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進路指導の思い出⑩

【引継失敗編】
 病気が重くなっていたのですが、校内的な対立に巻き込まれたり誤解があったりして、次第に風当たりがきつくなり、全日制普通科の最後の年に三年生担任になりました。したがって、進路指導部の常駐から外れることになりました。

 そして、進路指導部に同じ人が長くいるのは良くない、入れ替わりましょう、ということで進路指導部に同じ三年学年団から3人入ることになりました。一人は情報科になったできる数学の美女先生、一人は英語科、一人は体育科でした。
 専門学校担当に、誰が来るか分からなかったのと、英語科と体育科の男性の先生は私を目の敵にしていて、大職員室で悪口を言いふらしているという噂だったので、直接引き継ぎはたぶんあり得ないだろうと思って、誰が来てもいいように、引き継ぎファイルを作りました。

 そのファイルは、コクヨ紙ファイルに過去の仕事プリント(この当時は半分くらい手書きでした)を綴じ込み、B4ボールペン原紙(死語;印刷原稿のための方眼紙)1〜2枚にびっしり、年間の予定と指導方針、これまで引き継いできた専門学校指導に関する注意点を書きました。ファイルは幅1センチありました。

 さらに「来年度は指定校推薦がありません」(例の進路指導の思い出⑧の件です)という手紙が来ていた件を、最後の進路指導部会で報告し、その書類を引き継ぎファイルの一番前に綴じ込み、また進路指導部生徒閲覧室の看護志望者へのお知らせファイルにもコピーを綴じ込みました。
 そして、机の中も本立てもクレンザーで磨きたて、最後に本立てに引き継ぎファイルを一冊だけ置いて、私の進路指導室常駐の仕事が終わりました。

 ところが、まず1回目、初夏でしたか、進路指導部の家庭科と英語科の女性の先生が慌てふためいて、国語科室の私のところへ飛んできました。「生徒が過去の指定校推薦の書類を見たいと言っているのですが、どこにありますか⁉️」
 そこで、進路指導部に行ってみると、指定校推薦の書類も看護学校の過去問の長年の蓄積(当時、看護専門学校の赤本は販売されていませんでした)も綺麗さっぱりありません。
 「このへんにあった書類はどうしたのですか?」
 「年度始め、4月に全部捨てました」
 「全部って……(絶句)。中身を見なかったんですか?生徒の要望で、コピーでなく(秋に結果が出るまではコピーをファイルして閲覧室に置いていましたが)原本を見たい、というので、指定校の原本ファイルを閲覧室に置いていたんですよ❗️ちゃんとそれは表紙にも『取り扱い注意❗️』と書いてあったはずです❗️❗️❗️」
 こんまりさんは、まだ知られていませんでしたし、断捨離もまだ言われていませんでしたが、「片付けは、見ないで捨てる!」と言われ始めた頃でした。英語の女の先生が片付けを主導したらしく、しょんぼりしていました。

 2回目もまた、英語と家庭科の女性教諭が飛んできました。秋でした。
 「いつまで経っても、○○看護専門学校の指定校推薦の案内が来ないのですが、わかりますか⁉️」
 「え⁉️それは指定校解除になったと春に手紙が来て、会議でも報告しましたし、引き継ぎファイルの一番初めに綴じてありますよ❗️」
 一緒に見に行きました。専門学校担当の机の上、ファイルの一番始めに、ちゃんとありました。家庭と英語の先生は、何も言わずにそれをじっと見つめていました。
 後で、他の先生から「○○看護専門学校を受けると決めた生徒は指定校を受けられなくなって泣いていたんだって。夏前から指定校受験者を決めて、面接練習しててんで。わかってたら何で知らせへんかったんや?」と言われました。
 「それは、指定校推薦の書類が来ていないのに(来るのは9月初旬)、勝手に去年の表で受験者を決めたのが、そもそも間違っているでしょ。それにちゃんと引き継ぎファイルに綴じておきましたよ。見ていなかったみたいですけど」と返事しました。
 指定校を外してきたのは、国立でしたが、他は市立も私立も混ざっています。条件の評定平均も毎年同じと決まっているわけではないのです。夏前から決めていた⁉️ご冗談でしょ❗️

 大職員室では私は悪者のままだったようですが、件の英語と家庭科の女性教諭達は、私に対して、その後、敬意を払ってくれました。曰く「大学の赤本って意外に高いんですね」
 私は閲覧室や国語科室や放課後補習で、受験指導をしていましたが、図書館は赤本を買いませんし、進路指導部にも最初大学が寄附したものしかなかったので、自腹で買って、教えていました。当年分は持っていましたが、昨年分以前のは進路指導部に寄贈していたのです。5冊以上あったかと思いますが、途中から進路指導部長が気づいて、部の費用で赤本を買ってくれるようになりました。めでたし。めでたし。ん?そういう問題?
 しかし、転勤後もしばらく遺恨は続いたのでした。……それは進路指導とは関係がありません。……一件だけ進路指導と関係のあることを思い出しました。新しい就職担当の行いです。それはいつかまた。

 

 




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