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美しい月を見て、涙が止まらなくなった夜に

まだ、離婚して間もないころに、自宅のベランダから月を見上げた時
あまりにその月が美しくて、涙が止まらなくなったことがあった。

特に、直前に特別なにか悲しいことがあったわけでもなく
嫌なことがあったりしたわけでもなかった。

今、あの時、なぜ涙が止まらなかったのか、
よく思い出せないのだが
ただただ、月が神々しいほどに明るく私を照らしていた。

その月のあまりの美しさと
その時にとった自分の行動の大胆さに我ながらあきれるほど驚き
20年近くたった今も忘れることができない。

その時、私は昔の恋人の家に電話をしていたのだった。
彼とはサークルが同じだったので、当時は名簿のようなものも存在しており
自宅の電話番号を知ることができた。
確か、サークルの飲み会の席で、その電話番号を手に入れたようにぼんやり記憶している。

携帯電話にかけるならばいざ知らず
結婚していると聞いた彼の自宅の電話番号へ
月にそそのかされた私は電話をかけていた。

呼び出し音が数回なって、電話からは懐かしい男性の声がした。
「もしもし?」と私が声を出すと
名乗る前に、私の名前呼ぶ聞きなれた声が電話の受話器から聞こえてきた。

嬉しくて震えた。

彼が出たことに。

私の声を覚えていてくれたことに。

電話口の彼が、ちょうど妻は海外旅行に出かけていると言っていた。
簡単に近況報告をして
会いたいので電話したと、私は正直に言った。
彼も会いたいと素直に返してくれた。

お互いの携帯電話の番号を交換して
会う約束をした。

その後、どのようにして、実際に再会することとなったのかは
あまり覚えていないのだが
月を見ているうちに、彼に電話をかけていたという
自分でもその大胆さにあきれる行動に出てしまったことは
鮮明によみがえってくる。

特に、月が美しい夜には。

昔の大好きな恋人は、今も変わらず優しく、賢くて
なかなか素敵なおじさんに仕上がっている。
いまもたまに一緒にお酒を飲む機会があって、楽しい時間を過ごすことができるようになった。

再会したばかりの頃は、さみしくてよく困らせていたっけかな。

また、機会があれば困らせた話も書いてみます。。


ちなみに、こちらはその彼と一緒に行った渋谷の三心で食べた
名物 三心吹き寄せサラダ 鴨のロース煮と
おいしいお店を昔からよく知っていて
付き合っている当時から、2人でよく食べ歩いてました。




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