新年度初夢

今朝はきっと英語で寝言を言っていたと思います。頭脳フル回転していた自覚が有るから、たぶん口も動いていたはず。夢を夢とわかりながら見ていることも珍しくないけれど、そこで喋っていたのは現在の自身であり、あまりにもリアルでした。

場面は若い学生のセミナーのような会場、顔を見ていないけれど引率者、あるいはクラス担当といった立場の女性、たぶん先生がいて、男女の制服姿が10名いるかいないか、年老いた外国人のパネラーが一人、ゲストでいて、私自身は部外者だけれど何かの手伝いでそこに居る。

この雛形はきっと、3日前に軽音楽部のPA講座に出向いた影響にあると思われます。全然風景は異なるけれど、関係性において非常に似ています。

会がスタートしたとき、進行を務める先生が私に発言を振ってきました。ゲストへの質問を請われたのです。私は前に出て拙い英語で語りました。

最初にどこからお見えになったのか尋ねるとNYの東南(lower east side)に住んでいると答えました。言い方からしてそれはマンハッタンの、ということでしょう。

それで火が点いてしまい、2001年にそこに居た。その朝、私は離れたアパートに居て、目覚めたばかりだった。黒いスモッグが広がっていくのを見た。匂いが凄かった。戦闘機が飛んでいた。銃を持った兵士がそこここに現れた。その時に感じたことを誰かとシェアしたいと思いながら、それができず20年以上が過ぎた。トラウマになっていると、今わかった。あなたの体験を聞かせて欲しい。

流暢には出てこない言葉でした。あれ以来使うことのない英語を、現在の私はうまく紡ぐことが難しい。けれど2001年、と言おうとしたときから涙声になっているのを感じました。自分の見たことを伝えようと切実でした。

なぜ911の体験がフラッシュバックしたのでしょう。とリアルな夢によって起こされたときに涌いた疑問。ですが、すぐにわかりました。

1月20日発売(2月5日号)のビッグコミックオリジナルNo.3に読み切り作『ここは彼方のはじまり』(有間しのぶ)が掲載され、たまたま昨日それを読んだからです。30ページのうち1/3のボリュームで、作中人物の幼少期に家族とテレビで見たWTCの情景が描かれていました。

読んだときは、特に強い何かは引き起こされなかったのですが、最近の心動かされるトピックに重なって、ミックスされた1本のストーリーが醸成されたのです。

ではゲストのパネラー、年老いた外国人は誰なのか、といった点でも思い当たるところがあります。昨日Youtubeで知ることとなったギタリスト渡辺香津美さんの病状、そのショックが創り出した人物ではないか。夢の中の彼は、静かに頭を動かすような反応で私と対話し、その声を聞くことはありませんでした。

私が生きる現実の中で、過去に接点もあった尊敬すべき大先輩が抱えていらっしゃる現状こそ、一番の胸の痛みだったに違いありません。有間しのぶさんが言うとおり、この世はあまりにも残酷です。心から、ご快復と、もう一度素晴らしい演奏を聴かせてくれる日が来ることを望んでいます。

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