ちゃう、チャイや。
なぜかわからないが、ラッシーとチャイが区別できない。
きっと頭の中で「外国の名前が変な飲み物」として保存されているのだろう。
今朝、寝ぼけながら行きつけのカフェに向かった。
着くや否や、慣れた足取りでカウンターへと向かい、
「アイスのラッシーで」
とはっきりとした声で口にした瞬間、世界から時が止まったかのように店員と僕の間で5秒間の沈黙が訪れた。
ああ、そうだ。
この店にはチャイしかない。
僕はこの半年間、幾度となくチャイを頼んできた。
それにインド料理屋じゃあるまいし、ラッシーなんてあるはずがないのだ。
「あれ、なんでしたっけ!えーーーっと…」
間違いに気づいた私は、慌てて「チャイ」の3文字を思い出そうとするも、寝起きの頭は
「ん、ラッシーだよ?」
と平然とした顔で主張してくる。
違う、少なくともラッシーではない。
店員にじっと見つめられながら、うんうん唸ってるいると、
「…チャイですか?」
と一言。
それだ。
長い夜が明けたかのように、濃い霧が晴れたかのように、張り詰めていた空気が一気に透き通った瞬間だった。
「それです。アイスのチャイをお願いします…!」
やっと言えた。
まるでずっと心の奥底に秘めていた恋心を好きな人に伝えたかのような達成感と安堵感に包まれた。
2023年9月15日、僕は
「好きです…!」
と振り絞るようにチャイを注文した。
寝ぼけていた脳は、朝から降りかかった試練に、一気に時速40,320kmを超え、マッハ30の速度で地上から一気に大気圏を突き破り、遙か宇宙へと旅立った。
明瞭になった思考のまま、席に腰掛けた時、ふと思った。
(君もラッシーとチャイが同じフォルダに保存されている人間なんだな。)
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