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18年一緒にいる作業療法士と僕の話

作業療法士の古桧山です。

巷では、何かしらの専門性がある人であれば、やれ情報発信だ、やれ情報収集だ、なんなら情報格差だと、意識の高い、もしくは高い系の方々で溢れています。

かく言う僕も、ご多分に漏れずこの10年ぐらいは、やれ認定だ、大学院だ、研究だ、論文だ、最近ではマネジメントだと、わりと意識の高い作業療法士でいる自覚はあります。

そんな現在36歳の僕には、18歳の頃にOT養成校で出会って、就職先が一緒で、かれこれ18年間一緒にいる同期の作業療法士がいます。

先日、ぼくはこのようなツイートをしました。

このツイートはその同期のことをいっています。

その同期は、そんな意識高い、もしくは高い系の僕とは真逆のポジションを取っています。

認定資格にはまず興味がないでしょうし、たぶん僕が認定OTだということも知らないんじゃないかと思います。

修士・博士と大学院に行った僕へは労いの言葉をかけてくれますが、自分が行きたいとはおそらく考えたことがないと思います。

そもそも、研究をするとか、論文を書くとかを自分のテリトリーとしては考えていないと思います。


しかしながら、僕は、このひと以上にOTらしいOTを身近で知りません。

なぜか?

対象者中心だからです。一貫してます。

例えば、ずーっとガス釜でご飯を炊いていた認知症のクライエントに「退院しても同じようにご飯の準備をしたい」と言われたら、

0.2秒ぐらいで、「じゃあ、そのためには、どのくらいの米びつの高さならガス釜に手が届きやすくて安全でやりやすいか一緒に考えましょう」と返します。

僕自身は臨床家としては、非常に微妙な能力なのですが、こういった返しは、対象者の目線にたっていないとすぐには出来ないことぐらいはわかります。

そして、対象者が作りたいといったものなら、けっこうなんだって作ります。

この約14年の間に、作業療法室は、彼女と彼女のクライエントが作ったものがソコカシコに並んでいます。

否定せずに、ちゃんと生活に寄り添う。そして、作りたいものを一緒に作る。

作業療法士の基本でしょうか。たぶん。

ただし、ただし、これは大変失礼な言い方になることは百も承知のうえで、控えめにいって、とてもいち社会人として自己成長意欲に溢れているようにはみえません。

なんというか、欲がないのです。

僕が知る限り、入職して学会発表したのはたぶん一回だし(それもかなり強引に僕がお願いしたやつ)、そもそも協会に入っているかどうかも…(はいっているそうです)。管理職に興味はまったくないと常々申しておられますし…。

学生時代はたいして仲良くなかったのですが、僕と違って友達の多いひとでした。ただし、その自覚が本人にないと思いますが。。。

この前、脈絡なく

食堂で一緒にごはんを食べながら、「出世とかさ、興味ないの?」と聞いてみたのですが、0.001秒ぐらいで

「ない、まったくない、出世したくない。めっちゃ頼りにしてるから辞めないでね」と返ってきました。

なかなか笑える回答でしたので、これまた失礼を承知のうえで

「でもさ、こうなろうとか、こうなれたらいいなとかさ…ねぇ??」

と聞いたら、これまた0.001秒で

「わたし、今が良いんだよね、今が。健康で、家族がいて、仕事ができて、だから今がすごく良い、これが良い。幸せだから。」

と返ってきたわけです。

まさか、幸せがなんたるかをここで彼女から教えられるとは思っていませんでした。

だけど、そうなんですよね。

お金があるとか、有名になるとか、出世するとかじゃなくて、ありのままの「今が良い」が一番むずかしいですけど、

なぜか幸せの基本形を彼女は習得していて、そういった彼女の特性にクライエントや周りのスタッフが助けられているのかもとも思いました。

ま、会話の発展性はゼロなので、これ以上は何も聞きませんでしたけど。


これは、N=1なのですが、18年一緒にいるのでわかるのですが、人の悪口を言わない、人の良いところに目を向けられる人の近くにいることは、精神の安定にとても良いということです。

ひょっとすると、ひょっとして、ぼくが大学院の博士課程を留年したりせずにすんだのに、彼女が貢献しているのかもしれません。

なわけないか。

「今」に全力で向き合って、自分と同じ目線にたってくれるというのは、もし自分が患者さんの立場ならそんなに心強いことはないだろうと思うわけです。

僕がクライエントなら彼女が担当が良いです。

なので、やれ学会発表しろ、データとれ、発表したら論文かけ、とアホのひとつ覚えのようにスタッフにのたうち回る僕よりも、遥かに人気と人望があるわけですが。

そんな彼女が準備に奔走してくれて、人生2度目の学会発表にまでチャレンジしてくれる学会が半年後に執り行われます。それが下の学会です。これが言いたかったです笑。

もし良かったら、半年後なのでまだまだ先ですが、スケジュールをちらっと確認してもらえたら嬉しいです。

また、学会のアカウントと、僕のアカウントもフォローしてもらえたら嬉しいです。



なお学会のアカウントは僕じゃなくて、他の人が運用していますよ。

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