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「あつ森」でみる行動経済学

行動経済学とは、理論的には説明できない「人がついやってしまう」行動の研究です。関連書籍は多くあるものの、理解がむずかしくなかなか敷居がい…
そこで今回は「あつまれどうぶつの森」(通称「あつ森」)を例に、行動経済学の原理がどのようにコンテンツに織り込まれているのかちょっと覗いてみましょう。


収集バイアス/自己表現

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あつ森では、自分が住む無人島を自由にカスタマイズすることができます。
家具・壁紙・床など好みのシリーズを収集して自宅の内装を自分好みにできたり、島の地形を整えて自由な景観を作ることもできます。

人は関連性のあるものを収集したい「収集バイアス」、自身の価値観やスタイルを表現したいと願う「自己表現」の欲求を持っています。
あつ森は全編にわたってこの2つを満たすゲーム構成となっており、誰もが夢中になる魅力を持っています。


保有効果

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島の洋服店「エイブルシスターズ」では、試着室でコーディネイトを確認してから購入するこができます。試着することで購入する前から所有感を持たせ、購入へのハードルを下げているのです。
これは「保有効果」と呼ばれ、ECサイトの「カートに入れる」機能もこの効果を狙っています。


希少性/限定されたアクセス

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島の雑貨屋「たぬきち商店」では、日替わりで現品限りの商品が置かれます。高価でなかなか入手できないアイテムのため、この機会を逃したら損だ!という気持ちにさせます。
供給量を制限することで「希少性」を生み出し、入手困難性(=「限定されたアクセス」)が商品の価値を高めているのです。


報酬/エンダウド・プログレス効果

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ゲーム序盤でプレイヤーに与えられる「たぬきマイレージ」はスタンプカードのような機能を持っており、スタンプを集めるとポイントが付与されます。これがプレイヤーの行動目標となり、迷わずゲームシステムに慣れていくことができます。

このように、何かを始めとききっかけを与えることでユーザーをフォローすると良いことを「エンダウド・プログレス効果」といいます。また、報酬によってやる気を起こさせる「報酬」という原理も使われています。


フィードバック・ループ

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あつ森では、開発を進めて島の評価を上げるとゲームコンテンツが次々と解放されていく仕組みになっています。
島の評価は役所のしずえさん(写真)が教えてくれるのですが、その際に「島の景観の魅力が増した」などの良い点、「もっと自作したものを飾ると良い」などの改善点を挙げてくれるので、プレイヤーはこれを次の開発の参考にします。
明確な評価は人のネクストアクションを喚起し(=「フィードバック・ループ」)、より能動的な活動につながります。



今回は「あつ森」をテーマに行動経済学に触れてみました。
学ぶほど深い分野なので、機会があればまた何かの記事にしたいと思います。読んでいただきありがとうございました!

この記事は「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」に準じて作成しました。万一ガイドラインに即さない内容等ありましたらご指摘いただけますと幸いです。


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