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『ボーンズ・アンド・オール』

2022年/アメリカ
監督:ルカ・グァダニーノ
脚本:デヴィッド・カイガニック
出演:ティモシー・シャラメ、テイラー・ラッセル 他

-STORY-
生まれつき人を食べてしまう衝動を抑えられないが故に、父親から見捨てられてしまった18歳の少女マレン。自身のルーツを確かめるため、彼女は幼い時に生き別れた母親を探す旅に出る。マレンは道中で、同じく食人性向を持つ謎の男サリーと出会う。同族は食べないと語るサリーだったが、危険を感じたマレンは隙を見て逃げ出す。次に立ち寄った街で彼女は、青年リーと出会う。彼も食人種だったが、2人は次第にひかれ合い、その宿命を背負いながら危険な逃避行へと身を投じていく…

「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメの再タッグが注目された作品。

カニバリズムというセンセーショナルな題材、話題性が先行してしまっていそうなこと請け合いな本作なのですが、むしろ拍子抜けするくらい極めてど真ん中を突っ切る青春映画でした。

グァダニーノ自身が言っているように、あくまで食う喰われるというのはカリカチュアであって、マイノリティーや「普通じゃない」とされている社会の爪弾きものが背負った宿命を描いている…確かに表向きはそう受け取れます。

かといって硬派なテイストでは全然ありません。あくまでジャンル映画の中でやっているという感じ。それこそヴェンダースのロード・ムービーや、「夜の人々」「俺たちに明日はない」「地獄の逃避行」など挙げ出したらきりがない「男女の逃避行劇」という型、その域をほとんど出ない仕上がりになっています。

間に割って入ってくる、食った人間の毛髪を収集する不気味な老人、といういかにもホラーアイコンじみた人物も、クライマックスの展開を見ると、おそらく深い意味はないのだと思いましたね…

個人的に、グァダニーノはフランスのジュリア・デュクルノーと同時代性を感じていて、扱うモチーフもあって彼女のデビュー作「RAW~少女のめざめ~」を連想した人は多いんじゃないでしょうか。

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