色のこと

アンダートーンというのは知っていました。青みと黄みの加減で色彩に相性が生じるような話。なんでもいいのだけれど、例えば緑とひと言でいっても、青みの強い緑と黄みの強い緑に分類ができ、緑の濃淡のバリエイションは並列できても、アンダートーンの異なるものを混在させると散らかって見える、これは御法度ですよ、といった理論のような経験則のような蘊蓄を多々見ました。リフォーム時の壁クロスと持ち家具の相性について、指南してくれるYoutube動画は星の数ほどあります。

色(柄)を決めなくてはならない、恐ろしい数の選択を、自宅のリノベで行ってきましたから、それなりに学びました。にもかかわらず、最近ブルベ、イエベといった語を目にして、それがアンダートーンを差していることを悟るのに少し時間がかかりました。

きっとどこかの女性誌がキャッチーな命名をしたのでしょう。略すとポップになる、という文化は90年代からあったような気がします。コーディネイトをコーデ、アクセサリーをアクセ、枚挙に暇がありません。といっても思いつかないけど。ブルベ、イエベもその類です。ブルーベース、イエローベースだそうです。

まぁ用語なんでなんでもよろしいです。ごく最近知ったことは、パーソナルカラー診断なる職種があって、あなたの顔色が映えるのはブルベですとかイエベです(それぞれに2種あって4分類みたいです)とかを、瞳・髪の色とか肌感とか、骨格とかで判定するプロフェッショナルが存在しています。

これに、今、とてつもなく興味があって、自分が何属性か、とても知りたい!

長く載っていたアウディのボディは黄色で、これぞ自分のテーマカラーと決めていた頃があります。とはいえ、ちょっと濃かったり、薄かったり、爽やかだったり、こってりだったりの具合によって、明らかに黄色であっても好き嫌いの印象が大きく振れるのです。とてもピンポイントに三原色がバランスしていないと許容できませんでした。

といった事例は、VWザ・ビートルのデニムブルー(水色)〜ボルボV40のアマゾンブルー(水色)〜うちのTOTOキッチン(水色)〜霧ヶ峰のエアコン(水色のメタリック色)と連綿と水色贔屓を続けているなかでも、あれは良かった、これはイマイチ、これ最悪、と評価が分かれております。

またはネイビー。洗面所の壁紙を一面、ネイビー(sangetsu SP2887)にしました。これは大当たりで、他でもない自分の住処である象徴を形成しています。洗面/脱衣所の壁であり、防音室入り口の壁であり、ナチュラルオーク扉の色味、床材のローレルの濃さ、上がり框のウォルナットの艶感とマッチし、玄関の扉を開けた瞬間に目に入る光景に日々幸せを感じています。

そもそも24年前に奮発して買った北欧のレザーソファがネイビーで、同モデル色違いのアイボリーを選ばなくて正解でした。アンコが潰れて寿命が来そうな使い古しながら、我がアイデンティティの一部を示す一品であり、捨てることができません。これと洗面のクロスは互いを視界に共存することはありませんが、こちらでもあちらでも一点に存在して、それが心を落ち着けるのに役立っています。

そんな風に、アイテムの色味に、おそらくは並以上のこだわり、あるいは生理的な反応の強度を持っているため、それらの取捨選択に理論的なバックボーンが欲しいとは、常々思っていました。

新しいベースをオーダーする時、近年は、面倒くさいので、そのとき所有するクルマの色を再現してもらっていました。デニムブルーもアマゾンブルーも、ですから一度はベースの形で再現されたことがあります。今のミニがきめの細かい赤のメタリックですが、赤は嫌いなので楽器にはしていません。嫌いと言うより、苦手。

パーソナルカラー診断は、webでも簡易的に調べることができますが、アンケートに自己申告していく形態なので異なるサイトで異なる結果が表示されたりします。そこに若干の好みを加えてみると「オータム」が浮上してきました。季節名で4分類するのです。黄色ならマスタード、緑ならカーキ、あるいはターコイズといった、イエローベース、それらの濃いめ、暗めの色味が合うのじゃないかと想定されます。

でも半信半疑です。プロの診断を仰ぎたい。骨格診断とか顔相を併せて見て貰い、似合うメガネ、時計などの持ち道具、ヒゲの生やし方などもアドバイスされたい。似合うシャツのカラー(襟)やネクタイの柄。そんなものまでご教授頂けるらしく、お金を上乗せすれば買い物にも付き合って貰える。ですからスタイリストの副業であったりするみたいです。女性でしたらメイクや髪型、髪色の指南もあって、美容室のオプションサービスとして附設されるようです(女性限定=男性お断りのところも多い)。

で、私自身のコディネートを完成した暁に、そんな姿で演奏するエレキベースの形状(シェイプ)とカラー、あるいは杢目を選定して欲しい。新しい楽器を、そのイメージでどこかへオーダーします。プロデュースされたい願望マックス。

銀座の某店では、男性OKでトータル35000円(診断のみ、買い物別)とか。3時間半かけるようです。格安人間ドック並みの一大イベントですね。もっとお手軽なところを見つけたら、真面目に、是非やってみたいです。

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