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宗教と政治

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首相経験者への銃撃事件をきっかけに浮上した特定宗教と政治権力とのかかわり。 本連載では、宗教と政治が結びつくことの問題点やそこから見える政治的課題を考察・検証していきます。
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記事一覧

みんな国葬にしてしまえば | 宗教と政治#4

今日は9月21日。安倍さんの誕生日であり、私の28回目の誕生日です。誕生日だけでなく、身長もおんなじ。 私は病院到着から約6分で産まれた超親孝行でデカい新生児でした。戌年のおとめ座なので、ワンちゃん(特にコーギー)が好きになるのも自然の摂理でしょう。 さて、安倍さんの「国葬儀」が来週27日に日本武道館で執り行われます。67年の吉田茂元首相以来、首相経験者では戦後2例目の国葬となりますが、みなさんはどう思われますか? 結論、私は国葬に条件付きの反対です。 理由はシンプル。

かつて日本は政教一致で壊滅した | 宗教と政治#3

政治と宗教が一体化した統治のあり方を政教一致とよぶ。 太平洋戦争で日本は大国の米国に戦争を挑むため、ヒト・モノ・カネを総動員させた。 このとき、この総動員体制を円滑に進めるために必要だったのが政教一致体制だ。 大日本帝国政府と一体化した宗教。それは国家神道だった。 天照大神を皇祖としており、時の天皇陛下を「現人神」とする。 このため、大日本帝国憲法において、天皇陛下は「国ノ元首ニシテ統治権ヲ 総攬 ( そうらん )」する存在で、現憲法で分権化されている軍事警察・行政・司法

「統一教会が悪いのであって、警備体制には問題なかった」との意見が散見されるが、宗教と警備体制は別々の問題。Aが悪いのだから、Bは問題ないとはならない。 この区別ができない人が言論を歪ませる。 これに政治的立場は関係ない。

今回の参院選について

当初は、投票日までに何本か記事をアップする予定でしたが、予定が立て込んでしまい事実検証に時間が取れなかったり、昨日のような事件も重なったため、見送ることとしました。 選挙後に関連記事を出すことにします。 各種報道では、憲法改正に前向きないわゆる「改憲勢力」が3分の2を占める公算が高いとされている情勢です。 さらに岸田政権が安定した高支持率を維持し続ければ、3年間は国政選挙がないため、参院選後は憲法改正の是非がついに国民の審判に委ねられるところまで行き着く可能性があります。

あらたな言論封殺を生み出さないために

まだ全容が明らかとなっていない銃撃事件直後から、SNSでは「反安倍勢力がこの事件のきっかけをつくった」、「安倍さんを不当に批判していたヤツら全員に責任がある」などの意見が数万単位で拡散されていた。 犯人が動機を政治的信条以外に持っていたと報じられても、その意見を翻す人はほとんどみられない。 この襲撃事件を矮小化する意図はまったくないが、犯人の供述が真実であれば、今回の事件が「民主主義への挑戦」、「言論封殺」とは別の性格を持つと考えられるだろう。 当然、民主主義の根幹にあ

警護体制の立て直しが最優先では

「卑劣なテロに屈しないと示すために、通常通り選挙活動を行う」― 自民党を始め、すべての政党がこのようなコメントを出していることに違和感を覚えます。 犯人の供述によると、数ヶ月前から入念に準備を整えた上で、手薄な警備の隙を突いた犯行だったことがうかがえます。 とすれば、現職首相の次に厳重な警備体制が敷かれるであろう首相経験者(現職国会議員)に警視庁のSPが1名しか付いていない※のが最大の問題であって、そこを根本的に見直さないまま「テロには屈しない」と繰り返すのはただの精神論

減刑署名は今すぐ中止を

安倍元首相を銃撃した犯人の減刑を求める署名活動が行われていると報道されていますが、即刻取りやめるべきです。 起訴も行われておらず、どういう量刑が相応しいか法的な議論や審理が始まっていないからです。 また、報道によれば警察の捜査において犯行が衝動的なものではなく、少なくとも数ヶ月前から周到に準備を重ねていたことが分かっています。 こうした計画性の高さは犯行の凶悪性を際立たせることになりますので、減刑を検討する余地はないといえます。 一方、本人は旧統一教会の信者ではなく、

改めて考える靖国 何が問題で何が許されるのか | 宗教と政治#2

毎年8月15日になると、多くの人がその巨大な鳥居をくぐり「英霊」を悼む。 そのなかには、内閣で大臣を務める国会議員も含まれる。 実は、1975年までは当時の昭和天皇も不定期に参拝していた。 しかし、1978年靖国神社に太平洋戦争時の戦争指導者として絞首刑に処されたA級戦犯が合祀された以後、参拝することはなくなった。 のちに、昭和天皇が側近に対しA級戦犯合祀への不快感を伝えていたとの報道によって、A級戦犯合祀が参拝が途絶えた直接的な理由ではないかと考えられている。 さて、

統一教会と政治 | 宗教と政治#1

憲政史上最長政権を築いた元首相がテロの犠牲となる。 そんな衝撃的な事件をきっかけに再びその反社会性・異常性が注目されている旧統一教会(世界平和統一家庭連合)。 旧統一教会が一般の人に広く知られるようになったのは1980年代後半から90年代半ばのことだ。 特に当時人気を誇っていた女優やスポーツ選手が次々と入信を発表したことに世間は衝撃を受けた。 さらにこの時教会による霊感商法なども世間の耳目を集めた。95年に地下鉄サリン事件を起こすオウム真理教の勢力拡大もちょうどこの時期と

事件が問いかけるもの | アベサイユのばら#終

日本中に驚きとショックを与えた事件から1カ月あまりが経ちました。 この事件は私たちにさまざまな課題を突きつけてきています。 そこで今後複数回に分けて、今回の事件から見えてくる問題点を考えていきたいと思います。 現時点で考えられる問題点は以下の5点です。 統一教会と政治とのかかわり 宗教と政治とのかかわり方 カルト宗教2世問題 銃撃事件への考え方 自身と宗教とのかかわり方 なお、私は統一教会の存在は大学生のころからうっすらと知っていましたが、まさかこのような形で