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ツインソウル~この出会いは運命か?~①

プロローグ

人生100年時代の到来。
昭和~平成~令和。
あっという間に3つの時代を生きた今
子供たちも巣立ち、私の人生において
運命の出会いは出来たのかしら?
と振り返る。

あなたは、そんな人生の振り返りをしたことがありますか?

出会いから出逢いへ

今振り返ると、最初はただの出会いだった。
20歳で新卒入社した会社で出会ったのだ。

同期と呼ばれる新入社員はその年、女性4人。男性の同期が1人もいないことに寂しさはあったけれど、女4人が気楽で楽しいものであることに気がつくまでには、そんなに時間はかからなかった(笑)。

入社して3ヶ月は研修期間として、その会社としては最小人数の第一部営業課に私を含めた3人が配属され、1人だけ下の階の部署に研修から配属された。

その営業課で出会ったのが、松岡さんだった。
新入社員の緊張をほぐすように、常に笑顔でオヤジギャグを言うちょっと面白いオジサンくらいに当時は思っていたから、単なる出会いでしかなかった記憶がある。

研修期間中は、同期たちとどんどん仲良くなって、働くということがどういうことなのか
まだ学生気分の抜けない状態で毎日を過ごしていた。

「ねぇねぇ、今彼氏いるの?」

唐突にランチを食べていたら、同期の里美(さとみ)が聞いてきた。彼女は、恋話やお洒落に敏感だけどちょっとポッチャリめの可愛らしい女の子で、噂話などが好物だった。

すると佳英(かえ)も同じように、聞き耳を立てながら頷いている。佳英は、真面目でちょっと硬い感じがするけど、実は照れ屋で可愛いキレイ顔の女の子だ。

もちろん、下の階で研修中の柚(ゆず)も同様にキラキラした目でこっちを見ていた。柚は聞き上手タイプの犬系女子。人懐っこいしコミュ力か高いので、同性異性問わず好かれる可愛い女の子だ。
女4人が集まると、こんな恋愛トークは女子ランチの定番である(笑)。

「うん、いるんだなコレが。」

キャーという、感嘆の声。もちろんそこからは質問責め(笑)。
当時付き合っていた彼氏は、現在のパートナーである。

友達の紹介で出逢い、友人関係から恋人同士になった私たちは、短大を卒業した私のほうが先に就職をしたので、朝が弱い彼氏の為に毎朝会社からモーニングコールをしていた。

その様子に気がついた同期が、すかさず質問してきたのだ。
女性というのは、何と目ざとい生き物なのか(笑)。

そもそも私の容姿は決して誉められたものじゃない。
なんなら彼氏なんか皆無でしょ?って思われていても可笑しくないぐらい、それが私鈴木七海(ななみ)である。

だからこそきっと同期にも、朝の行動が不可解で不思議だったのであろう(笑)。

当時同期たちには彼氏かいなかったこともあって、お酒のつまみのように話のネタを求めてくる彼女たちの様子に、何となく研修先の先輩方にも彼氏持ちの噂が広まっていた。

実際にモーニングコールをしているところを見られたこともある。
その1人が松岡さんだった。

いつも明るく話かけて、みんなを笑わせたり解らないことを丁寧に教えてくれるオジサンに、同期みんなの信頼を日々勝ち取っていっていることは誰の目から見ても理解できた。

3ヶ月の研修が終わり、それぞれの配属先が決まった。

「後藤柚さん、第二部販売課」
「内舘里美さん、第一部総務課」
「田村佳英さん、第一部販売一課」
「鈴木七海さん、第一部販売二課」

見事にバラバラ(笑)。
新しい配属先にみんな、ドキドキしながら行き、ワクワクしながら新しい席に案内されて、直属の上司になった人や同じ課にいる女性の先輩に挨拶をした。

無事に配属先が気まったことで、第一部合同の歓迎会が開かれることになり、みんなで立食式の中華料理屋へ行った。

「さぁ、新入社員のみんな食べて!」

優しいお姉さま方が、あれよこれよと食事をお皿に乗せてくれる。
真面目な佳英は、早々と諸先輩方や上司にビール瓶を持ってお酒を注ぎに回っている。

凄いな~、そっか。
今の自分の立場だと、そういう役割をするものなのか。なるほど。

里美を目で追って探すと、こちらも同様にビール瓶片手に注いで回っているかと思いきや、途中でお皿にチェンジされ、これも食べな!あれも食べな!と世話をやかれていた(笑)。世話をしたくなるくらい可愛いのだろう。

私はというと、お皿を渡され会話をしつつ実は困っていた。コミュニケーション力が低く、何を話したら良いのか解らなかった。

同期を見習おうと観察していたけっか、ビール瓶片手に片っ端から挨拶して回るものなんだ!と気がついた私は、早速行動に移す。
けれど、やっぱり同期のように上手くはいかない。

(困ったなー)

なんて思っていたのが、顔に出ていたんだろう。松岡さんにビール瓶を持って挨拶に行くと、スッと取り上げられ

「お酒飲めるほう?注いでないで主役は君たち何だから飲みな(笑)」

と、新しいコップにビールを注ぎ、いつものように笑顔で楽しい話をたくさん私にしてくれていた。
もちろん、回りの先輩方への顔見せをちゃんとさせて挨拶させてくれながらだ。

いつの間にか、同期たちも一緒にみんなで上司や先輩方に自然と溶け込めるような会話の流れを作って、困っていた私や緊張して真面目一辺倒な佳英や、ご飯を断りきれずに困っていた里美も笑顔になっていたのである。

もはや、私たちにとって松岡さんは単なる研修期間お世話になったオジサンではなく、営業のスキルを巧みに使って私たちを助けてくれた頼れるオジサンになっていた(笑)。

新しい配属先になって、3ヶ月が立つ頃には同期それぞれが、給湯室で立ち話をしたり、廊下で立ち話をしたりと、松岡さんとの会話を楽しむ関係になって。同期ランチでも頼れて楽しいオジサンとして、よく話題にのぼるくらい私たち同期の中では確実に仲良しグループの一員だった(笑)。

そんな中、もちろん毎日モーニングコールしている彼氏がいたけれど、何なら会社帰りに待ち合わせしてデートしたりしていた彼氏がいたけれど、心のどこかに同期よりも仲良くしたいと思う独占欲みたいな気持ちが沸き上がっているのを私は実感していた。

(コレはもしかすると、出会いじゃなくて出逢いなのかも。。。)

続く

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