まったく、ものを買うのに忙しい…

5弦ベースのことでは足かけ3年の間、考えを重ねて今回の結論へ達しました。と言いつつ、まだまだ過渡的な状態とは思っています。あれをしたい、これをしたいと思い立てば、そこへ向かう動きを抑制することは難しい性格です。でも今は入手した楽器を使いこなせることに期待を抱いて、一区切りを付けることができた清々しさを味わっています。

というのは、嘘です。クリスマスに仕事を受けており、それがWベース指定でした。持っていないのにスケジュールを入れました。アップライトならエレキでもいいとのことで、再度確認したらスティック形状でも構わないというお話でした。

Wベース、そのね、、生前の父のことで人生のフェイズが移行した時に、多くの断捨離を実行する中にそれも入っていて、もう演奏はエレキベースだけで行こうと決めたのでした。この頃まで両方やる人ということで、結構お仕事を頂いていたことが人々の記憶にあって、時間を経てもこうやってまた依頼してくださったというわけです。このご時世ですから、ありがたいことこの上なく、日程が大丈夫とあって即答したのですが、その後楽器の手配へと急を要する現実を突きつけられました。練習もしておかなくてはなりませんから一日も早く手に入れたい。

そこで、動ける本日、デジマを頼りに急いで数カ所見てきたわけです。なんか、このところ毎週試奏行脚しているみたい。撮影してYoutubeに上げれば案外数字取れるかもしれません。テーマを絞ってやっていますので。

Wベースもいいと思うものがありましたが、車を小さくしてしまったし、我が家の防音室で大きい顔されるのもどうかと、やはりエレクトリックのアップライトに絞られたのですが。

事前に昨今の事情をネットで調べると、どうもヤマハのサイレントベースが抜きんでているらしいということで、もちろん動画も相当数見まして、クリス・ミン・ドーキーが弾くSLB300proは素晴らしく、一応ターゲットにしました。けれど。ご承知の通り受注不可、事実上の製造完了ということです。

指板のエボニーが無いのかなと推察します。ヤマハが全世界相手に売る商品ですから、資材の必要量が半端じゃないことは誰にでもわかること。ローズウッドだって無いでしょうに、と思いますが、100万越えで売るコントラバスならまだしも、50万円で売る量産型の楽器に、その大きさで使える部材を、その量賄うのは困難を極めるかと思います。というか、ごめんなさい、自然破壊といった社会問題にも発展しかねない、とまで憶測が広がります。

SLB300とSLB100を弾きまして、どちらも弾き易くて良かったです。100はブリッジにアジャスターが付いていないので弦高調整が簡単にはできず、即戦力ではないと思うけれど、ミュージカルを専門にやられている先輩ミュージシャンは明確に100推しでしたので、その意味がよくわかりました。あれはスケルトンとなったWベースなので、いわゆるサイレントシリーズのコンセプトにぴったりです。

300はジャズ向けとあって、ピチカートのしやすさと搭載エフェクターの実力でアコースティック感抜群の出音でしたから、もう全然これでいいよね、という仕上がりでした。30万円台後半です。

で、40未満を想定すれば、いくらか中古があってNS design、Alter Ego、Vektorを試奏させていただきました。結局それらも、私はどれでもいいやと思いました。全然オーケー。弾いたものの特徴を記していくと…

そのNSDはローB弦を張った5弦でした。さすがに41.5インチスケールのローBは、めちゃ音程感出てますし、いやぁ非常に良かったです。指板は幅広ですが、それでも4弦よりも弦間が狭くなるので、エレベ奏者には弾き易かったです。音はそれなりで、追い込んではいませんが、ちなみにアンプはPJBのなにかでした。

Alter EgoはBaby〜とかで、そのシリーズの中では最高位のものだそうです。ここは数が多くてヒエラルキーがよくわかりません。これも全然良くて、音はヤマハよりもナチュラルと思います。ヤマハは音が造られている感じ(SLB300)。こちらはなんとか旧来のデバイスで自然さが出るよう工夫を重ねてきた感じ。ブリッジにアジャスターはありませんが、ネックの仕込み角をティルトさせて弦高を好みに設定することができます。ホールド感はヤマハのほうが少し良かったです。こちらは少し意識が行きます。言い忘れましたが、今回の試奏で、一切弓では弾いておらず、全てピチカートです。

Vektorは昔持っていて、それも断捨離対象でした。奏者の体とバーでコンタクトするので不安定なのが嫌でした。これぞスティック形状の極みですが、そのわりに楽器であるという手応えは十分にあって楽しく弾くことができただけに、ホールドできないのが最大の不満点。

しかし、今回出会った個体は、なんと36インチスケールのレア品。初めて見ました。で、全長が抑えられているためか、バランスが良くて安定していました。あの悪い印象は、この楽器には皆無とあって、これは欲しいと思いました。4指のフィンガリングができますし。他の楽器に較べて、音は、あ、ショートスケール!って一聴してわかるのだけど、これを現場に持っていって、この音だけを聴いて違和感を覚える人はいないと思います。十分通用する。スケールが短いことで細かいプレイやハイポジションを楽にこなせるので、奏者の技量に下駄を履かせることができます。あぁ、私に必要なのはこれだぁ、と夢見心地になりました。

それとは別に、これ、フラグが立っているのですが、Atelier ZのURB、10月のギタラバTOKYO(島村楽器主催のイベント)にメーカーブースに出展されていたもの。ではなくて、ごめんなさい、それはデタッチャブルネックの試作品でしたが、その元となる製品版、通常のミニ・コントラバス型の中古があり、触らせてもらいました。

リアリストのピエゾPUは、駒の下に敷く奴。パッシブアウトですから、コンバスのマイキングの悩みは持ち越されている仕様ではあります。ボディはEUBよりも大きくてホールド感はWベースそのもの。指板が長いみたいで、アルコをするには相当高くしなければなりません。ただ、そこまでスタッドが長くないので、事実上、見切ってしまっている感じです。弦高もかなり低くなっていて、もちろんアジャスターで上げる方向へ再設定可能ですが、超軟弱仕様で私向きでした。やっぱり弾いていて楽しいですね。まぁアコギのそれですよ。共鳴箱が響いている感触。指板はマッカーサーではないかと思いますがちゃんと黒檀。

そしてこのモデルには、オリエンテブランドで、総単板仕様が出ています。それは弾いていませんが、そちらでもいいかと思いました。で、本当に今日決めたいということでの結論としては、このAtelier Zが良いかと。電車移動でしたが、問題なく担いで帰路につくことができました。帰ってからも、どこかに300pro落ちてないかなぁと探している私を、誰か叱ってください。


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