お風呂の奥にはよく見る富士山じゃなくて、チューリップのような花が描かれている。大浴場の端には、電気風呂やジェットバス、15度ぐらいの水風呂がある。
身体を洗ってから、熱いお風呂と水風呂を繰り返すのがいつものルーティンだった。
いっぱい泣いた
近所なので、一年中お世話になった銭湯だったが、特に冬にはたくさん通った。
近所に住む友人のような先輩と一緒に、お風呂セットを持って、どちらかのマンションの下に集合して銭湯に行くのがいつもの流れだった。辛い仕事にいく日々の中で、つかの間の息抜きのような時間だった。たわいもない話をしながら、銭湯に向かって、洗って、浸かる。
「はぁ。」
どこからともなく出てくる言葉。温かさが身体にじーんと染み渡っていく。身体がほぐれてくると心までほぐれてくる。
お風呂って不思議だ。
日常では話せないことも、簡単に話せてしまう。気づいたら口から言葉がこぼれ落ちていく。こぼれ落ちるにつれて、心もどこか軽くなる。いつの間にか、明日も頑張ろうという気持ちになる。
たまに、目から水が出ることもあった。そんな日はいつもよりスッキリできた気がする。お風呂じゃなかったら重く感じていたかもしれない。本当にお風呂って不思議だ。
最後に
大好きだった銭湯。引っ越しをしたので、もう一生行くことはないかもしれない。心の奥にチクリと痛みを感じて、戻りたくなる自分がいる。
けれど、あそこで過ごした時間は私にとって一生忘れることができない時間。そんな時間を過ごせた。それだけで、もう十分なのかもしれない。
住処を変えることは大変なことも多いけれど、そんな素敵な場所がこれからも増えていくと思うと悪いことばかりじゃない。これからも素敵な場所に出会えることを願うばかり。
誰かに伝わることを願って🌕
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