警護体制の立て直しが最優先では

「卑劣なテロに屈しないと示すために、通常通り選挙活動を行う」―
自民党を始め、すべての政党がこのようなコメントを出していることに違和感を覚えます。

犯人の供述によると、数ヶ月前から入念に準備を整えた上で、手薄な警備の隙を突いた犯行だったことがうかがえます。

とすれば、現職首相の次に厳重な警備体制が敷かれるであろう首相経験者(現職国会議員)に警視庁のSPが1名しか付いていない※のが最大の問題であって、そこを根本的に見直さないまま「テロには屈しない」と繰り返すのはただの精神論ではないでしょうか。

まずは、参院選を延期してでもすべての政党や候補者の警備体制の見直し(増員や配置変更)を図ってから選挙活動を再開する。これが最優先ではなかろうかと思います。

現時点で断定はできないものの、今回の襲撃は組織的なものではなく私怨によるものであるとみられています。
つまり、誰しもが恨みを抱いた要人の背後に容易に近づき襲撃ができるということです。

それに、警視庁OBによれば、警視庁SPの配置人数は東京は2名、それ以外は1名となっており、犯人はその体制の隙を突いた可能性があります。
東京に2名、それ以外は1名と分かっていれば、当然東京以外でかつ人口の少ない場所に狙いを定めることは自然な発想でしょう。
場所で配置人数を変えることはあってはならないということです。

首相経験者が銃撃されたこともあり、選挙後自民党以外の政党でも警備体制の見直しが図られることでしょう。
ただ、実際に事件が起きた際、感情的になり、精神論を振りかざすことに終始する慣例が今後も続くようであれば、ふたたび惨劇が繰り返されかねないと強い危機感を持ちます。

※奈良県警のSPを含めると配置されたSPは7名。

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