照らされた夜には。



びゅーっと風が吹くたびに、コートとマフラーの境目をぎゅっとしたくなる。


冬は好きだけど、片想いのまま。
冷えやすい体質だからなのだろうか。
クセになってしまっている。


先ほどまで温まっていた身体は、心臓から遠いところからどんどん熱が逃げていくのがわかる。


先日から続いているくしゃみのおかげで、ちょっとだけぼーっとしてしまうからなのか。
とにかく、はやく帰って、温まろうと思ってしまう。


はやくはやくっと、急いで信号を確認しようと目上げた空。
ぽっかりと浮かぶ月と目があった。
そのくらい、まっすぐ目の前にいたのだもの。


ああ、今日は満月なの?
誰に言ったのでもない言葉をつぶやいてしまう。


月の大きさは、光がぽぉっとてらしている部分も考えたらとても大きく見えた。


眺めていたくなるくらい、冬の冷たさの中の月はきれいで。
この月は冷たくないのならいいなぁっと、思ってしまう。
暗い暗い宇宙にうかぶ月に。


寒さは変わらない。
でも、明るく照らされているだけでこんなにも気持ちは変わる。


きっと冷たくない。
太陽もいるのだもの。


また足早にいつもの道を急ぐ。
ごはんを食べて、お風呂に入ったら。
ついつい見てしまう小さな機械よりも、紙を広げて考えたい。


太陽の光によって、輝く月のように。
照らしてもらっているからこそ、できること。





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